2022.05.26 update

結婚式参列者の「平服」の服装とは?メンズ館スタッフが解説する2022年「平服」スタイル4選


結婚式の案内状に「平服でご来席ください」と書かれていたら、何を着ていけばいいのだろう。
結婚式や式典など、パーティなどの招待状に書かれた「平服」とはスーツを指すのだが、会社に着ていくスーツで果たしてよいのか? それとも少しドレスアップするとしたら、あるいはカジュアルダウンするとしたら、どこまでが許容範囲となるのだろうか。

これらの疑問に伊勢丹新宿店メンズ館カテゴリースペシャリスト・口元勇輝がお答えします。

解説者プロフィール
口元 勇輝(くちもと ゆうき)
伊勢丹新宿店メンズ館カテゴリースペシャリスト
スタイリストアシスタントを経験後、伊勢丹入社。クロージング部門への配属となり、スーツに開眼する。アシスタントバイヤーを経て、海外への買付も多数。20年には日本橋三越本店担当となるも今春、伊勢丹新宿店カテゴリースペシャリストとして着任。

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  1. そもそも「平服」とは、どんな服なのだろう?
  2. 伊勢丹新宿店メンズ館が提案する、緊張度別「平服」スタイル4選
    1. 1.フォーマル感を漂わせるスタンダードな礼装スタイル
    2. 2.格式ある会場と目上の列席者に合わせた格調高い「平服」
    3. 3.爽やかにリネンを纏うサマーパーティースタイル
    4. 4.小物使いで華やかさを添えるカジュアルウエディング
  3. 伊勢丹メンズ館で相談するなら「会場」「立場」「時間」を伝えて
    1. 「カテゴリースペシャリスト」ご予約・お問い合わせ方法


そもそも「平服」とは、どんな服なのだろう?

まず結婚式や式典で着る礼装には緊張度の違いから「正礼装、準礼装、略礼装」の3種類があります。「正礼装」はもっとも厳粛な席に着用する服で、昼ならモーニング、夜は燕尾服に白のボウタイを着用します。「準礼装」はいわゆるセミフォーマルと呼ばれる服装で、昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードと決まっていて、ボウタイは白ではなく黒を着用します。

「略礼装」はインフォーマルといい、これが「平服」を指します。つまり礼装のなかでは、もっとも緊張度が低い服装です。時代によって少しずつ変化はしていますが、いまの時代の「平服」は、控えめなスーツかジャケット&スラックスに、ちょっとした季節感や時代性を取り入れながら、招待客や参列者を想いどこかに華やかさを添えることも大切です。


『平服でご来席ください』と書かれた招待状を受け取ったら、招待する側は、気軽な服装でお越しくださいという意味ですが、そこを真に受けてジーンズにTシャツで出席してはいけません。あくまで平服とは略礼装をベースに、会場の格式やパーティの趣旨、集まる人々を考慮したうえでコーディネートするべきなのです。

たとえば会場が格式あるホテルや伝統ある式場の場合、「平服」とはいえタイドアップするのが望ましいですし、出席者が会社の上司や取引先の上役など目上の方の場合も装いに気を付ける必要があります。逆にカジュアルなレストランやガーデンパーティなどで親しい友人が集まるのであれば、ノータイのジャケット&スラックスのスタイルでも構わないでしょう。ただ、華やかな席に相応しい小物使いとして、スカーフやネッカチーフなどを取り入れ、場の雰囲気に沿う服装を心がけましょう。

それでは実際に、伊勢丹新宿店メンズ館としておすすめする、「平服で出席する結婚式スタイル」を緊張度別に4つのスタイルをコーディネートしました。令和板の「平服」の装いを選ぶポイントと合わせてご紹介します。


伊勢丹新宿店メンズ館が提案する、緊張度別「平服」スタイル4選


1.フォーマル感を漂わせるスタンダードな礼装スタイル



まず最初は、もっとも一般的な礼装としての「平服」スタイルとして、ネイビースーツの着こなしです。ホテルや結婚式場で行われる、友人や親戚の結婚式など。列席者には招待者にとって目上の方々がいる場合は、たとえ友人・家族とはいえ失礼のない礼装が求められます。

ポール・スチュアート>スーツ 132,000円 商品を見る
フランチェスコ・マリーノ >ネクタイ 18,700円 商品を見る
マリアサンタンジェロ>シャツ 29,700円 商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージング


ここでのスーツはポール・スチュアートのネイビースーツ。あえて今風のアンコン仕立てではなく、薄手ながらも肩パッドの入った構築的なフォルムの仕立てがフォーマルな装いに相応しい。

もっとも間違いのない平服は、やはりスーツです。お手持ちのネイビースーツでも構いませんが、やはりここは会社に着ていく仕事着スーツではなく、上質な素材と仕立てのものを選びたいですね。ネイビーの色も、濃いめのほうがフォーマル感がより高まります。

  シャツは白無地のポプリンです。できれば襟型はもっとも正装に相応しいレギュラーカラーを選んでほしいところ。セミワイドやワイドカラーは、ビジネス色が強いですから。


「ポプリン」は密度の高い薄手の平織り綿布のこと。表面に上品な光沢が浮き上がるため、フォーマルウェアでは定番のシャツ生地です。そのうえでポケットや前立て(プラケット)が無く、ボタンも白蝶貝を使ったものが望ましい。ネクタイは無地のシルクサテンをスーツと同系色で。遠目には地味なぐらいだが、近くではほんのり光沢感があるため、夜の室内の席などでは華やかさを表現することができます。

ネクタイは光沢感のあるサテンをスーツと同系色で合わせます。柄物はNGではありませんが、あまり派手な色柄ではなく、あくまで控えめであることが出席者側のマナーです。かといって地味なのもいけませんので、光沢のあるシルクサテンを選ばれるとよいと思います。さらに胸ポケットには昼間は白のリネンチーフを挿す。夜の席ではシルク素材も有効です。

カルミーナ>「80236」72,600円
商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館地下1階 紳士靴

シューズは必ず黒を選んでください。ネイビースーツには茶靴を合わせがちですが、フォーマルシューズは黒と決まっています。ソックスはひざ下までの黒のロングホーズが最もおすすめです。



2.格式ある会場と目上の列席者に合わせた格調高い「平服」



ワンランク緊張度高めの「平服」スタイルをご覧ください。同僚の結婚式など会社の上司や取引先の上役が出席する宴席の場合、会場もホテルや格式ある結婚式場、寺社仏閣などで厳粛な雰囲気を求められる場所ならば、「平服」とはいえ緊張度は高い。そこでここでは「準礼装」にも通じるフォーマル感を取り入れたスタイルをコーディネート。

<ティモシーエベレスト>スーツ 97,900円
ステファノビジ>ネクタイ 13,200円
▢伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージング

シャツ 13,200円
▢伊勢丹新宿店メンズ館5階 フォーマル

<ティモシー・エベレスト>のスーツも、先程のポール・スチュアート同様、肩構築のあるブリティッシュスタイル。このように英国的なコンストラクションのスーツは、格式の高い場所や厳粛なシーンに非常にマッチします。

ちょっとお洒落したいとき用に、パーティ用ジャケットをお持ちの方もいらっしゃると思います。ブラックやネイビーが多いかと思われますが、今回は海外のフォーマルでも一般的なグレーのスーツをご用意しました。シルクを混紡しているので艶感が別格ということがおわかりいただけます。夜の室内の照明に映えるので、モヘアやシルクといった素材をお選びになっても良いと思います。

シャツはウィングカラーにし、ボウタイを合わせました。ウィングカラーシャツは、パーティなど晴れの席で着用するものですが、一枚持っておくと、いざというとき役立ちます。ボウタイはあまり明るすぎない色で、準礼装のブラックタイを意識しました。羽根が大きすぎるのもいただけません。シーンを想像して適度なものをお選びください。
 
格式を要する席に出席しなければならなくなったというときなどウィングカラーのシャツがあれば安心。別のシーンのスタイリングとしてあえてデニムに合わせてノータイで着るなんていう洒落たスタイリングにも活用できます。
 
三陽山長>「友二郎(R2010)」80,300円
▢伊勢丹新宿店メンズ館地下1階 紳士靴

靴は黒のレースアップを。スリッポンはカジュアル靴の領域なので。ストレートチップもしくはプレーントゥが望ましいですね。時刻が夕方以降の場合は、オペラパンプスも相応しいです。



3.爽やかにリネンを纏うサマーパーティースタイル


 
今度は緊張度を落としたカジュアルなパーティスタイル。夏のガーデンウェディングのように季節を満喫できる席でのコーディネートをご覧いただこう。明るいブルーのスーツ&ネクタイのスタイルは、爽やかさもあってこれからの季節に相応しいスタイルだ。

デ・ペトリロ>スーツ 183,700円 商品を見る
<ボリエッロ>シャツ 39,600円
ブリューワー>ネクタイ 14,300円 商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージング


夏の定番素材リネン混のスーツは、爽やかさのある明るいブルー。空の色、海の色を思わせる青と、波しぶき、雲の色を思わせる白とのコンビネーションは、爽やかな夏の太陽の下でも映えるコーディネート。

ガーデンパーティで行われる友人の結婚式など、着のおけない仲間内のパーティスタイルなら、目立ちすぎず、地味すぎないこれぐらいの平服がよいでしょう。スーツはリネン混の素材感が引き立つ夏らしいもの。ネクタイもコットンリネンにしてスーツの素材感に合わせました。ポケットチーフも白のリネンを選びながら、縁取りにブルーを効かせることでカジュアルな気分を醸し出すのがポイントです。


ここでもあえて靴は黒。パンチドキャップトゥのレースアップシューズを合わせました。白のスニーカーでも合わせたくなるようなスタイリングですが、結婚式のような招待者にとって一世一代の席にご招待いただいたのですから、締めるところは締めて、しっかり礼を尽くされるのがよいと思います。

チャーチ>「DIPLOMAT」144,100円
▢伊勢丹新宿店メンズ館地下1階 紳士靴

シューズはもちろん黒。ここでは少しカジュアルを意識してパンチドキャプトゥを選びました。ここで外羽根だと、カジュアル過ぎるのですが、内羽根の穴飾りレースアップなら、ドレスコードの範疇だと思います。


4.小物使いで華やかさを添えるカジュアルウエディング



今度はレストランウェディングや二次会など、カジュアルめのパーティーで着る「平服」スタイルをご紹介します。
カジュアルとはいえ晴れの席で着る服装なのだから、会場の雰囲気に合わせて華やかさを足すことも必要。そんなときは服そのものを派手にするのではなく、小物柄で洒落感を加えるのがポイントです。決して派手に悪目立ちして、主役を食ってしまうことのないスタイリングを心がけたいですね。

ラルディーニ>ジャケット 13,2000円
ジョンスメドレー>ニットポロ 30,800円 商品を見る
<ヴィンセンツォミオッツァ>スカーフ 9,680円
ピーティートリノ>パンツ 44,000円 商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館5階 メンズテーラードクロージング

カジュアルなパーティの平服はネイビージャケットにグレーのスラックスが一般的です。ジャケットはアンコン仕立てのもので構わないと思いますし、グレースラックスもテーパードシルエットですっきりとスタイリッシュに。グレーの色も、ライトグレーより、チャコール〜ミディアムグレーが礼装向きと言えますね。


ホップサックのジャケットは<ラルディーニ>。ビジネスシーンでお使いいただいているものでも、“カジュアル「平服」”なら着回すことができます。

インナーはポロシャツを選び、気軽でリラックスした雰囲気にまとめてみました。その代わり、襟元にネッカチーフを巻いて、ネクタイ代わりの華やかさを加えています。ネッカチーフは、控えめな色柄の小紋柄。パンツの裾からすねが覗くように、フォーマルな席でも相手に敬意を払う事のできる紳士はあまり肌を露出しないほうが良いといわれますからね。

ここでの足元はローファーを選択。気軽な「平服」スタイルなら、あえて紐靴を選ぶ必要はありません。ただし茶色のローファーはカジュアル味が強すぎるので、あくまでパーティシーンであることを心がけて黒を選びます。

ジャラン スリウァヤ >「98998」35,200円
商品を見る
▢伊勢丹新宿店メンズ館地下1階 紳士靴

ここで気をつけたいのは裾の処理です。フォーマルパンツの裾は必ずシングルで上げていることを思い出してください。勿論、モーニングカットは間違いありません。裾の折返しは「重ねる」「繰り返す」を意味するため、結婚式では禁忌とされます。友人ばかりなら気にされないかもしれませんが、親族などにご年配の方がいらっしゃることもありますので。それと裾丈は素足履きにくるぶしが見える丈は、フォーマルの席にはあまり相応しくありません。ジャケットは着回せ小物を選んでも、パンツは礼装用を用意するのが良いでしょう。


伊勢丹メンズ館で相談するなら「会場」「立場」「時間」を伝えて

今回の「平服」スタイルのポイントとおすすめのコーディネートをお伝えしましたが、もし何を着て行けばいいか迷った時は、伊勢丹新宿店メンズ館のカテゴリースペシャリストにお気軽にご相談いただけます。

ご相談の際は必ず「会場」「立場」「時間」をお伝えいただければ幸いです。どのようなパーティなのか、結婚式なのか、カジュアルなイベントなのかなど、イベントの内容だけでなく、どんな会場で、どんな列席者で、あと昼なのか夜なのかもお伝えいただくと、ご提案がしやすくなります。会場の格式は、すぐ調べることができますし、列席者もだいたいで構わないので、どれぐらい緊張度のある席なのか。また昼なのか、夜なのか、時間帯によっても光沢素材の使い方や色味の選び方がありますのでわかる範囲でお知らせください。

まずはお気軽に、なんでもご相談いただけるとスタイリストの豊富な経験が活かせると思います。私たちカテゴリースペシャリストは、メンズ館だけでなく本館まで全館通じたお買い物のご案内ができます。礼装のトータルコーディネートだけでなく、お手持ちアイテムとの合わせ方、お手土産品のご相談など、どのようなことでもご相談ください。かならず頼りになれると信じてお待ちしております。



 

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Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Yasuyuki Ikeda

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