履き下ろす前のケアが肝心!靴修理のプロが解説する、長く履くための靴修理メニュー7選
新しい靴を買ったら、皆さんはそのまま履き下ろしますか? 事前のお手入れでおすすめなのは「ソール補強(=前底の補強)」です。もちろん履き下ろしてから、後々修理をすることはできますが、購入直後にやっておくメリットは大きく2つ、①グリップ力が高まるので滑りにくい。②事前にソールを補強しておくと靴が長持ちする。ということ。
今回は、メンズ館地下1階=紳士靴にて靴修理を担当する職人歴13年目の山田和弘さんに、修理メニュー別のメリットや修理のタイミングなど、実際にどんな依頼を承っているのか伺いました。
伊勢丹メンズ館はハイクオリティ&スピーディーに多彩な靴修理が可能!
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教えてくれる人
山田 和弘さん
メンズ館地下1階=紳士靴 修理担当
伊勢丹メンズ館の靴修理工房では、「"ほぼ"元通りにする」をコンセプトに、レザーソールにゴムを貼ることや、踵の減った部分だけゴムで補修するなど基本的な修理から、オールソール交換や縫い糸のほつれ直し、色補正なども随時承っています。
他店では日数を要する修理も、迅速にお渡ししていますが、そのスピード感を生むのは、事前準備の「仕込み」の徹底にあります。たとえばハーフラバーの加工を事前にしておくことで、時間を短縮することができるんです。
ここ最近は、ビジネスシーンでもスニーカーを履く方が増えていますので、オリジナルソールを保護するためにフラットなソールにゴムを貼るといった修理も行っていますよ。
持ち込み事例を解説、靴修理年間トップ7は?
1. ハーフラバー/ハーフレザー加工
ソールの真ん中を指で押してへこみを感じたら、それは修理のサインです。
EXハーフラバー加工 3,520円
靴修理の中で最も多いのが、ハーフソール補強です。"レザーソールの高級感は好きだが、滑るのを防ぎたい"、"レザーソールを保護したい”方が、新品の状態でオーダーされます。
すでに履きこまれた靴は、ソールの真ん中を指で押すと、へこみを感じたり、ペコペコすると、アウトソール自体が薄くなっている目安になりますので事前にチェックしておきましょう!
イタリーハーフレザー(ヒドゥンチャネル仕上げ込み)加工 9,900円
トゥスチール加工(エテルノピッコロ) 4,620円
ソールの補強としてハーフラバーもしくはハーフレザーを貼るか、オールソールをすることもオススメしています。この靴の踵はまだ大丈夫なのでハーフラバーを提案しましたが、(緊急性はありませんが)つま先の補強を同時に行ってもいい状態ですね。
2. つま先スチール加工
つま先が減りにくいメリットと、見た目にカッコよさで人気
ヴィンテージスチール加工 4,180円
革靴好きの間では、新しい靴を買ったらつま先に絶対スチールを付ける。という”スチール信者”がいるほど定着しているのがこのつま先補強です。
つま先の減りを軽減するためのスチールですが、土台がレザーソールの靴のみ取り付けられます。オリジナルのスチールをはじめ、豊富な種類を揃えていますので、詳しくは店頭でご相談ください
3. 踵の減り修理
お気に入りの靴だからこそ定期的にチェックしたい踵の減り
ジャーマンラスター(釘有)加工 7,150円
歩き方のクセが出やすい踵は、是非チェックしていただきたい部分の一つ。エスカレーターの前の人の靴を見て、踵が減っているな~。なんてと思ったことがある人は多いはずです。
革靴の踵は、革とゴムが積み重なっている状態で、ソールの前部分にハーフラバーが貼られています。(上写真の)補修ではグリップ力が上がるゴム製の踵をおすすめし、6mm厚のものを選びました。イタリア・ビブラム社やドイツ・コンチネンタル社のなど踵パーツを揃えていてるので、修理前に相談して決めるのもおすすめです。
また伊勢丹メンズ館では、踵部分のエッジの形状をトリミングするカッターや、熱を加え防水する加工、強度を増すためのエッジアイロンなどの工具も完備しています。踵のパーツはレザーからラバーまで多彩に揃えていますので満足のいく修理をご提供できる環境が整っていますよ。
4. オールソール交換
靴の製法の特徴を損なわないレザーソールをチョイス

イタリーオールソール交換(ヒドゥンチャネル仕上げ込み) 17,050円
(写真上の)修理前の靴は、ソール全体が摩耗していますが、ハーフラバーでも対応できる状態です。オールソール交換をするか、ハーフラバーを貼るかはお客さまの選択になりますが、この靴はマッケイ製法でしたので、オールソール交換は本底と押縁の両パーツの交換が必要となりました。


マッケイ製法は、“返りの良さ”が特徴なので、硬くて強いソールを付けると履き心地が変わることがあります。特徴を損なわないために、柔らかいレザーソールをおすすめしました。イタリアブランドに多く見られるマッケイ製法をオールソール交換ができるのは好んで履く方にとっては朗報だと思います。
5. 履き口補修
履き口がスレて摩耗している靴でも、修理すれば本来の姿を取り戻せます
ビーディング修理+すべり革代 7,700円
履き口の摩耗も実は修理できるんです。(写真上の靴は)履き口の補強と装飾を兼ねるビーディングが合皮なので、表面がめくれて中の芯が見えてきていますね。伊勢丹メンズ館では、ヒールカウンターの内側から革を当ててトップで縫う方法や、革でビーディングを作りグルッと巻いて滑りの修理をして仕上げる修理も行っています。この場合は後者の方法で修理を行いました。
履き口は、履いてしまえばスラックスで隠れてしまい見えなくなる部分ですが、エレベーターや階段など足を上げた瞬間などに、他人から見られている可能もあるので、諦めずに修理のご相談をおすすめします。
6. リフト(踵)修理価格
レザーソールには、ドイツのレンデンバッハ社、イギリスのベイカー社のオークバークをはじめ、イタリアのレモンティ社など世界中から選りすぐりのレザーソールを多数用意しています。
また、ラバーソールには、イタリア・ビブラム社の各種ソールのほか、イギリス製のダイナイト、コマンドソールと豊富なラインナップとなっています。履き心地も左右するので、ぜひお気に入りをさがしてみてはいかがでしょうか。(*価格はすべて、両足分となります)

上左:vibram#5321 4,620円
上中:vibram#5340 3,520円
上右:vibram#5350 2,970円
下左:vibram#100 5,500円
下中:vibram#430 5,500円
下右:vibram#2055 3,850円

上右:UKArrowheadforTricker’s 4,400円
下左:UKDovetail 4,620円
下右:UKJ.L.Type 6,600円

上左:Continental 4,070円
上中:Diniteheel 4,070円
上右:QUABAUG 4,400円
7. オールソール交換 修理価格
オールソール交換は、靴全体の見た目や履き心地にも左右するので、私たちはもちろん、日頃からさまざまな靴を見てきている店頭係員に相談してみるもいいかもしれませんね。
レザーソールは、ドイツのレンデンバッハ社、イギリスのベイカー社のオークバークをはじめ、イタリアのレモンティ社など世界中から選りすぐりのものを集めています。
ラバーソールも、イタリア・ビブラム社の各種ソールのほか、イギリス製のダイナイト、コマンドソールとバリエーションも豊富です。(*価格は全て両足分となります。)


左:vibram2055 12,100円から
右:vibram705・700 20,350円から

コマンドソール 16,500円から
リッジウェイソール 16,500円から

左:ヴィクトリーソール 16,500円から
右:プランテーションソール 19,800円から
*お持ち込みいただいた靴の状態によっては、お客さまのご希望に添えない場合もございます。
*修理内容によっては、納品まで数日お預かりさせていただく場合もございます。
*詳しくは係員までお問い合わせください。
*価格はすべて、税込です。
Text:ISETAN MEN'S net
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03-3352-1111(大代表)
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