2019.08.17 update

Vol.8 山瀬まゆみ|国境や年齢を超える、かくも美しき色の世界(1/2)

08.15 Thu -09.17 Tue
伊勢丹新宿店 メンズ館2階 メンズクリエーターズ/アートアップ

伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズ内「ART UP(アートアップ)」において、アーティストとして活動をする山瀬まゆみさんの作品展「colours」を8月21日(水)より開催する。

ポップなカラーを用いたアブストラクトな絵画と立体物は、東京はもちろん、ロンドンやシンガポールなど海外でも評価が高く、近年では〈COMME des GARCONS〉の制作に携わるなど、今注目を集めているのだ。今回の展示に対する思いや今後の展望などを訊いた。

イベント情報
山瀬まゆみ 作品展「colours」
□8月21日(水)〜9月17日(火)
□メンズ館2階=メンズクリエーターズ/アートアップ
イベント詳細はこちら▶

 

目に見えない人間の細胞や心に渦巻く感情がテーマ


カラフルなプリントシャツと笑顔が印象的な山瀬さん。今回設定したテーマ「colours」は、どういったいきさつで決まったのだろうか—

 


「私の作品は青、オレンジ、黄色とか、原色をすごい使っているんですけど、最近何気なく自分の作品を見ていたときに「(私は)この色たちが好きなんだ」っていうことをようやくわかってきたといいますか(笑)。もちろんそこから変わったりもすることはあるんですけど、結局この色に戻るんですよ。さっきの3色以外に、緑とか青とか赤とかっていうのも好きですね。自分のそういう部分に気づいたので、あえてテーマをつけるなら「色」かなって。だから今回は、絵画も立体物も同じような色を使った作品をお見せできると思います」

アクリルを使ったカラフルな作品が多いが、そもそも好きになるきっかけは何だったのか—

 


「何でだろう…。今も昔も作品だけでなく、普段着る服もポップなものが多いですが、正直自分でもよくわかりません(笑)。あ、そうそう、ただなんとなくですけど「無地とかよりは楽しい色の服を着なさい」って、小さい頃から親に言われていて色のある服を着せられている子ではあったので、もしかしたらそういう部分が作品にも影響しているのかもしれないですね」
 

山瀬さんの作品の代名詞である、抽象的なモチーフを描き始めたのは学生時代からだそう—

 

「高校のとき、美術の先生が面白い人で、一番最初に先生がみんなに白いキャンバスを渡して、好きなものを描いてくださいっていう授業があったんです。そういう時に描いたのがこういう抽象画みたいなもので、それがきっかけだと思います。当時は意味も分からずにただ感じたままに描いていたと思うんです。でも長くやればやった分だけ考えて描くようになるので、同じようなモチーフですが、昔と比べたらちょっとは洗練されたと思いますし、作品について言葉にできるようになりました。ただ表現しようとしていることは、当時と同じだと思います」


色使いやモチーフにが意味があるのだという—

「目に見えない体の中にある細胞や感情だったり、あと自分の体とか、人につながっていることがわりとテーマになっていますね。ファンタジーや想像的な要素というか、そういったものを自分の中で生み出している気がしています。モチーフや形は体内とか細胞を表していると思うんですけど、色は感情的な部分を表現しようとしています。昔は感情一辺倒で描いていた時期もありましたが、最近はコントロールできている気がしますね。感情を調整できることっていうのは、アーティストとして良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、表現としてはどちらも必要だとは思っています。最近は作品の上からクレヨンを使って描くようになったのですが、そういう行為が”ぶち壊す感覚”じゃないですけど、自分の感情的なものを表す時には良いかなって」



伊勢丹新宿店メンズ館2Fには、男性を中心に国内外から多くの人が訪れる。今回の展示をきっかけに山瀬まゆみというアーティストを知る人もたくさんいると思うが、そういう人に何を伝えたいのだろうか。

「規模の大きな話になってしまいますけど、今回の個展を通じて日本にはこういう感受性を持っているアーティストがいるっていうのを知ってもらいたいなっていうのはあります。あとは本当、単純に「色がきれいだな」とか、何でも良いから感じてもらえるとありがたいですね。アートって国境とか言葉とか、壁がないから、見てもらうことで何かしら伝わることがあると思います」

 

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