2018年5月に公開した『ビジネスシューズは、「19,000円」戦国時代に突入!最強のコスパ靴はどれだ!?』では、伊勢丹メンズのものづくりへの取り組みにフォーカスし、「革靴のエントリーブランド」としての履き心地の良さや確かさをお伝えしてきたが、今回は一格上の「3万円台(税抜)のビジネスシューズ」をピックアップ。紳士靴担当バイヤーの福田隆史や『ISETA MEN'S net』編集長の田代径大をはじめ、"恒例メンバー"となった4人が3万円台(税抜)で買える本格靴の価値を語り尽くす。
 

 
左から、ISETA MEN'S net編集長の田代、紳士靴担当バイヤーの福田、同セールスマネージャーの田畑、同アシスタントバイヤーの宮下
 

3万円台のビジネスシューズは、ココが違う!


「19,000円と3万円台では何が違うのか」。

この価格差から生まれる靴の大きな違いは、19,000円の靴にはなかったグッドイヤーウェルト製法による仕立てが一つだ。3万円台になると「製法」や「素材」にブランドの個性が表れてきて、さらに、革のクオリティや仕上げ(フィニッシング)など「見栄え」にもこだわりを感じる。バイヤーの福田は、それらの要素に加えて、「靴の一体感」はこの価格帯ならではの強みで、それがトータルバランスと美しい仕上がりをもたらすともいう。


購入の際の一つの目安にしたいのは、19,000円の靴は例えるなら、「買ったときがベストで、実用的にガシガシ履ける靴」であり、3万円台の靴は、「買ったときはベストではないが、時間をかけて自分の足型なりに育ててベストにしていく靴」だということ。「長期間、しっかり履こう」と思うなら3万円台の靴がオススメだ。

本企画では、<REGAL/リーガル>、<REBLOS/レブロス>、<Otsuka since 1872/オーツカシンス 1872>、<JALAN SRIWIJAYA/ジャラン スリウァヤ>のタイプの異なる4ブランドを選んだ。いずれの靴もロングセラーを誇る定番で、3万円台(税抜)で買える精鋭ビジネスシューズだ。



宮下 グッドイヤーウェルト製法の靴の良さは、履いていくうちに中底が沈んでくれて、足のポジションが"スッ"と決まるところですね。そうすると履き心地が良いので、「長持ちするようにケアをしよう」と思うようになります。
田代 私は、沈むというより足の立体感に添って中底が変化すると捉えています。
田畑 中底がカタチを変えてくれるので、私は「グッドイヤーはコンフォート靴」だと思っています。履けば履くほど足型に馴染んできて足を守ってくれて、アスファルトの突き上げも少なく感じるので、外を長時間歩く方には、足への負担を減らす意味でもグッドイヤーウェルト製法の靴をオススメしています。


福田 グッドイヤーウェルト製法の靴は、中底の革の質が履き心地に影響すると思っています。靴を「上・中・下」と考えると、19,000円の靴は上と下で勝負する靴ですが、3万円台は中底を加えて、三位一体の「中」でも勝負ができる。そこが履き心地の良さに直結します。
田代 なるほど。19,000円の靴は「見た目勝負」だが、3万円台は「中」に秘密が詰まっているわけですね。
田畑 グッドイヤーウェルト製法の靴の中は各メーカーによって板状コルクや練りコルク、スポンジなどどこも企業秘密で履き心地を競っています。
田代 なかなか注目されませんが、靴の見えない部分で勝っているわけですね。

4人が薦める「3万円台」で買える最強靴とは如何に。


1.REGAL/リーガル




<REGAL/リーガル>
シューズ 各38,880円
*三越伊勢丹限定
アメリカから日本に上陸してから、50年余り。その長い歴史の中で、時代の移り変わりとともに素材を厳選し、練達な職人によるこだわりの靴を生産。品質へのこだわりは過去から現在において全く変わることはなく、安心・信頼に靴づくりを実践している。メンズ館では約50スタイルを常設展開し、その約半分は三越伊勢丹限定モデルが占める。

 


<リーガル>を薦める人

福田 隆史

メンズ館地下1階=紳士靴バイヤー。紳士領域バイヤー歴12年。紳士靴担当バイヤーは通算6年目。Kick the cityやJAPAN靴博などの名物企画の生みの親。靴を愛し、靴に生かされた男。座右の銘は、"Comfort is Luxury." 自分にとって心地良いかが大切と語る。



高度な製靴技術を駆使、デザイン・素材・履き心地も◎


宮下
今回は3万円台(税抜)で買える各ブランドの定番モデルを持ってきました。
福田 私のオススメは<リーガル>です。36,000円(税抜)で国産のグッドイヤーウェルト製法、レザーソール、キメの細かいアッパー革、さらに伊勢丹と開発したオリジナル木型です。
田代 こうやってじっくり見れば見るほどに、良くできている靴ですね。


福田 靴で一番大事なのは、「木型」の再現性です。木型に馴染ませる時間が長いほど再現度が高くなり、丁寧に釣り込めば履き心地が良く、見た目も美しい靴になります。ただし、時間をかけた分だけ価格も上がります。<リーガル>のビジネスシューズは、3万円台でも木型が美しく再現されていて、技術の高さが目に見えてわかります。



田代 <リーガル>の3万円台のビジネスシューズには凄いところがあって、まず木型の設計が、最近の日本人の足型に合っている。コバのサイドに対して斜めに切れ込みを入れる「矢筈(やはず)」までしっかりやっているのでスッキリして見えます。


福田 日本人向きの小さめ踵(かかと)も、デザインにメリハリを与え、きれいな靴に仕上がっています。
田代 万能型の木型で、コレを履いていれば間違いないですね。
宮下 <リーガル>は、メンズ館では約50型が常時ラインナップ。そのうちの約半分が、お客さまの声をもとに製作された三越伊勢丹のみで展開の"限定モノ"。私たちの自信作なのでぜひお試しいただきたいですね。



2.REBLOS/レブロス


 



<REBLOS/レブロス>
シューズ 各41,040円
イタリアはナポリの名門ファクトリーで生産される三越伊勢丹限定ブランド。日本人の足型に合わせた木型を共同開発することで、履き心地を向上。もちろんイタリアらしい色気のあるカラーリングやレザーの仕上げはそのままに、細部にまでこだわりを詰め込んだ自信作。メンズ館では常時30スタイルを展開。


<レブロス>を薦める人

田畑智康

メンズ館地下1階=紳士靴セールスマネージャー。入社13年目で、うち12年間で紳士靴を担当。地域店やプライベートブランドのバイヤーを経て現職。お客さまもスタイリストも心から楽しめるお買場をつくることが今の目標。座右の銘は「我が人生、後悔先に立たず」。今を精一杯楽しみ、生きる事がモットー。

 

エレガントな見た目と実用的な履き心地を兼備

宮下 <レブロス>の工場はイタリア・ナポリにあり、伊勢丹とは約10年ほどのお付き合いがあります。日本人の足型に合わせたラストの設計には定評があり、店頭でも「履きやすい」という声をいただいています。
田畑 この中で唯一のマッケイ製法の靴ですが、グッドイヤーウェルト製法の靴に比べて、軽く、返りが良く、シルエットがきれいに見えるのが特徴です。コバが張り出していないので、細身のスーツにもスマートに決まります。


田代 田畑さんの説明がマッケイ製法*のメリットですね。
田畑 それと、イタリアは革の扱いが上手く、カラーリングがきれいに出ているのは、良い皮を上手に使っている証拠。手塗り仕上げで、艶やかな表情が魅力です。
宮下 ノーズも"長すぎず、丸すぎず"、さらに後染めで革の風合いを上手く出していて、これで38,000円(税抜)は良くできていると思います。


福田 <レブロス>は、見た目にはシュッとしていますが、中が広いのでとても履きやすく、当たるところがほとんどありません。手染めのクオリティも高いですね。
田畑 ソールもレザーソールで、糸が表に出ないチャネル仕上げになっていたり、一手間加えてよりエレガントに見える工夫を惜しんでいません。福田さんが言ったように、「履きやすい」というお声が多いのも頷けます。


田代 マッケイ製法の最大のメリットは、釣り込みのときにアッパーを一緒に縫い込んでいくので、福田さんの説明のように「木型の再現性」が高いことです。<レブロス>の木型はより足馴染みの良い秀逸なパターンなので、履く価値ありですね。
福田 デザインも程よくクラシックで、さり気なく6アイレットにしたり、解釈の仕方が上手いです。

*甲革(アッパー)と靴底(ソール)を直接縫い付ける製法。シンプルな構造のため軽くて返りが良く、きれいなシルエットを作ることができる。

 

3. Otsuka since 1872/オーツカシンス 1872


 


<Otsuka since 1872/オーツカシンス 1872>
シューズ 各42,120円
*三越伊勢丹限定
大塚製靴は明治5年(1872年)の創業以来、西洋靴という新しい文化を日本に定着させ、日本人の足に合った靴の追求に専心。そして現在も技術の研鑽や素材の改良に努め、安定したクオリティの靴を生産し続けている。<オーツカシンス 1872>は、お客さまの声を基に微調整・改良を重ねて完成させた三越伊勢丹限定ブランド。


<オーツカシンス 1872>を薦める人

田代 径大

『イセタンメンズネット』編集長。入社より9年間、紳士靴を担当し、販売や買付を経験。ビスポークシューズからスニーカーまで幅広く精通する。座右の銘は“靴は料理と同じように気分で履き分けるべし”。

 

ブレない姿勢がカタチになる、歴史に裏打ちされた確かな技術力


田代
私は老舗の大塚製靴が手掛ける<オーツカシンス 1872>をオススメします。一番のポイントはハンドメイドのフルオーダーシューズも作っているので、自社に木型を削れる職人がいる強みだと思います。日本人の足型を研究し尽くしてきたノウハウと歴史を活かしながら、国内の自社工場でクオリティも高く、フルオーダーシューズで得た技術を既製靴に落とし込んでいます。


宮下 日本製のグッドイヤーウェルト製法の良さがぎっしり詰まっていますね。
田代 繊細なステッチワークがありながら、武骨で真面目な雰囲気に仕上がっていますね。凜々しい男性に履いてほしい凜々しい靴です。


福田 歴史をさかのぼると軍靴も作っていて、それが武骨な印象を残している理由だと思います。木型もぶれることなく、本当に正直に作っています。
田代 最初は素っ気ないけど、履いていって、磨いていく楽しみがある靴です。しっかり履くために革底は一番硬いかもしれません。


田畑 私はオーツカの靴ひもが好きなんですよ。ロウがたっぷりで、結びにくいけど、ほどきにくい靴ひもで、「靴ひもファン」もたくさんいます。
田代 使っていくとロウのぬめりがちょうど良くなっていくのがたまりません(笑)。
田畑 高級靴に使われるインポートのアッパーを長年使っていて、39,000円(税抜)というのはコスパ高しですよ。
福田 (金融関係など)堅い仕事の方にも自信を持ってオススメできます。



4. JALAN SRIWIJAYA/ジャラン スリウァヤ


 


<JALAN SRIWIJAYA/ジャラン スリウァヤ>
シューズ (左から)34,560円、36,720円、30,240円
1919年にインドネシアで創業した靴工場が母体。その後、経営者の息子ルディ・スパーマンが、靴の聖地であるイギリスのノーザンプトンで修行を積み、フランスで皮革の生産を学び「ハンドソーンウェルテッド製法」での靴作りも可能に。そして2003年、待望の<ジャラン スリウァヤ>ブランドが誕生。メンズ館では別注モデルを含む約30スタイルを常時展開している。


<ジャラン スリウァヤ>を薦める人

宮下創太 

メンズ館地下1階=紳士靴アシスタントバイヤー。ハイエンドからカジュアルまで、すべての領域の担当を経験した紳士靴一筋5年目の若手。 ”知的好奇心を満たし、感性を刺激し、気分が高揚する楽しいフロアにする”と意気込む。座右の銘は、「笑う門には福来る」。名門高校野球部出身で甲子園に春夏合わせて3度出場。

 

オン・オフ使える汎用性はNO.1、コスパ高めの本格派


宮下
 インドネシア発のブランド、<ジャラン スリウァヤ>は創業が1919年で、来年100年を迎える老舗です。当初はオランダ領でしたが、戦後、イギリスへ修行に出向き技術を会得。そこにファッション感度が高い日本企業のディレクションが入って、この4ブランドの中では唯一「ファッションへの強さ」があります。メンズ館では若い男性からの支持が高いブランドですね。
福田 ハンドソーンがベースで、良い意味で多国籍&無国籍。良いモノを吸収していこうとする姿勢は真面目で研究熱心で、ファッショントレンドにも強い関心を持って、日本を勉強しています。


宮下 私も就活のとき、<ジャラン スリウァヤ>の定番「エドワード」を履いていました。タフに履いていましたが、中底が沈んで足型に馴染んでくる感覚あったので、疲れにくかったのを覚えています。
田代 <ジャラン スリウァヤ>は「スニーカーを革靴で再現」した感じで、ハンドソーンの手間ヒマが、履き心地の柔らかさを生んでいます。


田畑 履き心地の良さに加えて、ファッションアイテムとしての認知も高く、定番の「エドワード」やローファーなどはオン・オフどちらでも"使える"と20~30代の方にも人気です。
宮下 ブランドの姿勢やアピールポイントが明確なのでファンやリピーターの方もとても多いですよね。
田畑 メンズ館に導入して10年ほど経ちますが、仕上げがとてもきれいになってきているように感じます。
福田 製靴業界では、インドネシアは"第3国"といった位置付けですが、昨今の技術の進歩には目を見張るものがありますね。







ビジネスシューズは、「19,000円」戦国時代に突入!最強のコスパ靴はどれだ!?
【特集】見た目もコスパも間違いない本格紳士靴10選




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