2018.12.14 update

INTERVIEW to Shoeshiner Vol.2 石見豪(第1回靴磨き日本選手権チャンピオン)|関西のシューシャイナーの雄、「THE WAY THINGS GO」(1/2)

2018年1月に銀座三越で開催された靴磨き日本選手権大会。その初代チャンピオンに輝き、自他ともに認めるシューシャイナーにのぼりつめた石見豪のポップアップイベントが12月15日(土)、16日(日)の両日にわたって行われる。

イベント情報

シューシャイン・キャラバン Vol.2

第1回靴磨き日本選手権チャンピオン、「THE WAY THINGS GO」の石見豪氏が来店!
□12月15日(土)・16日(日)各日11時~7時
□メンズ館地下1階=紳士靴



「THE WAY THINGS GO」を主宰する靴磨き職人、石見豪氏。


「磨き屋はけぇれっ」

大阪は天王寺。戦後から営む路上靴磨き職人がいると知って早速その門を叩いた石見は、こぶしを扉にコツンとぶつけるやいなや職人世界の洗礼を受けた。


「噂には聞いていたけれど、この業界はみて盗むものなんですね。それからは身分を明かすことはなくなりました。プロの仕事ぶりを目に焼きつけたら、今度は家に帰って実践です。友人の靴も借りて練習に練習を重ねました。数十足はダメにしたんじゃないでしょうか。見よう見まねでもコツはつかめてくるものです。会社を辞める半年前からはじめておよそ9ヵ月。日本全国名の通った職人にはだいたい磨いてもらいました。3度目の上京でそれなりの水準に達したことを確信、2012年、路上靴磨きを旗揚げしました」

知人の助言もあり、石見はほどなくカスタマーのもとに訪れて靴を磨く出張スタイルを採る。このスタイルで大いに役立ったのが、10年に及ぶサラリーマン時代で培った人脈だった。そこからは客が客を呼び、開業3年で2万足を磨いた。1日に均せば27足、という計算だ。

©THE WAY THINGS GO OSAKA


そして2015年、念願の店をオープンする。登録有形文化財に指定された大正末期のビル、船場ビルディングの415号室。スーツを着た石見がカウンター越しに靴を磨く姿はこぞってマスコミに取り上げられた。

オリジナルブラシと東京進出


シューシャインの勢力地図は、いまや東の長谷川(=長谷川裕也。ブリフトアッシュ代表)、西の石見といって過言ではない。余勢を駆るように、石見はあたためてきたアイデアを一気呵成に具現している。

©THE WAY THINGS GO OSAKA


ひとつが、オンラインストアにアップすれば数日で売り切れるという、オリジナルブラシ。

「手植えブラシの総本山ともいうべき関西の工房につくってもらっています。一つひとつ手で植えた毛は毛切れも脱毛も無縁です。ぼくなりのこだわりは弓なりに仕上げた台座。弓なりにすることで毛が半円状に広がるんですが、このシルエットがブラシの潜在能力を余すことなく引き出してくれるんです。それと、サイズ感。大きな手でも小さな手でもぴたりとフィットするボディのバランスを導き出しました」


もうひとつが、念願の東京進出。オープンは年明け早々の1月7日(月)に決まった。

看板を掲げて6年目を迎えるいまでは何足磨いても一定の仕上がりがキープできるようになったと語る石見だが、靴磨きへの情熱も衰えない。

「一人ひとり違うお客さんがいて、履かれている靴も一足一足違う。そもそも探求の旅には終わりがない。職人の仕事はそういうものでしょう」

これまでに4回、磨き方を変えてきた石見最大の魅力はその持続力だろう。試行錯誤してたどり着いた、きわめてユニークなスタイルのなせる技だが、1年ノーケアだった靴が乾拭きで光沢を取り戻したときはさすがの石見も驚いた。

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