2018.06.15 update

群雄割拠の「レインシューズ」──突然の雨から足元を守る、最強ビジネス靴はどれだ!?

突然の雨やゲリラ豪雨で、靴がびしょ濡れという嫌な思いを経験したことがあるという、そこのあなた。朗報です。現在、メンズ館地下1階=紳士靴では、雨の日も晴れの日もタフに使える全天候型のビジネスシューズが、かつてないほど豊富な品揃えに強化。本格的な梅雨入りを前に、イセタンメンズの靴のエキスパート4人が、『ビジネスシューズは、「19,000円」戦国時代に突入!最強のコスパ靴はどれだ!?』に引き続き、今必要な“機能性全部盛り”のビジネスシューズをピックアップ。これを見れば間違いなく雨の日に強くなるはずだ!


左から、紳士靴担当セールスマネージャーの田畑、同バイヤーの福田、スタイリストの塚原、アシスタントバイヤーの宮下

 

雨に強いけど、晴れの日でも格好良く履きたい

 

雨の日の駅の階段やマンホール、駐車場の段差プレートなどで滑った経験は誰にでもあるはず。最近では、靴の革底から中に水が浸みてきて、雨の翌日に「雨に強い靴が欲しい」と、同階を訪れるお客さまもしばしば。「以前は、雨の日はゴム靴に履き替えて通勤する方が多かったですが、今は、『雨に強い上に、晴れた日でも格好良く履ける靴』が人気」とセールスマネージャーの田畑智康。予め、滑りにくいソールをチェックして購入していく方も多いという。

また、バイヤーの福田隆史は、「今のお客さまは、“我慢しない”がキーワードです。靴なら、痛いのは嫌だ、気を遣うのは嫌だ、手入れが面倒なのも嫌だ、でも欲しいと思ったら我慢せず買う方が多い。メーカーが機能性を競って、雨が降っても気にせず仕事ができる靴として、ハイパフォーマンスの“全部盛り”が続々登場しているので、今シーズンはぜひ一足手にしてもらいたい」と期待を込める。


今回は、バイヤーの福田が「通気性を損なわず、機能的な本格はっ水レザーを採用した<SCOTCH GRAIN/スコッチグレイン>」、セールスマネージャーの田畑が「スニーカー並みのクッション性を誇り、防水透湿性に優れたゴアテックス®ファブリクスを搭載する<RUNWALK/ランウォーク>」、アシスタントバイヤーの宮下が「雨の日も晴れの日も快適に履きこなせるゴアテックス®サラウンド®を搭載した<madras/マドラス>」、スタイリストの塚原が「2層構造のはっ水機能を発揮するイタリアンエレガンスの雄、<ANTONIO RUFO/アントニオ・ルフォ>」の特徴や魅力を語り合う。

 

スポーツメーカーが力を入れる「走れるビジネス靴」



<ランウォーク>を薦める人

田畑智康

メンズ館地下1階=紳士靴セールスマネージャー。入社13年目で、うち12年間で紳士靴を担当。地域店やプライベートブランドのバイヤーを経て現職。お客さまもスタイリストも心から楽しめるお買場をつくることが今の目標。座右の銘は「我が人生、後悔先に立たず」。今を精一杯楽しみ、生きる事がモットー。


スポーツメーカー<アシックス>が手掛ける<ランウォーク>の機能性や履き心地は頭一つ抜きんでている。近年は、ファッション性向上にも手を入れ、デザインや木型を調整、見違える程シャープな顔つきに進化を遂げた。<ランウォーク>シューズ 各28,080円
 
田畑 私が<RUNWALK/ランウォーク>を推すのは、この4ブランドの中で唯一スポーツメーカーの<asics/アシックス>が作っているビジネス靴で、その強みが最大限に生かされているからです。スポーツで蓄積した技術開発力を駆使して、科学的に足型を計測してラスト(木型)に反映し。内装の設計も非常に科学的で、低反発性素材のGEL(ゲル)内蔵によるスニーカーのような履き心地が、長時間歩くビジネスマンの足を守ります。
福田 以前は、コンフォートスニーカーのような雰囲気もありましたが、ビジネス用としてかなりカッコイイ仕上がりになっていますね。
田畑 デザインも専業メーカーの靴と遜色なく、サイドから見てもゴム底に見えないような工夫もあって、靴として良い仕上がりになっています。
宮下 かなりシュッとしたデザインで、軽量なのもいいですね。機能面はどうですか?
田畑 私が入社した頃は、雨靴というと「はっ水」機能のみで競っていましたが、今はゴアテックス®を使うメーカーが多く、<ランウォーク>も防水透湿性に優れたゴアテックス®ファブリクスを搭載。雨の日も蒸れない快適な靴内環境をキープします。


塚原 踵(かかと)部のラバーカップの中に入っているゲルは「足を着いたときのショックを和らげてくれる」と年配の方にも好評です。また、ランニングシューズに採用されているオーソライト中敷を使用しているので、スニーカー好きの就活生や20代にもお薦めしています。
宮下 足裏全体でクッション性の良さを感じるので、スニーカーと同じように履けますよね。
田畑 スニーカー感覚の履き心地を気に入ってリピーターが多いのも<ランウォーク>の特徴です。体育会出身者の方が指名買いしますよ。
福田 ゴアテックス®を使って2万円からというのはかなり良心的で、コスパが良いのも<ランウォーク>の人気ポイントです。
宮下 田畑さんが1足買うとしたらどのモデルですか?


田畑 1足買うなら「スクエアトゥのUモカ」ですね。セールスマネージャーはよく歩く仕事なので、改めて靴本来の歩きやすさが大事なことを痛感します。<ランウォーク>は着地衝撃をやわらげるとともに、高い反発性でキック力を効率よく歩行エネルギーに変換するので、一度履いてみてほしいですね。

 

ソールまで透湿性を備えた今シーズンの新作 



<マドラス>を薦める人

宮下創太 

メンズ館地下1階=紳士靴アシスタントバイヤー。ハイエンドからカジュアルまで、すべての領域の担当を経験した紳士靴一筋5年目の若手。 ”知的好奇心を満たし、感性を刺激し、気分が高揚する楽しいフロアにする”と意気込む。座右の銘は、「笑う門には福来る」。名門高校野球部出身で甲子園に春夏合わせて3度出場。


仕上げやラストの美しさに定評がある<マドラス>は、ゴアテックスを使ってもなお、その美しさを保つことに成功。歴史あるブランドの確かな技術力がうかがえる。<マドラス>シューズ 左:34,560円、中・右:32,400円

宮下 私は、<madras/マドラス>のゴアテックス®サラウンド®フットウェアを推奨します。日本ブランドならではの日本人の足にフィットしたラスト(木型)を使い、仕上げの雰囲気を含めてバランスが良い靴で、ビジネスマンにも大変人気です。
田畑 高級インポート靴をよく履かれる人が「雨の日は革底を履きたくない」と来店されたときに<マドラス>をお薦めすると納得して購入されていくほど、靴好きを唸らせる老舗ブランドです。
宮下 今季の新作が、アッパーにゴアテックス®を、ソールに透湿性があるサラウンドソールを採用した靴で、サラウンドを採用しているのは<マドラス>だけです。


田畑
<マドラス>はゴアテックス®を使った靴づくりが長く、技術力が高いのは世界的にも証明されていますね。
福田 ゴアテックス®は伸び縮みしないフィルムで、アッパーの革との一体成形はとても難しく、昔はボテッとした顔の靴が多かったのですが、現在は技術も上がってシュッとしたフォルムに仕上がっています。
塚原 ソールから蒸れた空気をより多く外に逃がし、足元を常にドライで快適に保つ機能性の高さはもちろん、3万円台でこの革の雰囲気や味出しはさすがですね。
田畑 表情のあるムラ感の革を使って仕上げが上手なブランドであるのと同時に、ソールの意匠(デザイン)にチャレンジしているのも技術力の証明です。
宮下 一つ大事な注意点ですが、この靴が持つ防水・はっ水力を発揮させるために、防水スプレーの使用は避けてください。


福田 アッパーが革+ゴアテックス®の構造なので、防水スプレーをかけてしまうと、革が本来持つ呼吸を邪魔してしまいます。革には通常のクリームはお使いいただけます。
田畑 宮下が1足買うとしたらどのモデル?
宮下 雨の日も履ける1足として買うなら「ストレートチップ」。王道は間違いありません。


2層構造のはっ水機能を発揮するイタリアンエレガンスの雄



<アントニオ ルフォ>を薦める人

塚原 拓也

メンズ館地下1階=紳士靴スタイリスト。入社当初から、実直かつ丁寧な接客で、指名顧客を多数抱える若手筆頭株のスタイリスト(販売員)。昨年、シューカウンセラーの資格も取得。座右の銘は、「今日死んでも後悔のない選択を」。”今日のお買いもの楽しかったなって思い出していただけるような接客が目標"と語る。


伸縮性に優れたアウトドライを使うことで、耐水性を上げながらも、色気あるシェイプの靴づくりを実現。クッション性も良く、美しいヒール周りも、同ブランドにファンが多く存在する理由のひとつだ。<アントニオ・ルフォ>シューズ 各24,840円


塚原 私が推薦するのは、前回に続き<ANTONIO RUFO/アントニオ・ルフォ>です。イタリアのメーカーが開発した「OutDry(アウトドライ)」という2層構造のはっ水機能を採用したビジネス靴で、メンテナンスフリーというのもセールスポイントです。
宮下
雨の日にも履けるイタリア靴はほとんどないので、ノーズが長い表情とアウトドライの機能性がマッチしている<アントニオ・ルフォ>は貴重です。


塚原
さらにクッション性が良く、ヒールが高いので、いわゆる“モテ靴”としてもお薦めですね。
田畑 アッパーに縫い目を出さないレベルソ仕様もきれいに仕上がっています。
福田 アウトドライは中のフィルムの伸縮性が高いので、フィットして成形しやすいのが特徴。濡れたらサッと拭けばいいのは楽ですね。
塚原 接客していると、「雨の日でもスリッポンやローファーしか履きたくない」というお客さまが意外と多いんです。
福田 雨の日は濡れた靴に触りたくないという人が多いからね。玄関でそのまま脱いで、サッと拭くだけという。だからスリッポンの人気が高い。


田畑 スリッポンやローファーは履きやすいし脱ぎやすいというのと、今シーズンはスタイリングとして流行っています。
宮下 塚原が1足買うとしたらどのモデル?
塚原 私はやはり「スリッポン」を選びます。踵が小さく抜けにくいラストを使っていて、表情があるムラ感の革の雰囲気も良い。イタリアクラシコな着こなしにもマッチします。


全天候型のビジネス靴は、「シャインオアレイン」の三越伊勢丹別注が最強!


<スコッチグレイン>を薦める人

福田 隆史

メンズ館地下1階=紳士靴バイヤー。紳士領域バイヤー歴12年。紳士靴担当バイヤーは通算6年目。Kick the cityやJAPAN靴博などの名物企画の生みの親。靴を愛し、靴に生かされた男。座右の銘は、"Comfort is Luxury." 自分にとって心地良いかが大切と語る。


今回登場した靴の中で唯一のグッドイヤー製法。長時間の歩行にも優れ、マットで落ち着いた風合いのレザーと、ラウンドトゥの英国調ラストが相まって、本格クラシックシューズの表情に仕上がっている。<スコッチグレイン>シューズ 各38,880円

福田 私が自信を持ってお薦めするのは<SCOTCH GRAIN/スコッチグレイン>の人気ライン「シャインオアレイン」の三越伊勢丹別注モデルです。アッパーの革の鞣(なめ)しの段階からはっ水加工を施すことで半永久的に機能が保たれます。この靴も防水スプレーの使用は避けてください。お手入れは通常の皮革クリームだけでOKです。
田畑 本格はっ水レザーなのに、革本来の質感を保っているのがすごいですね。
福田 雪の日でも履ける滑らないソール「ハイドロストッパー」を搭載したのも今回の別注のポイントです。


宮下 北にも南にも、夏でも冬でも、出張に最強ですね。
福田 私がこの靴を気に入っているのは、グッドイヤーウエルト製法の本格靴なのに機能的というところ。「雨の日でもグッドイヤーの靴を履きたい」というニーズは実はたくさんあるんです。


田畑 はい、私もその一人です。グッドイヤーは硬いですが、足が保護されている感じがあって、履き込んでいくと低反発のフットベットになっていく履き心地が好きです。だから、雨の日だからといって、マッケイやセメント製法の靴のソールの薄さや耐久性には物足りなさを感じますね。
福田 良い意味での堅牢さもポイントですが、やはり<スコッチグレイン>らしい立体的なフォルムも見逃せません。
宮下 私もブリティッシュな表情が好きなので、マットな革の雰囲気と合わせて、堅実でクラシック感があって好きです。
塚原 雨の日を過ごせるグッドイヤーの靴は他にないので、「疲れにくい靴」を求める営業マンなどにお薦めしています。


宮下 福田さんが1足買うとしたらどのモデルですか?
福田 1足買うなら「ローファー」ですね。今日自分が着ているようなカジュアルなセットアップにも合うし、汎用性の高い一足で、間違いないですね。


Photo:Natsuko Okada
Text:MakotoKajii

*価格はすべて、税込です。

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