山下英介さんと歩く「秋冬のメンズ館」後編|ニットも靴も『山下流』のこだわりは尽きることがない

雑誌『メンズプレシャス』のファッションディレクター山下英介さんが、ぶらりと館内を見て歩く、メンズ館散歩。7階と5階を見たあとは、1階と地下1階で、ショッピング&スタイリングを楽しみます。山下さんなりのこだわりが全方位で参考になるので、ぜひ一緒に歩くつもりでご一読を。

■合わせて読みたい、山下英介さんと歩く「秋冬のメンズ館」散歩
【前編】永遠のアイコン、ウディ・アレンの着こなしに憧れて
【特別編】山下さんが注目するフレンチトラッド&冬コーデをスタイリング


  1. 1階|独特の美意識がある<シャルベ>が売れているのは朗報
  2. 1階|僕なりの「ずぼらコーディネート」に不可欠なニットとは…
  3. 地下1階|ロシアンカーフの匂いを嗅いで、ビスポークの夢を見る
  4. 地下1階|気に入ったバッグと出合うと、すぐ買ってしまいます(笑)。



<ランプレー&コー>ネッカチーフ 各種11,000円 商品を見る
■メンズ館1階=ドレスシャツ・ネクタイ


1階|独特の美意識がある<シャルベ>が売れているのは朗報

このスカーフブランド<ランプレー&コー>は知らなかったけど、とても素敵ですね。こういうスカーフは得てして男性にはハードルが高いものですが、これぐらいアートとファッションのコラボレートがバチッとハマっていると、思わず欲しくなりますね。こういうアイテムを普段使いできる人は本当にお洒落です。

 

1階をリモデルしてから、<シャルベ>のネクタイとシャツが売れていると聞きましたが、<シャルベ>はパリに行くと必ず立ち寄ります。独特な美意識とスノッブさがあって、こういう歴史あるブランドが売上を伸ばしているのは、ファッションに関わる者としてうれしいことです。

また、<ドレイクス>は現在のピッティ・イマジネ・ウオモを象徴するブランドの一つ。ヨーロッパの都市のイメージをミックスしてインターナショナルなスタイルを創っていることで注目しています。ネクタイのトレンドセッターですが、気取らない格好良さがありますね。




1階|僕なりの「ずぼらコーディネート」に不可欠なニットとは…

セーターは<ジョンスメドレー>が大好きで、襟の長いニットポロは同じモノを何枚も持っています。このポロニットが優れているのは、シャツとネクタイでなくてもスーツと合わせて成立するところ。10年ぐらい前の<ジョンスメドレー>は、襟が小さいのがモダンだったのですが、その当時も探しまくって、数年前にクラシック回帰になってようやく復活してきたアイテムです。


 
 

モックネックもよく着るようになりました。これもすごく便利で、この上にスーツを着れば成立するので、時間がないときの「ずぼらコーディネート」にとても役立ちます(笑)。メンズ館はカラーバリエーションが豊富なので何枚か欲しくなります。

<ジョンスメドレー>の定番は文字通り鉄板ですが、今年はチルデンセーターが新鮮ですね。もともとイギリス製のニットはごわっとハードめの素材が多いのですが、イタリアの薄手の柔らかいニットだと、ジャケットの下に着込むのにちょうどいいので、そういう点にもこだわってセーター選びをすると楽しくなります。




地下1階|ロシアンカーフの匂いを嗅いで、ビスポークの夢を見る

靴は、<クロケット&ジョーンズ><チャーチ>が好きです。<ジョンロブ><ジェイエムウエストン>のルックスは好きなんですが、どちらも木型がスリムな靴で、外反母趾気味の自分の足にはややきつく感じてしまうことも。

自分の靴は、大雑把なフィッティングで履ける“道具っぽい靴”が多いです。高そうに見えない、全体の服装に馴染む靴の方が好きですね。
<エンツォ ボナフェ>も古き良き時代のイタリア靴を彷彿とさせて好きです。武骨で普通のおじさんが履いているような靴がいいですね。



<アンソニークレバリー>もあるんですね!ロシアンカーフはつい匂いを嗅いでしまいます(笑)。ロシアンカーフのビスポークは自分の自動車より高いけど、いつかはオーダーしてみたいものの一つ。

5階を見たときに80年代のフレンチアイビーの話をして、ホワイトジーンズを十数年ぶりに注文したと言いましたが、白に合わせるのはカジュアルな黒靴です。そういう視点で見ると、<ジェイエムウエストン>が誇るハンドメイドエプロンダービー、通称「ドゴール」は魅力的です。伝統的なデザインですが、合わせ方によってはとてもモダンに映える。これも憧れの靴の一足です。<ジェイエムウエストン>はどれをとっても良い靴ですね。



靴といえばソックスも忘れずに。個人的に、「百貨店の靴下売り場の奥にあるカシミヤを使ったソックス」を見つけるのが好きなんですが(笑)最近はややそういったソックスと出会いが少なくなってしまったかもしれません。

ソックスブランドでも<コーギー>が好きで、発色の美しさを見ると、まだまだ海外製品には魅力があるなと思います。



<フェリージ>ミニショルダーバッグ 36,300円
■メンズ館地下1階=バッグ

地下1階|気に入ったバッグと出合うと、すぐ買ってしまいます(笑)。

荷物が多いので自分のバッグ選びは、いっぱいものが入ることが重要です。でも、カメラを買ったら、カメラバッグが欲しくなるし、トレンチコートにミニショルダーを斜めがけするのも好きなんですが、カメラは入りません(笑)。

バッグや財布は、昔に比べると世の中の流行の波を受けやすくなってきていて、ミニサイズ化していますね。



今回、とても楽しくメンズ館内を見て回ることができました。どのフロアも圧倒的な品揃えと奥行きがあって、王道中の王道アイテムから、日本ではまだ知られてないマニアックなものまで、ブランドの展開数は本当に豊富です。

コーディネートを考えるときに、「ボタンダウンシャツが欲しいな」と思ったら、1階で<シャルベ>のシャツを選べるというのは、実はすごいこと。

最後に、館内を見て今回2つのを組みましたので、ぜひ合わせてご覧ください。



■ファッションディレクター 山下英介
1976年埼玉県生まれ。大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動。
ファッションディレクターとして創刊時から参画している「MEN’S Precious(小学館) / http://mensprecious.jp」を中心に、カタログの編集、原稿の執筆が主な業務。住まいは築50年のマンション、出没地域は神保町や浅草、谷根千。古いものが大好きで、ファッションにおいてもビスポークテーラリング、トラッド、モード、アメリカンカジュアル……。背景にクラシックな文化を感じさせるものなら、なんにでも飛びついてしまうのが悪いくせ。
趣味の街歩きをさらに充実させるべく、近年は『ライカM』を入手、旅先での写真撮影に夢中。まだ世界に残された、知られざる名品やファッション文化を伝えるのが夢。
■Instagram:@eisuke_yamashita


■おすすめ関連記事はこちら
名著から紐解く達人のファッション考vol.4「山下英介という“マニアック界の超ミーハー” 」
名著から紐解く達人のファッション考バックナンバー
「ファッションの達人のあの人とメンズ館散歩」バックナンバー


Text:ISETAN MEN‘S net
Photo:TAKU FUJII


*価格はすべて、税込です。

お問い合わせ
03-3352-1111(大代表)
メールでのお問い合わせはこちら