2019.07.03 update

【特集】大人がハマる塊根植物、ブームの火付け役「BOTANIZE(ボタナイズ)」横町 健が語る魅力と楽しみ方

コーデックスと呼ばれる塊根植物が盛り上がっている。元は中東やアフリカに生息する植物で、美しい花や葉が彩る一般的な観葉植物とは違い、無骨な幹や太い根を持ったユニークなフォルムが特徴だ。

ファッションやカルチャー感度の高い層を中心にブームになっており、その火付け役となったのがエキゾチックプランツショップ「BOTANIZE(ボタナイズ)」だ。今回は、塊根植物の現在におけるブームの高まりや、その魅力についてオーナーの横町健さんに話を伺った。


横町 健
よこまち けん●1973年生まれ、東京都出身。anea design 代表。2008年に店舗などの内装デザインを手掛ける「アネアデザイン」を設立し、自身がディレクションするカフェ「アネアカフェ」を都内4カ所で運営。その後、大の植物好きが高じて2016年に塊根植物を中心としたエキゾチックプランツショップ「ボタナイズ」を代官山にオープン。2019年1月には、港区白金に「ボタナイズ」と「アネアカフェ」を複合した店舗を新たに立ち上げた。

 

ひとつひとつに個性があって、育てがいがある


──知る人ぞ知るとまではいかないですが、目に触れる機会もまだまだ多くない珍しい植物だと思います。横町さんがコーデックスにハマるきっかけはなんだったんでしょうか。


実は、幼い頃から植物に触れる機会が多かったんです。というのも父の影響で、本業はエンジニアだったのですが、盆栽が趣味で、週末は盆栽の講師のような活動も行なっていました。そこで僕も自然と興味を持ち始めました。特に惹かれたのはサボテンで、おこずかいを貯めては園芸店に行き、サボテンを集めるという日々でしたね。



中学、高校と上がるにつれて、他のことにも興味が出始めて、植物への熱は冷めるのですが、2012年くらいですかね、友人にコーデックスをひとつ譲ってもらったんです。そこからまた幼い頃の熱がガーッと蘇ってきて。日本中の園芸店からコーデックスを集めました。それをインスタグラムにアップするうちに、「これ譲ってもらえませんか」とオーダーをいただくようになって、本格的に今のお店「ボタナイズ」を始めることになったんです。

当初はオンラインショップだけだったんですが、ひとつひとつ表情が違う”生き物”を、直接手に取って見ていただきたいなと思い、2016年に代官山、2017年に白金に実店舗を構えました。

──コーデックスの魅力は、独特なフォルムにあると思いますが、横町さん自身はどこに魅力を感じますか。

コーデックスの多くが、成長がかなり遅く、一年で数ミリしか伸びないものもあります。初めてコーデックスに触れる方は小さいなと思われるかもしれませんが、結構な年月を経てその形になっているんです。加えて、同じものがまたとないということも魅力の一つです。ひとつひとつ個性があって、それぞれに愛着が湧く。同種であっても同じ形は複製できないというのは、希少性にも繋がります。




今は新しい品種への需要も高まってますね。人気の品種はひと通り集めたという方は、交配させた珍しいものを求める方も増えています。「ボタナイズ」の白金店でも温室を設けて、新しい品種開発に取り組んでいます。

 

歪な形が男心をくすぐる。ファッションと同じように、身近な存在に。


 

──とくに人気の高い形ってどのようなものになるのでしょうか。

丸みがあって、ぽってりとしたフォルムのものが人気です。幹や根はずんぐりで、枝は短め。ただかわいいだけでなく、パッと見ちょっと気持ち悪いもの(笑)。そんな形が人気がありますね。お客さまは大半が男性の方で、20代後半から40代が中心です。かわいい、かっこいいだけでは終わらない、歪さとか奇妙なフォルムなどが男心をくすぐるんだと思いますね。


ユーフォルビア属「オベサ」。真上から見ると稜と横線の柄が特徴。


パキボディウム「アンボンゲンセ」。塊根から長い葉が伸びている独特のフォルム。


──初めてコーデックスに触れる方にオススメのものや、楽しみ方について教えてください。

これについてはプライスも重要だと思っていて、5000円から10000円くらいのものをオススメしたいですね。というのも、ある程度の価格というかハードルを乗り越えたものって、大切にしますよね。また、全体の組み合わせも楽しみのひとつです。「ボタナイズ」オリジナルのものもあれば、作家さんとコラボしたものもご用意しています。お好きな組み合わせを模索するのも一興です。



──基本的な育て方について教えてください。

必要なものは、光、水、風の三要素です。やはり植物ですから、まずは日光を。窓の近くなどに置いたり、時にはベランダなどに出して陽に当ててあげるといいでしょう。次に水。土が乾いたら、たっぷりお水をあげる。もともと乾燥地帯の植物なので、水のやりすぎには注意ですが、乾いたら、お水、乾いたら、お水の繰り返しが必要です。そして大事なのが、風。長い間風に当てないと、どこからともなく虫が湧いてきます。定期的に風に当てるようにしましょう。

──今後、塊根植物を含め、「ボタナイズ」のどのような点を見てもらいたいですか。

珍しいものはどうしても高価になってしまいますが、今回は5,000円台から買えるものも用意しています。マニア心くすぐるような品種ももちろんご用意しますが、初めて塊根植物に触れる方が「なんだこれは」と面白がってもらえるように、少しでも間口が広がるようになればいいなと思っています。

また、僕たちはひとつひとつ、愛情を持って植物に接しています。今後も多くの方に手に取ってもらいたい。ファッションと同じように、植物を身近に感じるきっかけになれば嬉しいですね。

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Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Ryuta Morishita

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