6月7日(火)まで、アメリカンヴィンテージのスピリットを体現する<Double RL/ダブルアールエル(以下RRL)>がメンズ館1階=プロモーションに期間限定のポップアップストアをオープンしています。メンズ館7階=オーセンティックカジュアル担当のバイヤー柴田信友が<RRL>の魅力を語り合う相手として指名したのが、ブランド<KENNETH FIELD/ケネス・フィールド>を主宰する草野健一さん。さて、どんな話が飛び出すでしょうか。

イセタンメンズに<RRL>復活!


柴田信友 今回、時代を超えて愛されるアメリカ服の本質に迫る「USAウィーク」の一環として、以前メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンスにあった<RRL>が復活しました。
草野健一 なぜ今<RRL>なんですか?
柴田 日本の百貨店やセレクトショップには多種多様なブランドがあって、さまざまな提案をしていますが、今ここで「強い個性」をあえて打ち出したいなと。いわゆる“濃い味”が持ち味だったブランドや着こなしは、トレンドになったノームコアによって一時消されてしまいましたが、自分が担当するメンズ館7階=オーセンティック カジュアルにおいては、実は「何が流行ろうが根本は変わらない」ということをアピールしたかったんです。
草野 その根本にあるのが<RRL>なんだと。
柴田 そうです。いつの時代にも変わらない選択肢として<ラルフ ローレン>があって、彼のパーソナルな好みがストレートに出ていて、メッセージ性の強いブランドが<RRL>だと解釈しています。
草野 服の背景にあるものまでを含めて着て楽しめるブランドの一つですね。


柴田 <RRL>を語る相手として草野さんにお願いしたのは、<RRL>も<ケネス・フィールド>も、自分の知らない世界の扉を開けてくれる服なんですね。自分はバイヤーとして、洋服以外のことに目を向けさせてくれるきっかけを与えてくれるものを大事にしていて、たとえば<RRL>を着たら、馬に乗りたくなったり、うまいバーボンを飲みたくなったり、本を読んだり、アメリカへ行ってみたくなったりする。
草野 それはよくわかります。僕もアメカジを知って、80年代後半にアメリカに行ってしまいました。
柴田 それなんですよ。<ケネス・フィールド>を着たら、草野さんと同じように釣りに行きたくなったり。服が何かを伝えて行動させるというのは、ファッションのとても大事な役割だと思います。そういう意味で、<RRL>にも<ケネス・フィールド>にも勉強させてもらっています。

豊かで素敵なアメリカを体現している服


草野 柴田さんのバイヤー目線からの<RRL>はどういう位置づけですか。
柴田 ヴィンテージを扱うブランドとして<RRL>は、お客さまにわかりやすくその世界の楽しみ感じてもらえるブランドで、自分の中でもこれほど学びがある事に正直、楽しさを感じるブランドです。<ラルフ ローレン>はいつの時代にも男のクローゼットの中に存在する服ですが、「奥さんのリッキー・ローレンさんの名前を付けた<RRL>ってなんだろう?」と思ったのが<RRL>への興味の始まりで、そのブランドを立ち上げた背景にまず関心を持ちました。そこにデザイナーとしてのラルフ・ローレンのルーツがあるのだろうし、いわゆるアメリカン・ドリームの原点となる表現もあるのだろうと。
草野 なるほど。柴田さんは『ラルフ・ローレン物語』は読みましたか?
柴田 読みました。モノをつくる、生み出す楽しみと喜び、ファッションビジネスに関わる人間としての心構えをひしひしと感じました。デザイナーという目線から、草野さんは<RRL>をどう見ますか。
草野 <ラルフ ローレン>はアングロサクソン系の人が憧れる英国服をベースに、アメリカを洋服で表現した人で、「アメリカって豊かで素敵でしょ」というメッセージをストレートに伝えます。また、<RRL>のルーツは西部開拓時代の労働着であり、『大草原の小さな家』のようなアットホームな感じもあります。
柴田 そのインプレッションはよくわかります。「古き良きアメリカ」ですよね。
草野 服の作り手の僕から見た<RRL>は、まず素材が良くて、妥協して作っていない。モノづくりが上手いし、とても理にかなっています。

二人が<RRL>を着てみての感想とは


柴田 実際に<RRL>を着てみていかがですか。
草野 良い意味で、今のスタイルにフィットさせない感じがあります。僕は<RRL>の1960年代をモチーフにしたスーツを買ったのですが、素材は英国の<フォックスブラザーズ>で、縫製は<コルネリアーニ>という今の時代の代表のようなもの。それと自分が所有している60年代の古着を着比べてみたのですが、パンツの股上やわたりの太さなどかなり近いんです。正直、「上手いな」と思いましたね。これなら、“次の時代のアーカイヴ”になり得るなと思いました。
柴田 実は今日、<RRL>を着ていますが、草野さんの言うシルエットの忠実な再現性は、ブランドのポリシーだと解釈しています。<RRL>を着ることはアメリカンヴィンテージ、アメリカントラディショナルを着ることで、「雰囲気を纏う」ことができるのと同時に、どういうふうに着たらもっと格好良くなれるのかなと「着て勉強する」こともできる。<ケネス・フィールド>を着こなすのもかなり難しいですが。
草野 なかなか万人受けはしないですよね(笑)。でもブランドが目指しているのは、より多くのお客さまのクローゼットのお役に立ちたいということ。それができれば僕は服作りをやめてもいいと思っています。
柴田 その「より多くのお客さまのクローゼットのお役に立ちたい」というのはオーセンティック カジュアルのコンセプトとまったく同じです。
草野 クローゼットの中にあって、思わず毎日手が伸びる服を作りたいと思っています。

ルールを学んだ上で、もっとこう着たいと思わせるブランドは大切


柴田 今の世の中には、今風に着こなせるイージーな服がたくさんありますが、<RRL>や<ケネス・フィールド>のような難しい服は、どんなサイズやバランスで着たらいいか、「着ること」を考えさせられます。でも、両ブランドとも服の普遍的な部分を大切にしているので、着ていて硬くないし、立ち位置がしっかりしているので居心地も良い。
草野 <RRL>は考えて着たくなるブランドですね。
柴田 今日は二人ともジャケットの袖口をめくっているし、気が合うな、考えてるな(笑)と。ルールを学んだ上で、もっとこう着たいと思わせるブランドは大切です。<ケネス・フィールド>もアメリカントラディショナルがベースですよね。
草野 はい。僕は80年代後半にアメリカに行ったのですが、自分が体験した80年代以降のアメリカントラディショナルの服を中心に、各年代のさまざまな国や地域のカルチャーに着目してデザインしています。
柴田 <ケネス・フィールド>は2012年秋冬シーズンのデビュー以来、順調ですね。
草野 ありがとうございます。ジャケット、トラウザーズ、シャツ、タイを中心に、デビューから同じ素材を使っているアイテムもあり、当初から考えていた通りの服作りができています。


<RRL>ポップアップストアで「コーディネートコンテスト」を開催


柴田 今回の<RRL>ポップアップストアでは「コーディネートコンテスト」を開催するんですが、どんな着こなしの方が来られるか楽しみにしています。
草野 店頭でのイベント性のある試みは大切ですね。
柴田 今、ファッションが元気になるには、ビッグブランドやメゾンがチャレンジすることが必要で、そういうチャレンジから新しいデザイナーやブランドにも光が当たると思います。お客さまにも同じことがあてはまって、<RRL>というブランドを起点にしてどんな新鮮な着こなしにチャレンジされるのか、とても期待しています。
草野 <RRL>のようなヴィンテージテイストをどう着こなすか興味がありますね。
柴田 自分は草野さんと知り合って、草野さんの服の知識や目利き力から、多くのインスピレーションを受けていますが、作り手である草野さんにとってヴィンテージとはどんな役割ですか。
草野 ハンティングジャケットやフィッシングベストなどの古着を服作りの参考として個人所有していますが、実際はほとんど役に立ちません(笑)。
柴田 なぜ役に立たないんですか?こんなにたくさんあるのに…。
草野 アイデアとして面白いんですが、新しいものをやりたいんですね。でも、今企画している2017春夏コレクションで初めて役に立ちそうです!
柴田 それは楽しみです。古着は“玉石混交”だと思いますが、草野さんが所有している中で“玉”ってありますか。

アメリカの服は“生活の道具”です


草野 そうですね。このジャケットを見ると、アメリカの服は道具だというのがよくわかります。右手で獲物を入れられるように左側にポケットが大きく付いていて、裏返すとそのポケットは取り外し可能な獲物袋になっています。その袋は水が抜けるようメッシュになっていて洗えるんです。
柴田 どこで購入したんですか。
草野 これは大阪の古着屋ですね。年代不詳でブランドもわからないですが、よく考えられていて、ファッションとしてコーディネートの中に取り入れることもできます。
柴田 草野さんは道具と表現されましたが、男の服はストーリーがあって本当に知るほど楽しい。そんないろんな発見をお客さまに届けたいんです。


なぜ今、ヴィンテージを紹介したいのか


柴田 洋服のコーディネートを考えるときに、「これぞ鉄板!」といえる安心なスタイルはありますが、本当の醍醐味は「自分で考えて着ることの楽しさ」に尽きると思います。そのためには草野さんの言う歴史を勉強することも必要なんですね。大事にメンズ服を扱う店には草野さんのような方が必ずいて、組み合わせの妙などを教えてくれます。ヴィンテージに触れることは、その勉強の1つのツールになりえますし、作り手との出会いは、ただ「買う」という行為に無限の広がりを与えてくれますよね。
草野 作り手から発信は本当に必要なことで、まずお店のスタッフの方に知ってほしいです。たとえば<ケネス・フィールド>の服を見て、「あ、ひょっとして80年代のアルマーニがモチーフだな」というのがわかれば、それは「30年代~40年代のアメリカがベースになっている」ということに繋がります。そういうことを理解して接客すれば、お客さまの服を見る目も変わるはず。
柴田 本当にそうですね。それが草野さんの考える“お客さまへの届け方”ですよね。実際、草野さんのイベントでお客さまが楽しそうにお過ごしになってるのを見て、実感しています。そう考えれば、<RRL>はベースがしっかりしているので、一度体験していただければ、実は長く愛用できるものが多いことに気づいていただけるはずです。

<RRL>や<ケネス・フィールド>を着ることは、思想を着ること


草野 ブランドの世界観を知るという意味では、たとえば<RRL>のウエスタンシャツを着たら、乗馬クラブに行って、ドライ・エイジド・ビーフを食べるとか(笑)、そういう実体験すればより理解しやすいですね。
柴田 確かに。<RRL>を着ることはラルフ・ローレンの考え方を着ることで、<ケネス・フィールド>を着ることは草野さんの想いを着ること。ここまで話してきて変な話ですが(笑)今日は<RRL>のデニムパンツの丈を思いっきり短くして、プレスもかけています。草野さんにお聞きしたいのでが、こうやってブランドが考えている本来あるべき着こなしを曲解したとき、デザイナーはどう思いますか。
草野 それはもうその着こなし方がその人のキャラと合っているかいないかですね。自分で分かって着ている人は格好良いですよ。
柴田 ブランドの思想を着ながらも、間違って伝わっていなければ気にしない?
草野 その人のスタイルとして成立していればそれでOK。“ケネス風”でも消化されていれば大丈夫です。
柴田 いわゆる味の濃いブランドは、まず入口の思想を理解して、それに慣れてきたら自分のアレンジを加えていくといいですね。
草野 <RRL>なら全身コーディネートで、ワークブーツやウエスタンブーツを履いて、馬に乗ってみると服の作りが分かるはず。だから、馬事公苑で乗馬体験して、がっつりステーキ(笑)。
柴田 <ケネス・フィールド>を着てどこかに行きましょう!
草野 どこがいいか、色々なシチュエーションを考えます!

Photo:Suzuki Shimpei

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