2018.07.12 update

【インタビュー】アイウェアデザイナー 渡辺利幸|<BLANC/ブラン>のサングラスを全身鏡で見て選んでほしい理由(ワケ)(1/2)

アイウェアは小物だけど、スタイルを完成するために不可欠な名脇役なんです」──そう語るデザイナー渡辺利幸氏が手掛けるブランド<BLANC/ブラン>にフォーカスしたポップアップイベントが、7月11日(水)より22日(日)までメンズ館2階=インターナショナル クリエーターズにて開催される。今回は、同氏へのインタビューを敢行。「<ブラン>を選ぶときは、首から上だけで見るのではなく全身が写る鏡の前で“引き”で見て、トータルのスタイリングで、自分のスタイルにフィットしているかを判断してほしい」と続けたその理由とは。

イベント情報
<ブラン>プロモーション
□7月11日(水)~22日(日)
□メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズ
▶イベント詳細はこちら



アイウェアブランド<BLANC/ブラン>のデザイナー渡辺利幸氏


掛けていることで個性が増すアイウェアでありたい 


――アイウェアは小物だけど、欠かせない名脇役という発想が面白いですね。
渡辺 アイウェアそのものが顔の上で異彩を放っては、目立ち過ぎて、掛けている人が脇役になってしまいます。使い心地や掛け心地の良さはもちろん大事ですが、その人の今のスタイリングの中で「こう着こなしたい」というイメージ作りに一役買えるアイウェアになることが<ブラン>の今のゴール地点。掛けた人に“ファッション”を感じてほしいです。

――それは、渡辺さんがセレクトショップのバイヤーや店長を務めていた経験からの発想ですか。
渡辺 そうですね。洋服に合わせる靴やバッグを買うのにセレクトショップへ行くことは当たり前になりました。「あのショップのバイヤーが選んだものが好き」とか「あの店のセレクトは間違いない」というのも当たり前になってきましたが、アイウェアはまだまだ専門店の感覚が強いものです。特にサングラスは装いの一部となるファッションアイテムとして選んでほしいので、<ブラン>のサングラスは10年ぐらいかけてそういう風に選ばれるアイテムにしていきたい。

――それは“自分のスタイルにピタッとはまる”感じというか……。
渡辺 SNSが主流の今の時代に「いいね!」と言ってもらえることは増えましたが、「欲しい!」と思ってもらえるブランドにしていきたい。サングラスはユニセックスなアイテムなので、男女問わず「いい感じ」に収まってくれるとうれしいですし、その人の個性になればいい。掛けたときに“感覚的にピタッときた”と思ってもらえたら最高ですね。

 

アイウェアブランドをやるなんて1ミリも考えていなかった

 
――渡辺さんは、福井県出身。<MIHARAYASUHIRO/ミハラヤスヒロ>の立ち上げに参画し、直営店の店長やセレクトショップのバイヤーを務められていたとのこと。三原さんの影響は受けていますか。
渡辺 三原さんの作る靴が好きでした。独学で靴のデザインからスタートし、あれだけの大きなブランドに成長させていく過程を間近で見せてもらって、一からブランドをスタートする大変さ、楽しさを学ばせてもらいました。でも、店を離れるときは、自分がアイウェアブランドをやるなんて1ミリも考えていなかったです。ファッションには18年関わりましたが、一度リセットのつもりで業界を離れました。

――それがどうしてアイウェアを作ることになったのですか。
渡辺 フリーランスでバイヤーをやりながら、東京と福井を行き来しているうちに、地元にメガネの製造に携わっている友人がいて、「サングラスなら作れるかな」とまったく甘い考えでサンプルを作り始めました。当時を振り返ると、“やってしまった”というのが正しい言い方です(笑)。そうしてサンプルを作っていくと面白くなっていくんです。


サングラス 27,000円


――どういうところに面白みを感じたのですか。
渡辺 最初にサンプルを3型作りましたが、全部格好悪かった。それを何度か繰り返して、サンプルが無駄になるほど燃えてきて、「絵ではカッコイイのに、どうしてサンプルは格好悪いんだろう」と。サンプルをミリ単位で修正して、顔の上だと雰囲気がガラッと変わるのがだんだんわかってきて、「フワッと作っても通用しない世界だな」ということを痛感して、作るのが面白くなっていきました。

――それでブランドデビューは?
渡辺 サンプルを15~6個ぐらい作ったときに、アパレル時代の友人に見せたら意外と好評で、サンプルしかない段階でファッション雑誌に載ってしまって、発売せざるを得ない状態になって量産をスタート。なので、2012年にプレデビューして、2013年春夏からコレクションがスタートしたというのが正確なブランドヒストリーです。

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