【Fun to Dress vol.5】 ウェルドレッサーの装いに必要なもの|日本橋三越本店 パーソナルオーダーサロン

日本橋三越本店 本館2階パーソナルオーダーサロン 担当バイヤー山浦勇樹

ライフスタイルを網羅するフロアへと舵を切ったパーソナルオーダーサロン。
その目玉となるふたつのオーダープログラムがいよいよスタートします。コンセプトは、ウェルドレッサーがワードローブに揃えてしかるべきもの。サロンの一切を取り仕切るバイヤー、山浦勇樹がそれぞれの魅力をたっぷりと語ります。


あらたなオーダープログラムがふたつ、始動

  1. 古き良きフィレンツェのものづくり──タイ ユア タイ
  2. 徹底してアメリカンシャツを再現──大坪シャツ
  3. ほんとうに着たいものをつくりました

古き良きフィレンツェのものづくり──タイ ユア タイ


ルビナッチ、チフォネリ、ヘンリー・プール。世界の三大テーラーといわれる名門を取り揃えたパーソナルオーダーサロンは目の肥えたカスタマーから高く評価されてきました。玄人好みなこの路線をさらに推し進めたのがここで紹介するオーダープログラムです。

ひとつが、フランコ・ミヌッチ氏の私物をベースにしたスーツとジャケット。ミヌッチ氏といえばフィレンツェ伝統の7つ折りのタイ、セッテピエゲを広めた<タイ ユア タイ>の総帥ですね。


左:<タイ ユア タイ>メイド トゥ メジャースーツ
右:フランコミヌッチ氏私物


ミヌッチ氏はメンズファッションの祭典、ピッティ・ウォモの羅針盤といわれたウェルドレッサーです。セッテピエゲのタイが象徴的ですが、単なるウェルドレッサーではなく、その土地に根付いた文化をもまとっているのが別格とされる所以です。




フランコ・ミヌッチ氏
フィレンツェにある紳士服の名店「TIE YOUR TIE /タイユアタイ」の創業者。イタリア髄一の洒落者と言われ、あのピッティウォモの羅針盤と言われる人物。

<タイ ユア タイ>の名を冠したこのスーツのポイントは肩まわりにあります。袖を通せば目を丸くすること請け合いの、軽やかな着心地。それでいて構築的なシルエットは担保されている。アンコンにみえて、ごく薄い芯地が入っているんです。そしてなだらかに落ちるショルダーライン。まさにフィレンツェならではのものといっていいでしょう。

二面体構造も特筆すべきポイントです。ご覧いただけばわかるようにそのジャケットには細腹がありません。古き良きこのコンストラクションには柄合わせに頭を悩ませる必要がない、というメリットもありますが、なによりも包み込むような丸みを帯びたシルエットが最大の見どころです。そのシルエットは、エレガントのひと言。

補正を考えれば細腹はあったほうがいい。メイド トゥ メジャーに二面体構造を採り入れることができたのは、生産を委ねた工場に1㎜単位で補正できる技術があったから。


日本の製造現場を足繁く訪れてわかってきたのは若手を積極的に採用し、技術の継承を行っている工場が少なからずあったということです。彼らのものづくりはけして海外のそれと比べてもひけをとらない。そして年を追うごとに深化しています。

ゴージラインや角を落としたポケットのシルエット……そういった細部のつくり込みからもたしかな技量がうかがえます。


徹底してアメリカンシャツを再現──大坪シャツ


もうひとつが、大坪洋介氏が監修するその名も<大坪シャツ>です。大坪氏は業界では知らぬ人はいないファッションレジェンド。ロサンゼルスに29年暮らし、ローガンやリーバイスのディレクターとして活躍した日本を代表する御仁です。
大坪氏はファッション全般に精通しているかたですが、とりわけ、アメリカ、そしてそのシャツへの造詣が深い。

大坪洋介氏
1970年代より29年間、米国カリフォルニア州、ロサンゼルスに在住した経験を持つ。40年以上、アメリカと日本を含むアジア、ヨーロッパにおいて、アパレル領域で幅広く活動。20代よりクラシックカーを運転し自身でメンテナンスするのが趣味の一つ。
現在は、常に、新しいライフスタイルを紹介する役割を担うための、懸け橋になりたいとの思いから活動している。

大坪さんがアメリカンシャツに開眼するとっかかりは厚木の米軍基地。基地にはスーツ、シャツ、靴の仕立て屋が軒を連ねていて、レコードジャケットでみた憧れのシャツがつくれるらしいと噂に聞いた大坪さんは矢も盾もたまらず飛び込んだそうです。ロスに移り住んでからはバーグドルフ・グッドマンが贔屓の店に。当時はまだまだドレッシーな時代。ビジネスもディナーもそれなりの格好をすることが求められた。デニムに合わせられるシャツをつくろうと思って門を叩いたのがバーグドルフだったとか。


 

ラインナップはラウンド、ボタンダウン、レギュラー、ワイド。4つのパターンに通底するのがやわらかく、控えめな剣先です。ステッチは存在感のある6㎜幅に。

そのほかのスペックも徹底してつくり込んでいます。ハンガーループ、ボックスプリーツ、そしてフジヤマボタン。いずれもクラシカルなアメリカのシャツに欠かせないものです。

フジヤマボタンとは後ろ襟にとりつけたボタンと逆さ富士のように中央を屹立させたネックバンドのシルエットをいいます。<大坪シャツ>のアイコンとすべく、そのシルエットは全襟型共通としました。



このプログラムのみで選択できる胸ポケットもそう。カーブを効かせたこのポケットをわれわれはバックラーポケットと命名しました。大坪氏の愛車、バックラーに似ていることからのネーミングです。

低めに設定した第一ボタンもこだわりです。従来のバランスだと、ひとつだと足りなくて、ついふたつ開けたくなってしまう。しかしふたつ開けてしまうと少々だらしがない。第一ボタンを開けたときのバランスの美しさをとことん突き詰めました。

<大坪シャツ>らしさがもっともあらわれているのがラウンドカラーです。低い台襟といい、小さな剣先といい、まさに往年のラウンドを彷彿とさせます。サンプルではこのラウンドにターンナップのツインバレル(角落とし)を組み合わせました。あまり見ない組み合わせですが、ひとつひとつは歴史に則ったものであり、仕上がってみればまるでファッション史の教科書に載っていそうな佇まい。こういう遊びは、オーダーならではの醍醐味といえるでしょう。


パーソナルオーダーサロンにはすでに<CHOYAビスポーク>と<南シャツ>があります。前者はイギリス、後者はイタリアに範をとったシャツです。アメリカンシャツにオマージュを捧げる<大坪シャツ>をわれわれは三本目の柱として育てていきたいと思っています。

 

ほんとうに着たいものをつくりました

 

これまでの百貨店のオーダーフロアはなんでもありで結局はつくりたいものがありませんでした。われわれはわれわれがほんとうに着たいものを提案する必要がありました。

 

このたびのオーダープログラムはみずからに課したハードルを越えることができたと自負しています。それはとりもなおさず、無類の服好きが集まって侃侃諤諤やりあえたからです。シャツはタグひとつとっても膨大なアーカイブを前に膝を突き合わせましたし、スーツを担当した工場の責任者はミヌッチ氏の私物を手にとって目を輝かせていました。それをみて、わたしの目も輝きました(笑)。

ドレスクロージングという底なし沼のような世界にハマってしまった人をも満足させるだろうこのオーダープログラムは、一方で裾野を広げる試みでもあります。エントリープライスは<タイ ユア タイ>のスーツが141,900円から、<大坪シャツ>が16,500円から。手にとりやすい価格設定を実現しました。ぜひ一度、足をお運びください。

 

イベント情報
タイ ユア タイ>POPUP
  • 開催場所:日本橋三越本店 本館2階 イベントスペース

タイ ユア タイ>オーダー詳細

  • メイド トゥ メジャースーツ:141,900円から(お渡し:約5週間後から)
  • メイド トゥ メジャージャケット:141,900円から(お渡し:約5週間後から)
イベント情報
大坪シャツ>新プログラムオーダーフェア
  • 開催場所:日本橋三越本店 本館2階 パーソナルオーダーサロン
  • 大坪 洋介氏来店、スタイリング会:10月2日(土)、3日(日)各日午前11時~午後6時

大坪シャツ>オーダー詳細

  • シャツ:16,500円から(お渡し:約5週間後)

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Text:Kei Takegawa
Photograph:Tatsuya Ozawa

*価格はすべて、税込です。
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