ブラック、ワイルドダヴ、ホワイトの3色展開。ホワイトは日本限定カラーとなる。jp.ecco.com/ecco-exostrike-dyneema

スニーカー「ECCO EXOSTRIKE」41,040円
 

フットウエアの可能性を広げる、ライフスタイル主義という哲学

 

榎本 三原さんは実際に<エコー>の工場をご覧になっているということですが、やはり他所とは違いましたか?
三原 日本や中国の生産現場をよく知っていますが、根本からして違っていますね。エコー・レザーのタンナー部門に限っても、すべてが整然とオーガナイズされていて、働く人に対しての敬意を感じるんです。健全な環境が整えられている。しかも原皮そのものがとても“新鮮”な状態で届けられるから、素材が良すぎて嫉妬のあまりムカつくほどです(笑)。
山本
確かに、それはズルい(笑)。
三原 マグロでいうトロの部位のような最高級レザーは、ビッグメゾンの衣類やバッグに使われることがほとんど。シューズに使われることなんてないんです。でも<エコー>のシューズには、そのランクのレザーが惜しげもなく使われている。中敷きに使われているレザーは、某有名メゾンがバッグのハンドル部分に採用しているものと同じなんていう例も、珍しくありません。


三原<エコー>が本当にすごいと思うのは、デザインはもちろん、アッパーレザーからソール、図面、果てはパーツの金型までも自社グループ内で賄ってしまうところ。「エキソストライク」に関していえば、外注しているのはシューレースくらいなんじゃないでしょうか。ポルトの自社工場には、木型の専門工場も隣接されているんです。木型製作の専門家が木から削り出した型をスキャニングしてデータ化し、人間工学に基づいた修正を加えて職人にフィードバックする。そんな職人技術と最先端テクノロジーの相互通行的なモノ作りを実践しているんですよね。
山本 コンピューターを駆使したデジタル技術と、人間が培ってきたアナログ技術がきちんと融合しているということですね。お話を伺っていると、三原さんのモノづくりの理想的環境が、<エコー>にはあるってことなのかと思ってしまいます。
三原 靴作りの未来がこんなところにあった!と思ったほどでした(笑)。彼らが掲げる、ファッションシューズでもスポーツシューズでもない”新しいフットウエア”を作るという理念は、僕自身のモットーとも重なるものなんです。「エキソストライク」は、フットウエアの可能性を広げてくれるものかもしれません。勝ち負けを競うわけではなく、ただカッコいいだけでもない。純粋に履いていて楽しく、快適で、気持ちがいい。そういう意味で、とても人間らしいシューズでもあります。


山本 もしトレッキングに出掛けるとしたら、アウトドアではもちろん、その行き帰りも「エキソストライク」で通すという履き方もよさそうです。僕はおしゃれすること自体が時代遅れになってきてるふしがあるんじゃないかと思っているんですが……。じゃあ、なにを基準にモノ選ぶのかといえば、パフォーマンスなんです。僕はスポーツをよくするので、高いパフォーマンスを実感できてこそいいモノなんだという思いがあります。だからもしISPOで認められていなかったとしたら、ちょっと見る目が変わっていたかもしれません(笑)。権威あるアウトドア分野のアワードで、パフォーマンス面でのお墨付きを得たわけですから。
榎本 僕は山本さんとよく一緒にランニングしているんですが、身体を動かすというのはファッションよりももっと、本質的なこと。さまざまな大手スニーカーブランドの最先端テクノロジーにときめく自分がいることは事実ですが、この手のテクノロジーというのは日常生活においてはトゥーマッチなんですよ。その点、履く人のライフスタイルに寄り添ってタウンからトレッキングでの履き心地を追求している「エキソストライク」は、真面目で真っ当な<エコー>の姿勢を反映していると感じますね。


三原 ディテイルで特に気に入っているのが、ヒールカウンターがソールと一体化した部分。ヒールが飛び出して見えるこの仕様、実はランニングシューズに適したものなんです。テコの原理で、グッと前に踏み出す推進性が高まるんですね。トレッキングシューズにこのディテールを採用しているところに、「エキソストライク」ならではの方向性を感じます。年配の方でも、いつもより軽快な足運びを感じていただけるかもしれませんね。
榎本 僕は、このホワイトレザーバージョンがいいなと思いました。スニーカーであればホワイトレザーというのは多くのモデルが存在するんですが、トレッキングシューズとなると、あまり見ないし新鮮です。個人的には、ローカットがあればさらにありがたいんですが……。
三原
秋冬モデルで登場するらしいですよ(笑)。
榎本
あ、それはうれしいですね。


山本
カラーリングも魅力ですよね。パフォーマンスシューズは機能性を視覚化し、それに色を付けていくことが多いと思うんですが、グレーやホワイトのワントーンにモノトーンなど、色使いが控えめで洗練されている。街履きとして使いやすいポイントなのかなと思います。
榎本
グレーが一番スニーカーっぽいですよね。カジュアルに履きやすそうです。
山本
確かに。こういうシューズがリリースされてきたのを見ると、<エコー>のデザインチームの感度って、相当高いんだろうなと想像できますね。「エキソストライク」は、決してドヤ顔で履くシューズではない。アイコン化されたロゴやブランドに頼ったりせず、モノの本質を見極める感性を持った、洗練された大人が選ぶシューズなんだと思います。

Text:Junya Hasegawa(america)
Photo:Shimpei Suzuki

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