随所に職人技が光る、着心地抜群なシャツ


「まず僕が感動したら、きっとお客さんも感動してくれるはず。自分は、中途半端なものでは感動できない、結構ハードルが高い人間だと思うんです。だからこそ、それを超えられればきっと多くの方が納得してくださる。そういうモノづくりがしたいんです」。そんなプロセスを経て世に送り出されるアイテムの中でも特に思い入れが強いのが、シャツだ。

松島氏は、ほぼ毎日シャツを着て、そして革靴しか履かない。「それは、いつ何時でも高級レストランやホテルに行けるための準備なんです。それがスタイルになったんですが、Tシャツだけで外に出るのは自分にとっては準備不足だから人にも会わないようにします」。その服装によって、したいことが遮られてしまうことをカッコ悪いと感じ、そしてどうせ袖を通すのなら最上級のもので整える。


<カンタータ>のシャツでまず見て頂きたいのは、縫いの技術。とにかく運針が細かい。「袖付けに関しても、通常の折り伏せ縫いではなく、突き合わせにして縫っています。このため内径と外径の差がほぼなくパッカリングもできにくい」。パッと見では分かりにくいが、随所に職人技が光っているため、実際に袖を通すとアームホールはきつめに設計されているのに腕の動かしやすさを感じるはず。

生地のクオリティは言わずもがな。触り心地がとにかく滑らかで、美しい光沢があるGIZAコットンの126番双糸を平織りのブロードで仕上げている。「実は生地の最終フィニッシュで椿油を入れているんです。こうすることでファーストタッチが気持ち良く感じるんですね。何度も洗うと取れてしまうので、公式では謳っていませんが…」。そして、生地の風合いを損ねないためにフラシ芯を使い、接着芯を使わない。これは生地を作った方への敬意が含まれる。


さらに、シャツのカフは通常直線が多いが、<カンタータ>のそれはカーブしている。「手首に沿うので馴染みも良く、曲げたときにシワも出にくいんです」。ジャケットの袖から覗かせたときにエレガントに見えるようボタン位置も手首側に設定するなど、細かいところ気を使っているのも感じられる。

もちろんディテイルだけでなく、見た目にだってこだわりは満載。「着たときのシルエットが美しく見えるよう、ヨークの位置を高く設定することで背中を大きく見せ、肩の可動範囲を広げるため着心地も良くなります」。その価格以上の価値が詰め込まれ、豊かな表情を描く<カンタータ>のシャツ、袖を通すときっと贅沢な気分を味わえる。

Text:Ryutaro Yanaka
Photo:Tatsuya Ozawa

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