【インタビュー】独自の美学で靴づくりを追求する、日本のシューズブランド <ペテロオラウム>と<フォルメ>|JAPAN CREATION
- 10.09 Wed -10.22 Tue
- 伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
10月2日(水)より伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーションで開催される「JAPAN CREATION/ジャパンクリエーション」の一環として、10月9日(水)より2週間、シューズブランド<PETROSOLAUM/ペテロオラウム>と<forme/フォルメ>のプロモーションを展開。靴づくりの知識や技術をベースに、独自のスタイルを追求するふたつのブランドの担い手を招いて、担当バイヤーの鏡とともに、クリエーションの背後にある姿勢などについてお話を伺った。
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──10月9日(水)からメンズ館1階で、<PETROSOLAUM/ペテロオラウム>と<forme/フォルメ>のプロモーションを実施します。期間中、双方のレディメイドシューズをご紹介しつつ、特別にオーダーメイド(メイド・トゥ・オーダー)も展開します。
伊勢丹新宿店 紳士靴バイヤー 鏡 陽介:荻野さんと小島さん、デザイナーのおふたりにお会いした際、おしゃれだなと感じたことと、それぞれの靴がファッションとリンクしやすいと感じて、こうしてご本人にご登場いただく機会を設けました。他にはない唯一無二の存在感を、おふたりの言葉も交えて、より多くの方に知っていただきたいと思っています。
──おふたりは、ブランドを始められてどのくらいになりますか?
<ペテロオラウム>荻野 宗太郎氏(以下、敬称略): 2012〜13年の秋冬がブランドのファーストコレクションなので、13年目になります。
<フォルメ>小島 明洋氏(以下、敬称略): うちは2009年スタート。シーズンでいうと2010年からですか。
──それぞれ10年を超えるキャリアがある、ということですね。ブランド始めた当初から現在のような形でしたか?
荻野:いいえ。ブランド始めた当初は、ここにある靴の木型を含めたモデルはありませんでした。設立当初から数シーズンは意図的にモードアルチザン寄りのブランディングをしていたので、少し土臭かったり、やや荒々しい印象でした。コバの仕様とかも粗めで削りっぱなしだったりとか。もちろん現在も展開しているモデルもありますし、シーズンを重ねるごとに変化を続け、今の形になっています。
──ご自身の作風というか、<ペテロオラウム>ブランドのテイストが固まったとお感じになったのはどのぐらいからですか?
荻野:ブランドとして作っているシューズのテイストの幅はかなり広いと思います。伊勢丹ではクラシック寄りの、すこしきれいなものをセレクト頂いてますが、他のお取引先だと製品先染めのラインや、アントワープのブランドとのコラボレーションラインなど、お店によって扱っている靴が大きく違います。そこは僕も狙っているところで、ブランドに匂いをつけたくないというところはテイストとして一貫しています。
──荻野さんは、靴業界にはずいぶん前からいらしたのですか?
荻野:大学を卒業後、浅草の工房で靴づくりを学びながら、最初はインテリア業界で、その後アパレルに行って、30歳で独立を決めていたので27、28歳ぐらいから最終的に靴業界に入って、独立しました。ブランドを始める前から職人としてつくる側というだけでなく、デザイナーとしてちょっと違う方向性を目指したいと思い、現在のような形になっています。裁断から縫製も自ら行うことで、アイディンティティとして量産の中に手仕事を残せるものづくりができたらと思っています。
小島:デザイナーがアッパーの縫製に関わっているというのは、珍しいですね。
荻野:大変ですが、楽しみながらやれています。その作業の中での気づきが次の靴づくりにつながったりすることもあるので自分の中では必要な時間になっています。
──<フォルメ>小島さんは、例えばパターンなどはご自身で手がけられていますか?
小島:パターンに関しては、ブーツなど特殊なものを一部担当して、あとは外部の方に依頼しています。ベースとなる木型は僕が自分で削っています。また木型に線を描くデザインのプロセスなども自分でやっています。
荻野:小島さんも、僕もそうですが、(靴づくりを)ひと通りやろうと思えばできます。もちろん職人さんに比べたら技術的にも劣りスピードも遅いですが、(靴づくりについて)全般的に知っていることは、僕たちの強みではないでしょうか。
──お二人に注目したのはまさにその点です。(靴づくりの)技術をお持ちなので、自分たちが作っているデザインに対して合理的に向き合っていらっしゃるのかなと、思いました。(鏡)
小島:構造とかがわかってないと、どこまで(デザインの)線を引いたらいいか、判断が難しい。そして履き心地などは生み出せません。
──靴づくりにおいて、こんな靴がいいという、当初思っていた、または今も考えていることは、ありますか?
荻野:自分が学んだ手製による伝統的なテクニックを取り入れた製品づくりをブランド創設時からブレずにやってきた中で、オリジナリティを追求し、今の感覚で自分が履きたいと思うものになっているかは絶対条件としてあります。
今思うと12.3年前はその視野が狭かったのですが、年を重ね自分自身のライフスタイルも変化する中で視野が大きく広がり感覚が良い方向に変わっていると思います。
その感覚が今後、またどのように変化し、ブランドとして幅を広げていくのか自分自身も楽しみです。
──小島さんは、例えばクラシックなメンズシューズに対して、<フォルメ>はどのようなスタンスのブランドだとお考えでしょうか?
小島:古い靴が好きなんですけど、僕が意識しているのは、特定の国とか、年代とか、ジャンルにあまり括られないようにすることです。革靴のブランドは、特定のジャンルなどに属した方が、受けいれられやすいと思っています。そしてどうしても発祥である欧州や英国の靴に追従するというか、合わせることが良しとされてきました。
ただ現代においてはそれがちょっと変わってきていて、独自の方向性を模索したり、考えたりすることに意義があると考えています。そして、僕のクラシックの取り入れ方はちょっと「ずるい」と思います。現代性がある靴として、変わったパターンやデザインを盛り込む際に、ごくクラシックなテイストやディテールを併せて取り入れると、説得力が出るんです。そのことで見覚えある感じが生まれて、お客さまも安心するというか。
小島:あと、世界的に昔は当たり前だった技術がどんどん見られなくなってきていて、だからこそそれを残していきたいと思っています。日本でならばまだできるからやろうと。
──<フォルメ>の生産背景には、浅草の靴づくりがあります。ただ、最近は自社での靴づくりにも注力されているように映ります。
小島:自分としてつくりたい靴のクオリティを維持しようとすると、外注だけでは心許ない時代なんです。ものづくりを続けていくために、ある程度自分たちで担っていく必要があると感じています。
──荻野さんの<ペテロオラウム>の場合も、やはり浅草の製靴産業が重要な役割を担っていると思いますが。
荻野:そうですね。それとうちの場合は、アッパーで使っている革は、姫路でつくられているものが中心です。ブランドスタート時から、日本の素材で、海外で勝負したいという思いがありました。いい革が世界にたくさんあるのは承知の上で、あえて人と同じものは使いたくなかった。あと、素材でも自分を表現したいとも思っていました。
──いわゆるホースバットというか、コードバン層が半分くらいある馬革を使われていますね。
荻野:コードバンバットですね。タンナー(製革業者)さんにコードバン層とバット層が混じった原皮を選別してもらい、それらを製品化し使っています。
──この馬革を含め、荻野さんの革の選定基準は、かなり独特なようにも感じます。
荻野:僕は、決してきれいだからいいとは思わないんです。拙さや粗さにも美学があると思っていて、そこを革を見るときのスタート地点として、大切にしています。あと、素材を見て調理方法を考えるシェフじゃないですけど、それぞれの革に一番適した見え方というのも、あると思っています。例えば今季展開しているチロリアンには(牛の)ショルダーの革を使っているのですが、もともとシワのあるショルダーをヴァンプのパーツにあえて使って、トータルのバランスでワイルドな雰囲気につながっています。
──<フォルメ>の革に関しては、イセタンメンズで展開しているモデルは、イタリア・イルチア社のボックスカーフという高品質な革が使われています。
小島:これはイセタンメンズの別注としての展開ですが、ちょうどこの革が手に入ったタイミングで鏡バイヤーにお会いすることになって、このような形になりました。僕の中でもどのようにこの革を使ったらいいのか思案していたところだったので、すんなりと展開できて良かったと思っています。
鏡:このイルチアのボックスカーフを使った靴は、定番的に取り扱っています。さらに今回のプロモーションでは、新たに3型をオーダーメイドモデルとして展開します。いずれも<フォルメ>の新作に、イルチアのボックスカーフを使ったものになります。
──さらに<ペテロオラウム>でも、クロコを使ったコンビモデルを、オーダーメイドモデルとして展開します。
荻野:これらの靴は今シーズンからイベント限定で展開しているモデルです。<ペテロオラウム>では一貫してクロコダイルやオーストリッチなど、型押しではなくリアルなエキゾチックレザーのみを使用しています。今回はコンビネーション使いにすることで、クロコダイル革がもつ美しさや力強さを日常的に取り入れやすいモデルとなっています。この2型以外にも、イベント期間中はさらに2型をご用意する予定ですので楽しみにしていただければと思っています。
鏡:今回ご紹介する2つのブランドは、それぞれ独自の個性を持っていますが、実は共通していることがあって、足入れの良さ、履き心地の良さなのです。それは荻野さんと小島さん、それぞれに独自に追求を重ねた木型と、木型の形状を反映する確かなつくりが実現したものです。
ご興味ある方はぜひ、プロモーションにお越しいただき、直接にお手にとってご覧ください。
- 開催期間:10月9日(水)~10月22日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
- 価格:詳しくは店頭にお問い合わせください。
- お渡し:2025年4月下旬~
- 価格:143,000円~
- お渡し:2025年4月下旬~
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- 開催期間:10月2日(水)~10月22日(火)
- 開催場所:伊勢丹新宿店 メンズ館1階 プロモーション
Text:Yukihiro Sugawara
photographer:Yusuke Iida
*価格はすべて、税込です。
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