靴磨き職人に家でできるシューケアを聞いてみた。|ISETAN靴博2020


靴磨きのプロフェッショナルたちに聞いた、「家でできるシューケア」のやり方を詳しく紹介します。


【女性編】靴磨き職人が薦める、ベーシックケア。


ブリフトアッシュの店長を務める嶋香さんに、女性にやってもらいたいケアを教えていただきました。


嶋香友那
〈ブリフトアッシュ〉青山店店長。同店でのキャリアは7年目。女性の靴のケアや磨きは「季節の変わり目などに、修理も併せてお持ちいただくのがいいと思います」とのこと。


1. 女性の靴で意外に気になるのがインソールの汚れ。ここをまずアルコールの入ったウェットティッシュなどで拭く。その際ブランドロゴなど顔料の部分は避けるように。


2. 馬毛のブラシでまず汚れ落しをする。馬毛のブラシはケアには必須、と嶋香さん。「家に帰ってきたら馬毛で靴のホコリ落し、のクセをつけていただければベストです」。


3. 古いTシャツの切れ端などの布にクリーナーをつけて、革表面の油分を落とす。お肌のクレンジングの要領で、革の上でやさしく、くるくるとまわしながら拭いていく感覚。


4. 指で乳化性クリームを塗っていく。この場合は無色のクリームを、お肌に保湿クリームをつける感覚で塗る。2 センチ角ごとに指につける感じ。表面がもちっとしてきたらOK。


5. その後は豚毛のブラシを使って表面のブラッシング。革の表面についているクリームを革の中に押し込むような感覚でブラッシングしていく。硬い豚毛の効果がある。


6. さらに表面にまだ残っているクリームを、乾いた布(先ほどの布の別の面でOK)で乾拭きしていく。その際は、くるくる丁寧にではなく一方向にさっと拭くのでOK。


7. トウ(つま先)部分や踵部分のキズなどが気になるところには、革の色の乳化性クリームを塗って拭き取る。直に指で触るのに抵抗がある人はゴム手袋を使ってもいい。


8. 仕上げは山羊毛ブラシがお薦めだが、そのかわりとして、古いストッキングを使うのもあり。嶋香さんはこのようにスポンジをストッキングでくるんだものを使っていた。


9. 今回ケアに使用したブラシ類。左が豚毛のブラシ、中央が馬毛ブラシ、そして右がスポンジをストッキングでくるんだ自作の仕上げ道具。


10. 右のふたつが無色の乳化性クリーム、残りの3 つがクリーナー。真ん中の『ブリフトアッシュ』の鏡面磨き用クリーナーは革を傷めずワックスを除去することができる。


【男性編】ひとつのクリームで行う、シンプルケア。


靴磨き芸人としても活躍する奥野さんに、ごくごく簡単なケアを教えていただきました。


奧野 奏
「靴磨き芸人」としてYouTube で人気の奥野氏(最近は「宅飲みグルメ」も人気)。今年の7 月には、東京・池袋に靴磨きと革靴のショップ『SHOEBOYS』をオープンした。


1. 家でもできる簡単なケア方法として奥野氏が準備していたのが、この「サフィール ノワール クレム1925」の無色。油性のクリームということで選ばれている。


2. 奥野氏はこのように指の腹に盛った感じでちょっと多めにとっていた。使う布は、たとえば古いシーツやベットカバーなどの平織りの布がお薦めという。


3. 布でとったクリームを、靴の表面に塗っていく。指をくるくると回しながら、塗りつつ拭いていくような感じで。履きジワの部分や履き口は念入りに。


4. 古くなったワックスが落ちているのがよくわかる。油性のクリームはまた、油性のワックスを取りやすいという。さらに保革にもつながるとも。


5. クリームをのばし終えたら、布の乾いているところで乾拭きしていく。古くなったネルシャツを切って使ってもいいそう。表面を拭き取るような感じで。


6. 左が一連の磨き作業を終えた靴。色の深みや、落ち着いた光り方などが一目瞭然。「このやり方は単純ですが、靴が長持ちする磨き方ともいえます」と奥野氏。

Photograph:Takao Ohta
Text:Yukihiro Sugawara

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