2020.03.31 update

【オーダー体験 1】182cmの長身で細身・いかり肩にフィットするオーダーシャツを作りたい

メンズドレスでは、シャツは素肌に着ることから「シャツは肌着」とも言われます。肌着感覚で着るなら、フィット感とサイジングにこだわりたいし、ビジネススタイルの必須アイテムなら、好みの生地やデザインにもこだわりたい。
本企画では、既成のシャツに悩みを抱える体型の違う2名の男性にオーダーシャツを体験していただき、その既製シャツに対するお悩みを、メンズ館1階=ドレスシャツ・ネクタイのスタイリスト花野友彦が伺っていきます。

  1. 「既製シャツだとどこかを妥協して着ています」という田實さんのリクエストは?
  2. [生地選び]「このスーツに合うシャツ」とスマートフォンで撮影してきた写真を見ながら生地選び
  3. [デザイン選択]実物の仕上がりイメージをタブレットで見ながら、ディテールを決める
  4. [採寸]オーダーシャツの採寸箇所は最低16ヵ所。体型補正はスタイリストの腕の見せどころ!
  5. [オーダーを終えて]シャツにはあまりこだわってこなかったので、出来上がりが楽しみ!


「既製シャツだとどこかを妥協して着ています」という田實さんのリクエストは?


「既製品のシャツを着ると、手の長さが足りず、お腹まわりがダボッとします」という悩みを抱えるのは、身長182cmで痩せ型の田實(たじつ) 宗太朗さん、26歳。
「毎日スーツを着て仕事をしています」という田實さんは、デスクワークが中心で、クローゼットの中にはスーツが4~5着、シャツは7着ほどあるそうです。オーダーシャツは「友人の結婚式に出席するため」2回ほど作った経験あり。イセタンメンズのオーダーシャツは初めてで、まず生地選びからスタートします。

 

[生地選び]「このスーツに合うシャツ」とスマートフォンで撮影してきた写真を見ながら生地選び


「今回はスーツのときに着るビジネス用のシャツを作りたいです」と田實さんは、気に入って着ている茶色にネイビーのペーンが入ったスーツをスマートフォンで撮ってきて、花野に見せます。

花野 こういうウィンドウペーン(窓の格子のような柄)のスーツなら、ペーンの色に合わせて、ブルーの無地などがビジネスには好適ですね。
田實 いつもは白無地か、ブルーのストライプのシャツを合わせていて、ブルーの無地は持っていないのでいいと思います。
花野 シャツ生地のお好みはありますか?


田實 しっとりした生地より、硬さがある丈夫な生地が好きですね。
花野 パリッとして、ハリ・コシのしっかりした生地ならオックスフォードがおすすめです。このサックスのオックスフォード生地はいかがですか?
田實 この色なら、手持ちのネクタイにも合わせやすそうです!
花野 かしこまりました。尚、お選びいただいたオックスフォード生地は縮みやすい特性がございます。そこで、裁断する前に生地を湯通しして、一度洗いをかけ、縮みにくくしてからお仕立てさせていただきます。

[デザイン選択]実物の仕上がりイメージをタブレットで見ながら、ディテールを決める


担当する花野は、「田實さまが見せてくださったスーツの生地に対して、オックスフォード生地は適していると思います。スーツの写真を撮ってきて見せていただけたのも、イメージを伝えやすいので助かりますね。お手持ちのスーツや、合わせたいネクタイなどがわかると、シャツの出来上がりもブレが少なくなり、より満足度の高いシャツを作ることができます」と解説します。

花野 ここからはデザインの選択になりますが、まずシャツの顔となる「襟型」をお選びいただきます。
今回はビジネス用のシャツというリクエストなので、ネクタイをする前提で「スタンダードなセミワイド」をおすすめします。
田實 襟型はどう違うのですか?


花野 ネクタイをするならセミワイドやワイドを、ノータイならホリゾンタルやボタンダウンをおすすめします。田實さまにおすすめするセミワイドは、ノータイで襟のボタンを開けて着てもきれいですよ。
田實 それならクールビズにも着られますね。
花野 5月以降にもしっかり着用していただけます。襟型が決まったら、襟の柔らかさやキーパーの有無、カフスの形状などを選んでいきます。


田實 カフスの形状は、「角切り」がいいですね。このカフスは持っていないし、オーダーっぽさがあっていいです。
花野 既製シャツだとなかなか気がつかないディテールですが、とてもいい選択だと思います。続いて、胸ポケットはどうしますか?
田實 シャツもTシャツも、ポケットがあるのが好きなので付けてください。


花野 では、カフスと同じ角切りのデザインにしましょう。襟ボタンと第一ボタンの間隔は6cmにして、ノータイでもきれいに襟が開くようにします。
ボタンは、スタンダードな2mm厚の白の貝ボタンがおすすめです。背中はダーツを入れずすっきりとしましょう。クリーニングで間違えられないようにイニシャルの「ST」のタグをお付けしますが、よろしいでしょうか?
田實 はい、おねがいします。そんなにいろいろ選択肢があるんですね。そういうディテールも料金に含まれるんですか?
花野 今回、田實さまがセレクトした襟型やカフスのデザイン、ボタンの素材や仕様内容は、すべて価格に含まれています。
例えば、ネーム刺繍をお入れしたり、クレリック仕様で襟・カフスをボディと異なる生地にする場合は、別途有料になります。

[採寸]オーダーシャツの採寸箇所は最低16ヵ所。体型補正はスタイリストの腕の見せどころ!


「正直、シャツのデザインやディテールって考えたことがありませんでしたが、選んでいくと楽しいものですね。タブレットを操作しながら、襟型や襟の硬さ具合、ボタンなどは実物を見ながら選べたので、イメージするのも楽しかったです」と田實さん。いよいよ採寸に入ります。

田實 採寸は何ヶ所ぐらい取るんですか?
花野 採寸は最低16ヵ所ほど測ります。採寸してさらにお客さま一人ひとりに合わせた「体型補正」を行います。
田實 自分が経験したオーダーシャツとはまるで違いますね。
花野 田實さまが作られたのはたぶんパターンオーダーですね。メンズ館のオーダーシャツには、スマートオーダー、パターンオーダー、パーソナルオーダー、フルオーダーがあり、今作っているのはパーソナルオーダーになります。パターンオーダーはサンプルのシャツを着て、気になるところだけを調整しますが、パーソナルオーダーは採寸箇所が多く、型紙から作成するので、その分自由度が高くなります。


田實 なるほど。よく分かりました。
花野 カフスは時計にかぶらないように、腕の長さは左右同じ長さにします。着丈はお尻が隠れるぐらいにして、運動量の大きい胸はスタンダードに、お腹は細く仕上げます。首は通常2.5cmのゆとりを入れますが、田實さまはゆったりめがお好みとのことですので、3cmのゆとりを入れますす。
田實 いつもしている腕時計をしてきた方がいいんですね。
花野 そうですね。腕時計をした状態を見せていただくと、袖口のお好みがわかります。それと、田實さまはかなり「いかり肩」で、前肩気味でもあるので体型補正で調整しますね。身体の反り具合も見せてください。
田實 採寸だけではなく、全身のバランスのチェックもあるんですね。驚きです!

[オーダーを終えて]シャツにはあまりこだわってこなかったので、出来上がりが楽しみ!


生地選びからデザイン選択、採寸まで約分30分。
田實さんは、「前にシャツをオーダーしたときはこんなに細かくなかったので驚きました。花野さんの説明はよく分かりましたね。自分のいかり肩でできるシワなど気にしたことがなかったので、今回初めて自分の体型を詳しく知ることができました。どんな感じの着心地のシャツになるのか楽しみです」と感想を。


花野は、「既製シャツは日本人に多いなで肩が基準なので、長身で細身、いかり肩の田實さまは補正を含めて、オーダーシャツだから対応できる体型ですね。ネックと裄丈が39-89というサイズで、これは既製シャツにはあまりないサイズです。オーダーに関しては、田實さまはシャツの好みがはっきりしていたので、比較的スムーズに進めることが出来ました。」と言います。

「こんなに丁寧に話をして採寸をしてもらえるとは思っていませんでした」と感想を話す田實さんは、多忙続きで痩せてきた自分の体型を見直すきっかけにもなったと言います。約4週間後の出来上がりを乞うご期待!

 

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Text:ISETAN MEN‘S net
Photo:SUZUKI SHIMPEI

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