2019.09.13 update

Vol.9 HIROTTON | 日本が世界に放つスケートアーティストの野望

伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズ内「ART UP(アートアップ)」において、ポップアーティストのHIROTTONさんのソロアートショー「The Original Works」を9月18日(水)より開催。

パンクロックやスケートボードなど、ストリート感漂うポップなモチーフを、DIYをベースに独自のフィルターを通して表現する唯一無二の作品は、国内外を問わず注目を集めているのだ。現在は〈Heroin skateboards〉や〈TOY MACHINE〉、〈FOUNDATION〉にてデザインを手がけている。

今回はアーティストとしての矜持や今回の展示への思いなど幅広く聞いた。

イベント情報
HIROTTON Solo Artshow
「The Original Works」
□9月18日(水)〜10月1日(火)
□メンズ館2階=メンズクリエーターズ
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アートに必要な感性は三角公園でのスケートから学んだ


大阪の芸術大学に通っていたというHIROTTONさんの学生時代の専攻は、意外にも絵画やデッサンではなく金属でオブジェなどを作る立体造形だったそう。

「絵を描き始めたのは2008年にロンドンに住み始めてしばらく経ってからなので、2010年からですね。その当時、クリエイティブなことがしたいなって漠然と思っていて、その中の候補には立体造形も入っていたんですけど、近くに溶接をするための場所とかが無くて。そして身近にできることはなにかなって考えた時に、絵なら描けるかなって。昔から頻繁に描いていたわけではないですが、ロンドンでは8人くらいで家をシェアをしてて、その中にスケーターで絵を描いている友人がいたことと、自分も昔からスケートをしていましたし、スケートのカルチャーやデザインは自分にとって身近なアートだったので、そういった絵を描いたりアート活動をするということに対しては、あまり違和感はなかったです」


そして今のアートワークの原点は、大阪にある通称”三角公園(正式名称:御津公園)”にあるという。

「学生のときは三角公園でよく友達とスケートをしてて、その中には海外のスケーターとかもいたんです。当時は英語が話せなかったので、もっと彼らとコミュニケーションを取りたいっていう気持ちもあって、海外に行きたいという思いが強くなりました。最初は語学学校みたいなところに行って1年で帰国しようと思っていたんですけど、絵を描き始めたりしたら、だんだん楽しくなっちゃって。もちろん最初は全然描けなかったです。でも毎日ずっと描き続けていたら描けるようになりましたね。例えばスカルを一つとっても、模型を見ながら色んな角度で描いていると、だんだん形がわかってくるんですよ。そうしているうちに徐々に展示の機会も増えて、CDのデザインとかも手がけさせてもらったりするようになっていきました。今も、ほぼ毎日描いています。作品によってかかる時間は全然違いますが、小さいアートワークなら数十分で仕上がるときもありますし、大きいものは何日もかかったりします」


手がけている絵やデザインのベースは、いわゆるオールドスケートやスケートパンクと呼ばれる’70~80年代のポップアート。’86年生まれのHIROTTONさんはリアルタイムで経験はないはずだが…。

「おっしゃる通り。ただ純粋に80s前後のカルチャーやファッションがもともと好きだったことと、音楽もハードコアパンクが好きだったので、本当に自然な感じ入っていった感じですね。あとスケートボードのデッキの形とかも当時は模索していたから、ユニークな形だったり奇抜なデザインだったり、個性的なものがたくさんあって面白いんです。柄などはシルクスクリーンでデッキに直接プリントしていたので、現行品とは色のつき方も全然違いますし。大阪はそういうカルチャーが好きな人が多いのか、当時の三角公園にはそういう感じのスケーターがたくさんいましたね」


自身の中で、オールドスケート的なエッセンスは意識はせずともごく自然で身近なものであると続ける。

「作品の中に、無理にその部分を全面に推しだそうとは思わないですけど、おそらく自分でも知らないうちに影響を受けている部分なので勝手に出ちゃうっていうか。だからどの作品に、そのエッセンスが強く反映されているということは特にないです」


そして、作品を作る際に必ず心がけていることがあるそう。

「自分の個展のために作品を作ったり、ブランドに提供するために絵を描いたりするなど、大きな仕事も小さな仕事もいっぱいしていますが、どの仕事も1個1個ブレず、芯が通ったものを仕上げるということですね。でもそれって、自分がやりたいことだけを追求してやり続けていればおのずとそうなってくるって、最近なんとなくわかってきました」

スケートアートを広めるために自分の視野も広げたい


今回の展示について始めてオファーを聞いたときは、どんな気持ちだったのだろうか。

「大きな百貨店さんで、そういうイベントがあるということも知らなかったので、すごい新鮮でしたし、声をかけてもらったことはすごく嬉しかったです。自分の作品は、テイスト的にどちらかというとストリート寄りといいますか、アートの中でもマニアックな部類に入ると思うのですが、『伊勢丹』っていう歴史ある有名な百貨店さんで作品を出せるということは、すごくありがたいことだなって思います。見てくれる人もいつもの客層とは全然違うと思うので、感想などを聞けば自分にとってすごく視野が広がると思いますしね」


作品と向き合う上で大変なこともあるそう。

「普段は依頼を受けて絵を描いていることが多いんですけど、その一方で、自分がやりたい個展用に好きな絵を描くこともしたいから、そことどうバランスを取るかっていうことですね。まあでもこれは自分に限らず、どんなアートワークでも必ずぶつかるジレンマだとは思いますが。基本的には楽しくやっているんですけど、自分のために描く時間が持てないと精神的にも詰まってしまうので。だからどんなに忙しくても、自分のためだけの作品を描く時間は作っています」

HIROTTONさんにとって作品と向き合う際、最も大事なのは仲間との過ごす時間。

「スケートをする時間も挟んでいかないとストレスの発散ができなくなって、アイデアが浮かばなくなったり、作品が描けなくなったりするんです。だから週に1回は必ず仲間とスケボーをする時間だったり、お酒でも飲みながら無駄話をしたりする時間が大事で。そうやって自分の気持ちをニュートラルに戻す時間を作ると、次の日から不思議とアイデアが生まれやすくなるんですよね」


今後はどんな活動を視野に入れているのだろうか。

「こういった作品を描いている人って、ちょっと前まではアングラでやっていきたい、オーバーグラウンドとかはちょっと違うみたいな、誰も言わないですけど、そういった空気感が結構あったんです。でも自分はそういうのは違うなって思っています。作品への軸がブレなければ仕事の大小とかは一切抜きにして、どんなジャンルの仕事でも率先してするべきだと思っているんです。周囲に何を言われても、自分が面白いって思える作品を手掛けるチャンスがあれば、それはどんどんやっていきたいですね。カルチャー自体がマイナーなものですが、来年の東京オリンピックではスケートボードも正式種目として決まったりしているので、良い意味でアングラっぽい雰囲気は残しつつも、今後はよりポピュラーなものになるといいなって思います。いろんな人に見てもられる今回の展示こそ、その足がかりになるといいなって思います」


ジム・フィリップスやパスヘッド(’80年代にデッキやTシャツのデザインなどを手がけた人気アーティスト)を追いかけているだけでなく、これからは自分たちの手でアートを創り出していく。そんな思いが静かに伝わってきた。

「そうですね、二人とも自分も大好きですけど(笑)。誰かをずっとフォローしていたらそれだけで終わってしまうから、自分ができる新しいことをしていかないといけないなって思っています」

イベント情報
Hirottton Solo Artshow
「The Original Works」
□9月18日(水)〜10月1日(火)
□メンズ館2階=メンズクリエーターズ
イベント詳細はこちら▶


Text:Kei Osawa
Photo:TAGAWA YUTARO(CEKAI)

お問い合わせ
メンズ館2階=メンズクリエーターズ
03-3352-1111(大代表)