スケートアートを広めるために自分の視野も広げたい


今回の展示について始めてオファーを聞いたときは、どんな気持ちだったのだろうか。

「大きな百貨店さんで、そういうイベントがあるということも知らなかったので、すごい新鮮でしたし、声をかけてもらったことはすごく嬉しかったです。自分の作品は、テイスト的にどちらかというとストリート寄りといいますか、アートの中でもマニアックな部類に入ると思うのですが、『伊勢丹』っていう歴史ある有名な百貨店さんで作品を出せるということは、すごくありがたいことだなって思います。見てくれる人もいつもの客層とは全然違うと思うので、感想などを聞けば自分にとってすごく視野が広がると思いますしね」


作品と向き合う上で大変なこともあるそう。

「普段は依頼を受けて絵を描いていることが多いんですけど、その一方で、自分がやりたい個展用に好きな絵を描くこともしたいから、そことどうバランスを取るかっていうことですね。まあでもこれは自分に限らず、どんなアートワークでも必ずぶつかるジレンマだとは思いますが。基本的には楽しくやっているんですけど、自分のために描く時間が持てないと精神的にも詰まってしまうので。だからどんなに忙しくても、自分のためだけの作品を描く時間は作っています」

HIROTTONさんにとって作品と向き合う際、最も大事なのは仲間との過ごす時間。

「スケートをする時間も挟んでいかないとストレスの発散ができなくなって、アイデアが浮かばなくなったり、作品が描けなくなったりするんです。だから週に1回は必ず仲間とスケボーをする時間だったり、お酒でも飲みながら無駄話をしたりする時間が大事で。そうやって自分の気持ちをニュートラルに戻す時間を作ると、次の日から不思議とアイデアが生まれやすくなるんですよね」


今後はどんな活動を視野に入れているのだろうか。

「こういった作品を描いている人って、ちょっと前まではアングラでやっていきたい、オーバーグラウンドとかはちょっと違うみたいな、誰も言わないですけど、そういった空気感が結構あったんです。でも自分はそういうのは違うなって思っています。作品への軸がブレなければ仕事の大小とかは一切抜きにして、どんなジャンルの仕事でも率先してするべきだと思っているんです。周囲に何を言われても、自分が面白いって思える作品を手掛けるチャンスがあれば、それはどんどんやっていきたいですね。カルチャー自体がマイナーなものですが、来年の東京オリンピックではスケートボードも正式種目として決まったりしているので、良い意味でアングラっぽい雰囲気は残しつつも、今後はよりポピュラーなものになるといいなって思います。いろんな人に見てもられる今回の展示こそ、その足がかりになるといいなって思います」


ジム・フィリップスやパスヘッド(’80年代にデッキやTシャツのデザインなどを手がけた人気アーティスト)を追いかけているだけでなく、これからは自分たちの手でアートを創り出していく。そんな思いが静かに伝わってきた。

「そうですね、二人とも自分も大好きですけど(笑)。誰かをずっとフォローしていたらそれだけで終わってしまうから、自分ができる新しいことをしていかないといけないなって思っています」

イベント情報
Hirotton Solo Artshow
「The Original Works」
□9月18日(水)〜10月1日(火)
□メンズ館2階=メンズクリエーターズ
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Text:Kei Osawa
Photo:TAGAWA YUTARO(CEKAI)

お問い合わせ
メンズ館2階=メンズクリエーターズ
03-3352-1111(大代表)