2019.07.25 update

Vol.7 山田智和 |映像クリエイターが写真で切り取る都市の表情とノスタルジー(1/2)

07.31 Wed -08.20 Tue
伊勢丹新宿店 メンズ館2階 メンズクリエーターズ/アートアップ

伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズ内「ART UP(アートアップ)」において、映像作家、映画監督、写真家として活動をする山田智和さんの写真展「都市の記憶」を7月31日(水)より開催する。

米津玄師やあいみょんなど、多くの人気ミュージシャンのMVを制作する一方で、CMやショートフィルムも手がける屈指のアーティストだ。そんな山田さんが映像ではなく、今回は写真で日常の瞬間を切り取っている。自身初となる個展への思いや写真の見どころなどを訊いた。

イベント情報

山田智和 個展「都市の記憶」

□7月31日(水)〜8月20日(火)
□メンズ館2階=メンズクリエーターズ/アートアップ
*止むを得ない理由で、展示の内容が変更になる場合がございます。予め、ご了承くださいませ。
イベント詳細はこちら▶

 

新しくもどこか懐かしさを感じる、記憶と呼応する写真たち

 

前段のアーティスト以外にもKID FRESINOや水曜日のカンパネラ、Chara、CMでは新垣結衣を水中で撮影した「GMOクリック証券」や、村上虹郎とSUMIREの共演で話題になった「ベイクルーズ」グループと、斬新な映像美で注目を集めている傑作ばかり。そんな映像作家としての印象が強い山田さんが、写真を撮るきっかけになったのもやはり映像から。

 

 

「僕がちょうど大学で映像を学び始めた頃に一眼レフが登場して、映像も写真も一眼レフで撮るようになったことが大きかったです。細かな部分で色々と違いはありますが、究極的にはスイッチ一つの違いだったりするんですよね。今でも、なるべく映像の設定で写真も撮っているので、そういった部分で自分らしさじゃないですけど、自分がやってきたことの中に写真というものがあるという感じです。映像は1秒間に24枚の写真があるだけで、僕の中では映像も写真も感覚的に撮るときは同じです」

 山田智和


今回のテーマは「都市の記憶」。人の営みの興味があり、単純に街が好きという理由から実現したそうだが、当初はピックアップする都市は東京のみで考えていたそう。

 

「なぜほかの都市の写真も入れようって思ったのか考えた時に、よく海外に行くと東京の良さがわかるっていうじゃないですか。でも全く逆の感覚だなって最近思ったんですよね。東京の良さを知っているからこそ、どの街の良さもわかる感覚があって。僕は自分が生まれ育った新宿を本当に愛しているって言えるんですけど、その新宿を愛する気持ちや、その場所でシャッターを切りたいと思う感覚って何だろうって考えたときに、それは新たに得た気持ちや感覚ではなく、もうちょっと懐かしい感覚に近いのかなって。つまりそれって、自分が以前から持っていたものであると思いたいというか。すごい強引でポジティブな考え方ですけど。そういう感覚になるのは東京だけでないので、色々な都市を入れることにしました」

 山田智和 作品「」© Tomokazu Yamada

見るものを、どこか懐かしい、遠い親戚を見ているような感覚に誘う写真たち。その既視感こそ今回展示される写真の強さであると山田さんは続ける。

 

「断片的なものかもしれないですけど、行ったことのない都市を見ている感覚にならない気がします。それが自分の記憶と呼応して新たな1つの景色ができあがるというか。そう行った部分を意識てもらえると嬉しいです。あと今回の展示に関しては、自分が意図していない写真を選んでもらいました。「え、それ選ぶ?」みたいな(笑)。個人的にはそういった部分もすごく楽しんですよね。色々ある中でスタッフの方は「これが一番いいです」っておっしゃっていたので、ああそういうものなんだなって(笑)。撮った僕自身でさえも先入観やイメージにとらわれがちなので、写真の感想や感じたことは、見る人にお任せしているといいますか。それがすごく楽しいです」

 

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