シューズブランドから「One for One」プロジェクト企業へ


途上国への支援は当初、売り上げた靴と同じモデルをプレゼントしていた。しかしギビングパートナーと提携し、フィードバックを受けるなかで、いくつも変更・改良してきた事がある。

「学校によっては黒い靴を履かなければならないという規則があるところがあり、プレゼントする靴を黒色の靴としました。途上国の環境によって岩場などの悪路があり、アルパルガータと同じ靴では歩きにくい路面の地域があります。そのためソールをゴム製に改良した靴を用意もしました。途上国のなかには冬場に氷点下となる過酷な地域もあります。そこでファーのライニングを使ったブーツタイプの靴も採用しています」。


いまやTOMSが販売されている国は世界で70数カ国7000万足を数えている。そしてTOMSが贈られている国もまた、70数カ国に及ぶ。

TOMSは世界中からさまざまな要望に応えるため靴のプロジェクトだけでなく、アイウェアやバッグのプロジェクトをスタートさせている。サングラスひとつにつき、ひとりの視力回復を目指す活動が行われているのだ。度入りのメガネを提供したり、途上国に眼科医を派遣し白内障の治療などが行われる。バッグひとつにつき、無医村で出産する母親と新生児のためのプロジェクトが推進され、現地で安全に出産できるよう、必要な器具を詰めたバッグの提供や助産師のトレーニング(教育)が行われている。



TOMSはシューズブランドから「One for One」という事業を行う企業へと成長を遂げた。そしてビジネスを通して永続的な社会貢献を行うため、多彩な視点をもっている。世界中の裸足の子どもたちに無制限に靴をばら撒くのではなく、「学校へ通ったら」「寄生虫駆除の薬を服用したら」など、教育・文化・衛生面などさまざまな要素と複合することも忘れてはいない。

「世界中の企業が、さまざまな支援をしています。余剰商品を支援団体に寄付することは、どこのメーカーもやっていることでしょう。TOMS1社では、世界を救うことは出来ません。それでも、どうやったら世界中の子どもたちの未来を創ることができるのか、どうしたら世界中の困ってる人の手助けが出来るのかをいつも考えています。それこそが私達の企業理念なのです」。

ハジメ自身もギビングチームに参加して途上国へと足を運んだことがある。TOMSの本社社員になると、必ずチームに参加するのだそうだ。




「最近もホンジュラスへ行きました。そこで目にしたのは、僕と同じ日焼けあとのある子供達です。僕たちは“TOMS Tan”って呼んでいます。TOMSは裸足で履くでしょう。そうすると履き口に沿って足首のところが日焼けするんです。TOMSを買ってくれた人たち、TOMSを贈られた子どもたち、どちらも同じ日焼けの跡があるんです。みんなで笑いながら、その日焼けあとを見せあっていて」。

そう言いながら、「こっちに来てから、少し薄くなっちゃったかな」と、自分の足首の日焼けあとを少し寂しそうに、でも愛おしそうに指でなぞった。

<トムス>プロモーション
□6月7日(水)~20日(火)
□メンズ館地下1階=紳士靴


*価格はすべて、税込です。

Text:Ikeda Yasuyuki
Photo:Ozawa Tatsuya

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メンズ館地下1階=紳士靴
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