2024.02.28 update

3つのキーワードから探るメンズ館「英国フェア」の注目靴とその見どころとは?|英国フェア特集【前編】


3月6日(水)から12日(火)まで、メンズ館各階で開催される「英国フェア」。英国のモノ作りを熟知するメンズ館のバイヤー鏡 陽介が、当イベントでの注目のトピックスを2つクローズアップ。まず1つは、自身の担当する英国製靴について。現代の着こなしの潮流やニーズに沿って、“アップグレード”、“アップデート”、“リバイバル”の3つ方向性からフィーチャーした、英国の名靴ブランドをご紹介します。

<PROFILE>

鏡 陽介 伊勢丹新宿店メンズ館 地下1階 紳士靴バイヤー

2002年入社。長年テーラードクロージングのバイヤー務めたのち、今年度から紳士靴バイヤーに就任。英国やイタリア、日本など各国のビスポークテーラーの物作りにおける、深い造詣を備える。

 

イベント情報
「英国フェア」
伊勢丹新宿店では3月6日(水)~12日(火)の期間、全館で英国フェアを開催します。メンズ館でも英国ブランドが一堂に会し、特別な商品やプロモーションを展開。ファッションだけでなく“今”の英国を感じていただけるよう、英国のさまざまな企業とのプロモーションや、本国から職人を招いたトランクショーを開催するなど、充実した1週間をメンズ館全館にてご紹介いたします。
  • 開催期間:3月6日(水)~3月12日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 本館・メンズ館 各階

►メンズ館「英国フェア」の詳細はこちら

 

  1. 1.往年の名靴を、ドレッシーに振り切る“アップグレード”
  2. 2.現代の着こなしに沿ったカジュアル靴の“アップデート”
  3. 3.ツイストを効かせる独自のセンスが、世代を超えて “リバイバル”

 

1.往年の名靴を、ドレッシーに振り切る“アップグレード”

左:<クロケット&ジョーンズ>220,000 円(コードバン・英国製)
右:<エドワード グリーン>396,000円(コードバン・英国製)
□伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴


服装の自由化が進んだ現代では、革靴の存在意義もかつてとは異なってきていると語るバイヤーの鏡。日常的に履くというよりむしろ、ドレスアップをしたい場面において革靴が求められ、その活躍の場は昔よりは限定的になってきている。だからこそ、エレガントに振り切った、最高峰のドレス靴への需要が高まっているといいます。


「ドレッシーに振り切った最高峰の靴とはなんだろうか。そう考えた時に思い浮かんだのがこの2足でした。まず<エドワード グリーン>の『チェルシーの202』は、日本国内でも人気を博すコードバンを使用することで、シンプルにその艶やかな革質でエレガントな表情を獲得することができました」

<クロケット&ジョーンズ>
220,000 円(コードバン・英国製)
□伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴


そして、日本においてタッセルローファーが市民権を得るのに一役買った<クロケット&ジョーンズ>の「キャベンディッシュ3」においては、さらに一歩踏み込んだアップグレードを図ったといいます。


「こちらもコードバンを使用しているのですが、さらに『キャベンディッシュ3』では初めてハンドグレードの仕様にしています。そうすることで、アウトソールのステッチが剥き出しにならず、よりエレガントな見た目になるヒドゥンチャネルの仕様となり、内部構造の部材もワンランク上のものが使われることになります。さらに、社長のジョナサン氏からもっと振り切るなら、ということでキューバンヒール(ピッチドヒール)にしたらどうかとの提案をいただきました。ライニングもパープルにすることで英国的なエレガントなムードが後押しされています」

 

2.現代の着こなしに沿ったカジュアル靴の“アップデート”

<トリッカーズ>
右:レースアップシューズ 121,000 円(牛革・英国製)
左:Tストラップシューズ 121,000 円(牛革・英国製)
□伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴


ドレッシーに“アップグレード”した先の2ブランドに対して、<トリッカーズ>は“アップデート”がキーワードだったと鏡は語ります。

「<トリッカーズ>というとフルブローグシューズが象徴的ですが、その兄弟のような立ち位置の靴があってもいいのではないかと思ったのがこの展開の発端です。さらに言えば、重厚な<トリッカーズ>は冬には履かれても、春夏には人気が落ち込む傾向にあり、春夏シーズンでも履いていただける一足が作りたかった。そこで考えたのがウィングチップのシューズ。しかも、踵付きのTストラップという仕様です」

 

<トリッカーズ>にしては珍しいTストラップシューズという形の本作は、実は現代のお洒落のトレンドに非常に相性がいい一足だとのこと。

 

「昨今では洋服はシックに、でも足元にカラーソックスを覗かせてアクセントにする着こなしが多く見られます。実際に靴下売り場でも、ミドルゲージの色柄のあるソックスが非常に売れているようですし、若い人は秋冬でもソックスを合わせてグルカサンダルを履いていますよね。本作も、そのように年間を通して楽しんでいただけるように“アップデート”させたものです」

 

そしてもう一足の“アップデート”は、<トリッカーズ>のアイコニックな名靴である「モンキーブーツ」を現代的にアレンジしたもの。

 

「『モンキーブーツ』もブランドを代表する名作でありながら、やはり春夏にはあまり履かれてこなかった靴。それを短丈に『モンキーシューズ』とすることで、Tストラップシューズ同様一年中履けるように“アップデート”をしました。実はこのような短靴は、かつて『スニーカーフェイスシューズ』として展開があったようです。スニーカーが世の中で人気となり始めた70年代、80年代ごろに企画されたものらしいですが、ここしばらくはほとんど注目されていませんでした」

3.ツイストを効かせる独自のセンスが、世代を超えて “リバイバル”

<バーカーブラック>
各132,000 円(牛革・英国製)
□伊勢丹新宿店 メンズ館地下1階 紳士靴

  

「そしてこちらの<バーカーブラック>は、今回取り上げた中で唯一アレンジを加えていないブランド。純粋な“リバイバル”と言ってもいいかも知れません。かつて米国の有名トラッドブランドにいたデザイナーが、<バーカー>をファッショナブルにした別ブランドとしてスタートさせたのが<バーカーブラック>。昔から知っている人にとっては懐かしさも感じるブランドなのですが、意外にも初めて手に取る若い世代の方にとっては非常に新鮮に映るようです。デザイナーがトラッドブランドで培った、ベーシックにツイストを効かせる独特の感性が、世代を超えて今なお若い方に刺さっているのでしょう」

王道のドレス靴の“アップグレード”、誰もが知るカジュアル靴の名手の“アップデート”、そしてかつて一世を風靡したトレンドセッターの “リバイバル”。異なる3つの切り口からのフィーチャーする名ブランドの靴を、英国フェアでのシューズの見どころとして楽しんでみてはいかがでしょうか?

  【気になる後編は本日18時公開予定!】
「英国フェア」注目ビスポークテーラー<ヘンリー プール>サヴィル・ロウで異彩を放つその哲学とは?|英国フェア特集【後編】

イベント情報
「英国フェア」
  • 開催期間:3月6日(水)~3月12日(火)
  • 開催場所:伊勢丹新宿店 本館・メンズ館 各階

►メンズ館「英国フェア」の詳細はこちら

 

Text:Shinji Hashimoto
Photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)

*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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