国内外の主要メーカーが提案するミレニアルラスト、 その形と靴|ISETAN靴博2020


ミレニアル世代に向けた、より快適なフィッティングを実現する各メーカーの靴を、木型とともに一挙紹介する。

それぞれの技術と個性が反映したフォルム。


1.SCOTCHGRAIN



〈スコッチグレイン〉「13800」39,600円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

エレガントな印象のスクエアトウ。

ワイズフィッティングを従来のシングルE から、より細身のD に変更し、ヒールカップを小ぶりにした木型「GA-1」。木型のいわゆる二の甲、ボールジョイント(足の親指と小指の付け根の部分)から脚側の足の上部、その外側をより薄くしてホールド感をもたせている。長年日本人の足を踏まえた靴づくりを行ってきた『スコッチグレイン』が、近年のミレニアル世代の足の変化に対応した形状。また、やや長めのノーズのスクエアトウは、エレガントな印象を生み出している。


2.madras



〈マドラス〉「M728G」33,000円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

手仕事とテクノロジーが融合した靴。

ラスト「IS-101」は、木型前半部(つま先部から甲部周囲まで)を内振り(内側に曲げた状態)に設定。現代人の足の傾向に合わせて甲を低く抑えてホールド感を持たせつつ、足幅にはゆとりを確保して、足入れした際の靴内部の良好なフィッティングと快適さを目指している。同社ならではのハンドフィニッシュによる彩り豊かなア
ッパーも大きな魅力。また、ゴアテックスを内蔵して快適性も追求されている。


3.Otsuka



〈オーツカ〉「HS-2323」39,600円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

35 歳~ 45 歳をターゲットに作成されたという新ラスト「HS-100」。従来の同社の木型に比べて、ウエスト(土踏まず周囲)の絞りを強く(細身に)、ヒールカップ(踵部)のフィット感も強くしている。ボールジョイント部(足の親指と小指の付け根の盛り上がった部分)からつま先部にかけては、圧迫感が少ないラウンドトウに仕上げて、ボールジョイント部分の厚みが出過ぎないように留意されている。ミレ二アル世代に向けた、オーセンティックな印象のシルエットだ。


4.Otsuka+ M-5



〈オーツカプラス エムファイブ〉「M5-502」69,300円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

良質なつくりと現代的な木型の融合。

緩やかなシェイプのラウンドトウが新鮮老舗・大塚製靴のハイエンドライン「M-5」のつくりと、歩き心地などを追求した「オーツカプラス」が融合。「B-741」はいわゆる内振り(内側に曲がった)の形状に、トウを短めにしたクラシックなラスト。木型内側の形状をしっかり絞り込むことで、エレガントなシェイプとともに土踏まず部分のサポート感を生み、高いフィット感を実現している。多くの人が気軽に選べる最初のオーツカメイドとして、140 年を越える足型データの蓄積を元に、現代の技術で表現した木型。


5.SHETLAND FOX



〈シェットランドフォックス〉「100F」42,900円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

フィット感を高めつつ、柔らかな足入れ感に。

リーガルコーポレーションが手がけるハイクオリティなシューズブランド。従来の同ブランドのカチッとした足入れ感の概念を覆すような、現代的で柔らかなフィッティングにこだわった新ラスト「S16」。土踏まず部を絞り込んだフォルム、踵部分の良好なフィット感が特徴となっている。また、足入れをした際に革が硬く小指が当たる感触があるという声を解消するために、国産の柔らかなキップレザーをアッパーに採用して、足当たりのソフトな感触を実現している。


6.REGAL



〈リーガル〉「203S」25,300円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

抑揚のあるシルエットが生むフィッティング。

1870 年に西村勝三が創業した「伊勢勝造靴場」を源流とする、長年にわたり日本の靴づくりを担ってきたシューズメーカーのブランド。ラスト「C405」は、ウエスト部分(土踏まず部周囲)をタイトフィッティングにした“ フレンチクラシック” といわれる形状。木型のつま先部分の厚みを増す一方で、踵部は小さくして、靴となった際の踵の抜けを軽減。さらに内側のラストラインを緩やかにして、全体的にボリューム感のあるシルエットを生み出している。


7.UNION IMPERIAL



〈ユニオンインペリアル〉「U1961」42,900円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

足軸の傾きに着目した木型づくり。

ラスト「S76-1」は後方屈曲木型(足なり木型設計)の、さらに後方が足なりに内側にひねった形状の木型。日本人の足型は平均で8度傾いているというデータがあり、足軸の傾きを考慮して設計されていない直線的な木型の靴に曲がった足を入れると、足が靴の中で回転するように動き、最終的には小指部分に圧迫が加わる。そこで木型を改善し、ミレニアル世代に合わせてヒールカップ(踵部)を小さくし外くるぶしを下げた形状に。ラバーソール。


8.BARKER



〈バーカー〉「4610DW 11」49,500円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

英国の老舗が手がけるミレニアルラスト。

1880 年に創業、英国の靴産業の集積地ノーサンプトンシャーに位置する老舗シューズメーカー。グッドイヤーウェルテッド製法を中心に質実な靴づくりで知られる。今回のミレニアルラスト「SL-15346」は、これまでの経験値から、日本人の足に合いやすい木型「69D」を、さらにウエスト(土踏まず周囲)を絞り、ヒールカップを小さく変更したもの。トウシェイプは適度な厚みのある、スマートなラウンドトウで、オーセンティックな中にもエレガントな雰囲気が漂う。


9.Berwick 1707



〈バーウィック 1707〉「9628」33,000円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

小ぶりなヒールカップで日本人向けに。

スペイン・アルマンサにて、グッドイヤーウェルテッド製法を中心に靴づくりを行うシューズメーカー。イセタンメンズの田畑バイヤーも開発に参画し、本国社長とともにつくりあげられたミレニアルラスト。日本人の足に合わせた小ぶりなヒールカップ、甲部分からつま先にかけては高さをもたせた木型「261」と、ローファー用にさらに甲周りをシェイプして踵を抜けにくくした「262」を展開。いずれも小指と親指の先を圧迫しないようバランスをとったラウンドトウ。ラバーソール。


10.BENSON SHOES



〈ベンソンシューズ〉「9992」50,600円
□伊勢丹新宿店メンズ館地下1階=紳士靴

良質な靴で知られる、カサブランカのシューズメーカー。

同社の代表的なラスト「No,21003」をベースに、「踵」「二の甲」「つま先」をより日本人の足に合うようにモディファイした木型「No-999」。極端に内振りで、木型の土踏まず部分をシェイプさせ、小指部分は肉付けを加えている。これにより見た目以上に履き心地が良く、長時間履いても疲れにくい木型という。


11.Jalan Sriwijaya



〈ジャランスリウァヤ〉「98961」37,400円
□伊勢丹新宿店本館6階=催物場「ISETAN靴博2020」/メンズ館地下1階=紳士靴

内振りなラストが生む土踏まずのフィット感。

ハンドソーンウェルテッド製法を採用した高い品質の靴づくりで知られるインドネシアのシューズメーカーのブランド。今回は同社展開の木型の中でもとくに内振り(内側に曲がっている)のラスト「M57」をピックアップ。ウエスト部の絞りが強く、土踏まず部に快適なフィット感を生み出している。

Photograph:Toru Oshima,Takao Ohta
Text:Yukihiro Sugawara

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