実は、帽子が敬遠されていた時代があった!?


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Hat

頭に被る装身具の一つ。寒暖や落下物などから頭を保護する役割を持ち、大きく分けて「ハット(HAT)」と「キャップ(CAP)」の二種類がある。
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信じられない読者の方も多いでしょうが、帽子がメンズファッションの舞台から遠ざけられていた時代がありました。1960年代から80年代にかけてで、当時の男性の頭のお洒落は専らヘアスタイルであり、それを隠す帽子は年寄りじみた存在として敬遠されたのです。確かに髪の毛でのお洒落は若い頃でないと不可能なのは事実ですね。


副次的な要因として、先進国では風呂やシャワーを毎日使う習慣が広まったことや、エネルギーが石炭から石油へと転換が進み街に煤が降らなくなった点も挙げられます。つまり髪の毛が汚れるリスクが少なくなり、それを防ぐ役割も担っていた帽子の必要度が確実に低下したからです。整髪料の進化も影響しているでしょう。

1961年のケネディ大統領の就任式が大きな区切りになったと言う人もいます。史上最年少でアメリカの頂点に立った彼は、そこで初めてシルクハットを被らかなった大統領になりました。それが「若さと変革」へのアピールとして、確実に一般に伝わったのではないかと―――。

確かに、撮影こそ前年ですが1961年に公開された映画「ティファニーで朝食を」の中では、オードリー・ヘップバーン扮する主人公のホリーに恋する若いポールは帽子を被らなかった一方で、ホリーの元亭主でテキサスから来た年老いたドクは着帽姿。少なくともアメリカでは、この頃辺りから「帽子を被らない=若い」の図式が成立していたのは間違いないようです。

文=飯野 高広
いいの たかひろ●大学卒業後大手鉄鋼メーカーに勤務したのち、服飾ジャーナリスト・研究家として独立。紳士靴やスーツなど男性の服飾品全般を執筆領域とし、ビジネスマン経験を生かした視点で論じる。また専門学校で近現代ファッション史の講義を受け持つと共に、テレビ番組への出演・総合監修を行うなど、メンズファッション全般の知識箱的存在として活躍中。著書には、『紳士靴を嗜む:はじめの一歩から極めるまで』『紳士服を嗜む:身体と心に合う一着を選ぶ』(朝日新聞出版)『大切な靴と長くつきあうための靴磨き・手入れがよくわかる本』(池田書店)がある。




Photo:ISETAN MEN'S net
Text:Takahiro Iino

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