手作業だけが表現できる、工芸品のごときフットウエア


アッパーのデザインに目を凝らしてみると、花を覆わせるディテールや穴飾り、滑らかな曲線を描くステッチラインなど、自然を感じさせる繊細なディティールが見て取れる。

「ドイツではフルオートメーション化された靴工場も誕生したという話も聞きますが、我々はあくまでもハンドメイドにこだわりたい。職人の高度な技術や人の温もりが感じられる緻密な手作業によって、工業製品というより工芸品に近いモノづくりをしているんです。手作業だけが表現できるムードや温かみ。これこそ<フラワーマウンテン>の核となる要素だと思います」


デビュー直後から快進撃を続けている<フラワーマウンテン>だが、ちょっとした幸運に恵まれてきたのも事実だ。その端緒は、パリの伝説的セレクトショップ「コレット」のディレクター、サラ・アンデルマン氏の目に止まったこと。「サラがオーダーをつけた」「コレットで取り扱われているらしい」――そんな評判がなにより効果的なのは業界人なら誰もが知るところなのだ。

「いち早くコレットがオーダーしてくれたことで、大きな波及効果があったのは事実です。その後もキース(ニューヨーク)やオフスプリング(ロンドン)、リナシェンテ(ローマ)など影響力のあるショップとの取り引きが続いたのが呼び水ともなって、すでに海外アカウントは100を超えています。なかでもキースのバイヤーとの出会いは思い出深く、この青いヒゲが大いに役立ってくれました」

展示会出展のためにロサンゼルスを訪れていた太田氏は、空港の自販機でトラブルに見舞われている人物に遭遇。なにげなくその自販機でコーラを買うと、その人の分と合わせて2本出てきたのだとか。無事にコーラを手にして事なきを得たその人物とは、なんと翌日の展示会場で再会することに……。そう、この人物こそ、キースのバイヤーだったのだ。「親切な青いヒゲのアジア人」という強烈なイメージは、大いにスムーズな商談の助けとなったはずだ。


「以前はピンクもグリーンも試しましたけど、あまりいいことがなかった(笑)。キースの一件以来、ヒゲはずっとブルーにしています。顔を覚えてもらうためのアイコンというのは、とても大切ですからね」

大手メーカーが支配する日本国内ではなく、あえて海外のマーケットから攻めていったブランド戦略も見事なもの。そして百戦錬磨のバイヤーたちを惹きつける確かな魅力が、<フラワーマウンテン>のシューズにはあったのだ。


スニーカー 24,840円
*伊勢丹新宿店限定


今回のポップアップでは、「『もののけ姫』をイメージした」という苔などを駆使した会場設営により、その有機的なデザイン性を強調。そして目玉は、毛足の長いホースレザーを駆使した、イセタンメンズ別注の「モヒカン」オールブラックモデルだ。

「ブランドの個性であるクラフト感や有機的なデザイ性はそのままに、ややワイルドかつエレガント、そしてラグジュアリーな雰囲気に仕上がりました。ボリューム感のあるアウトソールは期せずしてトレンドとも合致していますし、イセタンメンズのお客様にぴったりの1足に仕上がったと思っています」


ルックスはもちろん、「一度履いたら買ってしまう(笑)」と豪語する、足入れの良さと歩きやすさも格別。終わりの見えないスニーカーブームのなか、次なる主役となりそうな<フラワーマウンテン>は、間違いなく要チェックだ。

イベント情報

<フラワーマウンテン>プロモーション

□10月17日(水)~30日(火)
□メンズ館地下1階=紳士靴


*価格はすべて、税込です。

お問い合わせ
メンズ館地下1階=紳士靴
03-3352-1111(大代表)