2018.09.07 update

Vol.02 Hideyuki Katsumata|タブーを超える、無限の想像力(1/2)

ISETAN MEN'S netにて新たに始まった連載企画「ART UP by International Creators」。本企画では、従来より密接な関係にある「ファッション」と「アート」にスポットを当て、様々なアーティストをキュレーション&紹介していく。

Hirottonに続いて第2弾として登場するのは、妖怪や宗教的なモチーフを、独特の和テイストのタッチで描き出すHideyuki Katsumata。人気キャラクター「hanautah(ハナウタ)」をはじめ、海外でも人気を博すペイント・アーティストである。今回は彼が15周年記念Tシャツのデザインも手がけ、この日ライブペインティングを行うなど親交の深い吉祥寺はアムリタ食堂にて話を訊いた。

イベント情報

Hideyuki Katsumata ライブペインティング

□9月15日(土)11時~16時30分
□本館6階=催物場/C-5柱正面の壁

 


Hideyuki Katsumata

東京出身、育ちは大阪、名古屋、埼玉など。アメリカ、ブラジル、スコットランド、フランス、タイなど、海外のギャラリー/ミュージアムでの展示、ミューラル・ペイントなどを行う。また、Little DragonやThe Go! TeamのSam Dookらによるユニット、Cuzへのアートワーク/映像提供なども手がけている。2017年には南米最大のアートフェスティバル「TRIMARCHI DG」にて、2000人の聴衆を前に講演を行うなど、グローバルな活躍ぶりをみせている。




そもそも彼の絵描きとしてのキャリアはどのようにしてスタートしたのか。その問いに対して返ってきたのは、実に意外な回答。なんと、彼が絵描きを志すキッカケは伊勢丹メンズでも取り扱いのあるブランド、「THE VIRIDI-ANNE(ザ ヴィリディアン)」のデザイナー・岡庭智明なのだという。

「元々はファッション業界で働いていたんですけど、岡庭さんに初めてお会いした時に、洋服に対する意識の高さの違いを痛感したんです。そこで何となくやってた自分は『この人には敵わないな』って思って(笑)。それから自分が他の人より情熱を持てるものってなんだろうって考えて、絵を描き始めました。岡庭さんにはそれからもすごくよくしてもらっていて、一時期は毎日のように呑みに行ったりもしていました。彼は東京造形大学出身なので、絵について教えてもらったり。2年位前までは新しい作品ができる毎に見てもらってたんですよ」


取材当日にライブペインティングを行うなど、親交の深い吉祥寺・アムリタ食堂の
15周年記念Tシャツのデザインも手がけた。


絵については基本独学。学校などでアカデミックに勉強したことはないとのことだが、遡ってみると幼少期の頃から後の作品へと繋がる趣向を持っていた。誰もが通るようなガンダム、藤子不二雄作品と並行して愛好していたという、浮世絵や水墨画といった日本画だ。

「小学校の時に習っていた習字の先生が、(東洲斎)写楽やピカソの画集を持っていて。授業が終わったら色々な画集を見せてくれたんです。振り返ってみればそれがルーツかもしれないですね。それから中学生になるにつれて、もっと色々なものを掘るようになっていって」

一方で、妖怪やオカルト、さらに宗教や神秘的なモチーフはどこからきているのだろうか。


妖怪や宗教的なモチーフに、
Hideyuki Katsumata独特の和テイストのタッチで描いた人気キャラクター「hanautah(ハナウタ)」


「単純に、小さい頃から『忍者ハットリくん』や『怪物くん』が好きだったっていうのもあるかもしれません。実際の幽霊、おそらく座敷わらしを見たこともありますし(笑)。あとは、そういう目に見えない存在を信じて生きている方が、人生楽しいよなって思うんです。それこそ宇宙人とかも」

また、「子供の頃の自分が見ても、惹かれるような作品を描きたい」と語る通り、彼の作品はおどろおどろしいものをモチーフとしていても、どこかポジティヴでハッピーな空気感が漂っている。「引き算ができないんですよね。デザイン的な思考で、シンプルでクールにするっていうのもいいと思うんですけど、それだけだとつまらなくなっちゃうんです。それに、引き算と違って足し算って無限にできるじゃないですか。どこまでも足していける(笑)」と、嬉しそうに語る彼の顔は、まさしくピュアな少年のようでもあった。


Hideyuki Katsumataの作品は、彼のインスタグラムでも公開中だ


さらに、その少年性とでも言うべき純粋さに繋がる要素として、彼の作品には春画をモチーフにしたものも少なくない。「何でもタブー視されてるからこそ楽しいんですよね。イタズラとかも、怒る人がいないとつまらないじゃないですか。それに、今は社会的にもそういうタブーとされるものが増えている世の中にもなっていると思うので、やりがいがありますよね。」

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