2018.09.18 update

【特集】3人の靴賢者が語る<ECCO/エコー>の真価

いま、デンマーク発ブランド、<ECCO/エコー>の注目度が全世界的に高まっている。その魅力を明らかにすべく、実際に<エコー>を愛用する人々にご登場いただく。東北楽天ゴールデンイーグルスの今江年晶選手、さいきんは著述家としても活動する高山都さん、本社工場を取材したばかりの靴専門誌『LAST』の編集長、菅原幸裕さんがたっぷり語ってくれた。

新生<ECCO/エコー>を象徴するモデル、「ヴィトラス」が登場


コンフォートシューズの名門老舗、<ECCO/エコー>。1963年にデンマークで誕生したこのシュー メーカーは現在、2万人のスタッフを擁し、世界90ヵ国でビジネスを展開する押しも押 されもしないグローバルブランドになった。勝因は“手袋のような靴がつくりたい”という 思いで創業者カール・ツースビーが具現した、アナトミカル構造とダイレクトインジェク ション製法にある。


揺るぎない地位を手に入れた<エコー>がここ数年、新たな進化を遂げようとしている。そし てそれは着実に成果となって現れつつある。その証拠にイセタンメンズでいま、もっとも 元気なブランドのひとつである。

“コンフォート”にプラスした、クラシカルなシューズを愛用する人でさえ素通りできない スタイリッシュな佇まい。この秋にイセタンメンズと直営店でのみ展開される手染めのエンジカラーをまとった「ヴィトラス」は新生<エコー>を象徴するモデルだ。


左/ブーツ 59,400円
中・右/シューズ 54,000円


くだんの「ヴィトラス」は<エコー>がこの秋に仕掛けるプロジェクト「エコー ヴィトラス イ ンターナショナル アジェンダ」の一足。なんともユニークな試みで、お膝元のコペンハー ゲンや上海、ニューヨークなど主要7都市それぞれに異なるアッパーを載せた「ヴィトラ ス」をセットアップ、アジェンダの名のとおり7つのモデルを一週間に見立て、 月曜日の 東京を皮切りに9月24日から一週間かけて順次各都市でローンチしていくという(イセタンメンズでは9月19日より先行発売される)。

売り場に並ぶのは東京なら東京のモデル のみ。つまり、仮にすべてのモデルを揃えようと思えば7都市のエコーの店を訪れなけれ ばならない。シューツリー、替えのシューレース、シューズバッグを同梱した専用ボック ス付きで500足限定(うちジャパンモデルは80足)。

「ヴィトラス」に対する3人の反応やいかに。


Vol.1 今江年晶(東北楽天ゴールデンイーグルス)|未来のドレスシューズだと思う


開幕からほどなくクリーンナップを任され、監督推薦でオールスターゲームに出場するなど東北楽天ゴールデンイーグルスにおいても確固たる存在感をみせつける今江年晶選手。ますます脂の乗る男が靴の四番バッターに指名したのは、<ECCO/エコー>でした。

 

──今江選手が<エコー>を愛用するようになったのはゴルフがきっかけだそうですね。

今江 ええ。知人に紹介されて試しに履いて度肝を抜かれました。まるで履いていないようなフィット感だったんです。<エコー>のおかげなのか(笑)、4年越しのベストスコア、74を出しました。

──そうしてオンのワードローブにも<エコー>を加えられた。

今江 プロ野球選手として活動する以上、人前に出るときはそれなりの節度が求められます。いっぽうでなるべく体に負担をかけたくないというのもある。シーズンに入れば、なおさら。レザーソールのクラシカルなドレスシューズも履いてきましたが、この点で難がある。そうかといってスニーカーではカジュアルに過ぎる。まさにいいとこ取りしたシューズが、<エコー>だったんです。


──公の場はオフィシャルなものが用意されているとばかり思っていました。

今江 シーズン中の移動はもっぱら私服のクールビスですね。

──今江選手にとっての節度ある装いとはどのようなものですか。

今江 いろいろ試しましたが、結局はシンプルな服にたどり着きました。ワードローブのほとんどは無地のブラックやネイビー。ま、極端に太い太ももを隠す、という意味合いもあるんですが(笑)。これはお世辞ではなく、ほんとうに伊勢丹にはお世話になっています。今日の服も全部伊勢丹。パンツはその伸縮性に感動して、色違いで二本買いました。


──<エコー>はそんな今江さんのお眼鏡にかなったというわけですね。

今江 クラシカルなデザインを踏襲しつつ、スカンジナビアデザインならではのミニマルな佇まい。手染めというのも驚きです。最先端のテクノロジーと職人仕事、そして伝統の融合。未来のドレスシューズはこういうものなのかなと思う。もちろん、履き心地は申し分がありません。フィット感もクッション性もどんなフットウェアよりも優れている。ほら、(足を左右に揺すりつつ)こんなに動かしても底周りが吸い付いてくる。


シューズ 54,000円


──今江選手といえば、選手としての活躍もさることながら社会貢献に積極的なところも見逃せません。養護施設の子どもたちを試合に招待するスマイルプロジェクトや被災地のいわき市への訪問。頭が下がります。

今江 子どものころに恵まれない子を応援するプロをみて素晴らしいと思ったのがきっかけですが、すべては関わりがあってのこと。いわき市での活動は球団関係者が出身者だったことからはじまったものですし、一連の活動は奥さんの理解、後押しもある。

──水をほとんど使用しない製革プロセスや汚水処理の態勢が好例ですが、じつは<エコー>はリーディングカンパニーとして環境問題にも率先して取り組む業界が誇る企業。今江さんはエコーと通じるところがあると考えます。

今江 自分のことはともかく、人の生き様や企業風土っておのずと滲み出くるものと思っていて、なるほどエコーからはそういうスタンスが伝わってきますね。




Vol.2 高山都(モデル・女優・タレント)|<ECCO/エコー>は大人のスニーカーです


心にも体にも優しいライフスタイルが注目を集め、8月31日には2冊目の著書『高山都の美 食 姿 2「日々のコツコツ」続いてます。』(双葉社刊)が発売されたばかり。まさにロハスな高山さんの足元には、<ECCO/エコー>がありました。


──すでに2年ほど履かれているとか。

高山 レザースニーカーと7.5センチヒールのパンプスをローテーションで履いています。それまでヒールって苦痛だった。我慢して履くものでした。履きやすさと見栄えって両立するんだなとしみじみ思ったものです。初めて履いたときはふかふかで、なにこれって。フォルムはいたってシンプルなのに、ハイテクのスニーカーのような履き心地。


──それまではどんなシューズを履かれていましたか。

高山 それこそ20代はデザイン重視、ブランド重視でしたね。

──履き込んでわかったのが素材の良さ。

高山 それなりに歳を重ねて、いまさらながら素材の魅力を知りました。生地もそうですが、いい革は使い込めばそれが味になる。育てる楽しみを堪能しています。

──そして、佇まいもいい。

高山 ファッションって本来は、テイストとか年齢とか制限されちゃう。<エコー>はオールマイティ。普遍性がある。地に足のついたスタイルを目指すには欠かせないブランドです。


──地に足のついたスタイルを目指す。それって自分に自信がついて流行を追う必要がなくなったということですね。

高山 流行についていけなくなっただけかも(笑)。

──(笑)。どのように履きこなしていますか。

高山 基本はシンプルですが、すべてがすべてシンプルになっちゃうと物足りなさを感じてしまう。<エコー>を履く日は服やアクセサリーで遊ぶようにしています。甘さと辛さのバランスも大切ですね。<エコー>ならあえてワンピースなどのフェミニンなものを。アクセサリーをシルバーで揃えれば引き締まった印象が与えられるんじゃないかな。


シューズ 54,000円


──メンズはいかがですか。この「ヴィトラス」はイセタンメンズの限定品です。

高山 思わずレディスはないのと尋ねたくらい(笑)。ボルドーは日本人と相性がいい。赤ほど奇抜ではなく、茶ほど凡庸ではない。デニムにもカーゴパンツにもスーツにも合う懐の深さもある。わたしが男性だったら、上品なデザインなので服は思いっきりラフに。古着のTシャツとかジーパンのアクセントにしたいですね。

──高山さんのライフスタイルは憧れの的になっていますが、SNSや書籍で発信されてきた日々のあれこれを拝見させていただくと、<エコー>は出会うべくして出会った印象を受けます。

高山 20代はほんと、怠惰な生活をおくっていました。気づけば体重は10キロ増え、肌も荒れ放題に。そんなときに香川丸亀国際ハーフマラソンに出場しませんか、というオファがあった。自慢じゃないけれど、体育の通信簿は中高ずっと「2」。ヨーイドンで転ぶ漫画のような子でした(笑)。無理をすれば挫折するのが目にみえていましたから、楽しみながらできる範囲で徐々にギアをあげていきました。で、完走を果たすんです。味を占めたわたしはとうとうフルマラソン3時間41分という記録を出しました。


高山 マラソンが生活の一部になって、あきらかに体のラインが変わりました。そうして食生活も見直すようになりました。朝早く起きて、朝食をつくりはじめると、肌がきれいになり、便秘も治りました。心も体も健康になって、メイクもファッションも自分らしさを考えるようになった。そんなわたしにとって、たしか<エコー>はぴったりのブランドでしたね。



Vol.3 菅原幸裕(靴専門誌『LAST』編集長)|シューレース以外はすべて自社製、というのは伊達ではなかった


批評精神を持ち合わせた数少ないファッション・ジャーナリストにして、靴専門誌『LAST』の編集長を務める菅原幸裕さんが<ECCO/エコー>の本丸に乗り込んだ。


菅原
 4月に取材へ行ってきました。オランダのアムステルダムでタナリー(製革工場)、ドイツ経由でデンマークに入って<エコー>本社とデザインセンター、そこからポルトガルの製靴工場。これを一週間で。我ながら強行軍でした(笑)。

──それはお疲れさまでした。本日は実際に工場に足を踏み入れたジャーナリストとして<エコー>の魅力を語っていただければと思っております。

菅原 まずは履いてみませんか。<エコー>を知ろうと思えば足入れをしてみることが一番です。

──(一部の隙もない靴特有の空気が抜ける音に目をみはる。そして、シューレースを締めて立った瞬間、思わず出た言葉は……)感動の一言です。雲の上を歩いている、という褒め言葉はこの靴のためにあるよう。全方位的に包み込まれる感覚で、足裏の凹凸も漏れなくカバーされているのがわかりますね。

菅原 それがダイレクトインジェクションをベースに独自に考案した製法、フルイドフォルムの実力です。ちまたではスニーカーのようなものと思われているようですが、スニーカーでよく知られるバルカナイズとはまるで設計構造が異なる。金型をつかい、木型に釣り込んだアッパーとソールを加硫圧着する点は同じですが、バルカナイズのソールがすでに完成されたものであるのに対し、フルイドフォルムのそれは液状。つまり、ソールもこの底付けの工程で一からつくられているのです。木型の底面形状を再現しようと思えば、フルイドフォルムに勝る製法はありません。


──そこで効いてくるのがアナトミカル構造ですね。

菅原 ええ。無数の足型を採り、完成にいたった木型の黄金比。アナトミカル構造は<エコー>をコンフォートシューズの雄として世間に知らしめた“発明”であり、フルイドフォルムはこの構造を最適化してくれる製法というわけです。まさに“底”力のあるブランドですね(笑)。この最適化、という点で<エコー>は妥協することを知りません。それは革もしかり。冒頭でさらりと触れましたが、<エコー>は自社タナリーを有する会社なんです。

──タナリーを経営しているシューメーカーなんて世界広しといえど<エコー>くらいなものじゃないでしょうか。


シューメーカーの概念を覆す生産背景


菅原 80年代後半に最初のタナリーがポルトガルに誕生。しかもいまや拠点はひとつじゃありません。インドネシアを皮切りにそれから3年後にはタイに工場を構えた。さらにオランダ、中国と4つの工場を所有するまでに。

──工場を訪れた感想はいかがですか。

菅原 これは製靴工場にもいえることですが、まず圧倒的に巨大です。世界90ヵ国で販売されているというのももっともだなと思いましたね。しかしそれ以上に感じ入ったのは、チリ一つ落ちていない清潔な場内でした。職人が快適に仕事に臨むことのできる態勢が整っているんです。


──<エコー>のタナリー部門は世界で五本の指に入るとか。

菅原 そのようですね。じつは全体のおよそ半分を他ブランドへ供給しています。名前は明かせませんが、顧客名簿には名だたるラグジュアリーブランドがずらりと名を連ねる。では、ラグジュアリーブランドも認めざるを得なかった強みはなんなのか。それは、資本力を武器にした最先端の技術にあります。温度で色が変わる革、透明の革、新たな染色技法を確立したインディゴブルーの革……。常識をはるかに超えた革が日夜開発されています。もちろん、いわゆるカーフレザーなどオーセンティックなコレクションも人後に落ちない。

──なぜ、そのようなことが可能となったのでしょうか。

菅原 秘密はデンマークの本社内にある開発工場にあります。十分に工場として機能する設備、人員を配していますが、その名のとおり実態はサンプルメーカー、つまりラボなのです。ゆうに100人のスタッフが働いていたんじゃないかな。


──下手な工場よりも規模が大きいですね。

菅原 (頷きつつ)素材をいちからつくることのできるプライオリティは計り知れません。お履きになって感嘆の声をあげられていましたが、ありもののレザーではこうはいきません。<エコー>はアナトミカル構造のポテンシャルを最大限発揮すべくありとあらゆるものを自社で開発する態勢を整えてきました。いまやシューレース以外はすべて自社製とか。その態勢はものづくりの精度を高めると同時に、責任の所在を明らかにすることにもつながります。

──この「ヴィトラス」はデザインの観点でみたときも軽んじることができません。ひとつが、ハンドペインティング。

菅原 ぼくがみたポルトガルの工場では、現地の数人の女性がこの工程に当たっていました。じつに見事な手さばきで、そこだけみればイタリアあたりの手製靴工房となんら変わりません。刷毛で刷いたようなペインティングはカントリータッチなこのブーツにふさわしい。

ブーツ 59,400円


──マスプロダクトである以上、ハンドペインティングにも均一性が求められてくると思いますが、その点はいかがですか。

菅原 そこで大切になってくるのがラボの存在です。おそらく世界屈指といっていいラボがそのレシピも管理しているはずです。

──もうひとつが、木型。ラウンドをベースにしたスマートなフォルムはモダンの一言です。

菅原 これにはぼくも脱帽しましたが、本社にラストメーカー、すなわち靴づくりの要となる木型職人が在籍しているんです。デザイナーとラストメーカーの距離は近ければ近いほどいいというのはヨーロッパの常識ですが、お抱えというのは珍しい。


──今日履かれている「アーティザン」も菅原さんのおすすめですね。

菅原 このモデルはソールサイドに革をぐるりと巻いた上でポリウレタンを注入、成型しています。ソールにはシャンクに加え、格子状のフレームが内蔵されています。ねじれを防ぐのみならず、衝撃吸収も期待できる。構造にまで踏み込んだユニークネスな一足だと思います。


Movie&Photo:Iori Matsudaira
Text:Kei Takegawa

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