2018.06.12 update

【特集】祇園生まれの新感覚サンダルを愛用する三者が語る、三様の“偏愛”と履きこなし術(1/2)

日本古来の履物である草履は、Flip-flops(ビーチサンダル)というカジュアルサンダルにカタチを変えて世界に普及。現代人のライフスタイルに欠かせないものとなっている。しかし残念ながら、草履本来の美しさや機能性、健康有益性が失われてしまっているのも事実。そんなビーチサンダルに日本の伝統技術と最先端テクノロジーを注入し、草履をベースとしたモダンで機能的、快適かつスタイリッシュなサンダル<JOJO Naitou/ジョジョナイトウ>を作り上げたのは他でもない、京履物匠として1875年に創業した老舗「祇園ない藤」であった。誕生間もなくヒットアイテムとなった<ジョジョナイトウ>を愛する3名が、それぞれのこだわりとファッションへの取り入れ方を熱く語る。
 




左から、「ない藤」の番頭・関塚真司さん、<サンカッケ―>デザイナーの尾崎雄飛さん、『イセタンメンズネット』編集長の田代径大

トレンドとリンクする、本当に美しい“ビーチサンダル”


「実は僕、JOJO愛好家である以前に『ない藤』愛好家なんです。高級な店ですから、なかなかおいそれとは誂えられませんが……。今のところサンカッケーのデザイナーとしてというよりも、いちユーザーとして利用させていただいている感じですね。でも今後の展開次第では、コラボレーションもあり得るとは思っているんです」

そう語るのは、日本らしい端正な服作りで定評のあるブランド、<SUN/kakke/サンカッケー>サンカッケーのデザイナーである尾崎雄飛さん。懇意にしている名古屋のセレクトショップを通じて「ない藤」の番頭・関塚真司さんと知り合い、たちまち意気投合してしまったという間柄。もちろん、今では<ジョジョナイトウ>も愛用中だ。

「確かに尾崎さんもサンカッケーというブランドも、JOJOっぽいというより『ない藤』っぽい(笑)」と返す、関塚さん。そしてJOJO愛用者としてすでに4年のキャリアを誇る、イセタンメンズネット編集長の田代径大を加え、JOJOの新作ネオンカラーシリーズを囲みながらの鼎談はスタートした──。


関塚 伊勢丹さんとのなにげない会話のなかで生まれたネオンカラーシリーズは、普通は選ばなそうな蛍光マーカーそのもの色という、「一番なさそうなところ」から攻めてみました(笑)。置きにいってないというか。

田代
確かに攻めてますね(笑)。担当バイヤー曰く、昨今のファッションのトレンドを意識して、ナインティーズな色味とブラックスニーカーのフュージョンというのが狙いだと。絶妙な仕上がりですね。ここで改めて、JOJOの魅力を再確認させてください。僕がJOJOを履くようになったのは、伊勢丹で取り扱いを開始し始めたのとほぼ同時期。その後ポップアップショップをやるにあたって、トリコロール配色のJOJOを購入させていただきました。カジュアルならイージーパンツやショーツはもちろん、濃いめからウォッシュドまで、ジーンズも幅広く合わせやすい。ビーチサンダルやスポーツサンダルと比べると着こなしの幅が圧倒的に広くて、色の組み合わせ次第ではスーツスタイルにも合うんです。こんなサンダルは他にないですよね。


尾崎 初見では正直、少しカワイイ印象で自分の趣味ではないかな、と思ったんです。ただ関塚さんとの出合いをきっかけに、「ない藤」さんという名店を知ることができました。気になるものは自ら試してみないと気がすまない性分なので、早速京都に行った際に草履を誂えたんです。イメージしたのは、“ジーンズに合う草履”。鼻緒をGジャンのブランケットライニングの色に合わせたり、ターコイズブルーの前坪にしたり……。


尾崎 2ヶ月後くらいに受け取りに行った際に、試し履きで「これは!」と思いました。その場で下駄もオーダーさせていただいて、最終的にJOJOにも挑戦したいなと思ったんです。履物の正しい履き方、歩き方を教えていただき「奥が深いなぁ」と感心するとともに、そのカジュアルバージョンとのJOJOも持っておかねばと。履物について正しく理解できるようになると、JOJOの素晴らしさも分かる。色んなことが“腑に落ちた”んです。結果的に草履はスラックスなどに合わせてキレイめに、JOJOはジーンズやショーツと合わせてカジュアルに使うなど、棲み分けをしていますね。

関塚
JOJOの出発点は、ウチの社長(五代目当主・内藤誠治さん)がインドに行ったとき、一足も美しいサンダルを見かけなかったということがあって、「日本の履物匠として、本当に綺麗で履き心地のいいビーチサンダルを作りたい」と考えたんです。個人的なことを言えば、僕の一日は七割方手仕事なので、移動範囲が広くありません。というより店からほぼ出ないんです(笑)。仕事中は白いシャツに丈夫で気持ちいいパンツというユニフォーム的スタイルで日々過ごしているのですが、JOJOならいつでもしっくりきます。


関塚 白シャツと相性の良さから、白や黒の鼻緒のものを選ぶことが多いんですけどね。僕たちは作業をしながらお客様にも接する“職商人(しょくあきんど)”といわれる身で、そういう人間には、白シャツが一番フィットするものですから。尾崎さんもおっしゃったように、履物というのは歩き方が大切です。JOJOも最初は歩きにくいと感じる方もいるようですが、慣れてくるともう他のビーチサンダルには戻れない(笑)。長時間履いていても、全く疲れないと言っていいくらいなんです。

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