2018.08.30 update

新たなフィットで"深化(進化)"するサルトリアテイスト


「スコティッシュ・クラシコの流れを汲んで、素材に合わせたディテールデザインやフィッティングにもお客様から様々な要望が寄せられるようになりました。とくにご要望が多いのは、マシンメイドのスーツからは伝わりにくい、本物感や手仕事の味わいを求める声です。10万円前後のファクトリーブランドのスーツでも、副資材にこだわっていたり、ワンランク上の素材やディテールワークを求められます。目の肥えたお客様にもご満足いただける品揃えには、我々バイヤーがサプライヤーと共に協業して行く必要があるのです」。

バイヤーの山浦勇樹は、そう話す。これまでイタリアンクラシックを手軽に味わえる既製品を着てきた人たちが良いものを知るようになり、本物を志向する意識が育ち始めている。いくつものブランドを知り、オーダーも経験した頃、サルトリアーレならではの手仕事の魅力に開眼する。こだわりある知的な大人の男性なら当然の思いだ。スタイルあるファクトリーブランドのスーツにも、職人の手仕事を感じられる仕立てやディテールデザインを求めたい。そんな希望を叶えるべく、伊勢丹メンズはサルトリアテイストを感じられるディテールや素材、フィッティングまでこだわり抜いたコレクションを展開している。


左:<ダルクオーレ>のコートは、オーセンティックなシルエット。細身一辺倒だったシルエットトレンドにも変化が見られる。コート 496,800円
 右:<リヴェラーノ リヴェラーノ>のジャケットは、モダン志向のファクトリーブランドとは一線を画すサルトリアメイド。ジャケット388,800円


たとえば<タリアトーレ>のスリーピーススーツは新作の「レネー」を取り上げる。ジャケットは、袖の付け方に南イタリアのサルトが多用する「マニカカミーチャ」の手法が用いられたものだ。袖付に深いギャザーが入るのは、いせ込みと呼ばれる高度な技法が使われているため。機械の仕事ではなし得ない、熟練した職人の手だけが作り出せる仕様である。チェンジポケットを配しているのは、サヴィルロウ仕込みのデザインワークだ。機能として使われることはなくとも、英国紳士が着る高級仕立て服に見られるディテールデザインを採用することで、ブリティッシュの匂いを感じられるハイブリッドなスタイルが実現させている。

これまでその柔らかな着心地と、職人の手作業に頼る仕立ての技法を取り入れてきた<デ ペトリロ>は、やや構築的なフォルムを描くモデルをリリースしている。ラペルをこれまでより1cm広げ、ゴージラインも下げ気味に。着丈も従来よりやや長めで、英国的な雰囲気ある新モデル「マルキアーロ」は、「透き通った海」という意味だ。パンツは1インプリーツ仕様で、持ち出しが長かったりするのもサルトリアーレの味わいを残している。


左:<デ ペトリロ>のスーツは構築的なフォルムを描く。スーツ173,880円
右:<エルネスト>ではマニカカミーチャのナポリ式の袖付けが特徴的。優雅なドレープは手仕立ての賜物。スーツ178,200円
 

<エルネスト>は定番スーツのフィッティングをブリティッシュ様式に変更している。ジャケットはセンターベントをサイドベンツに、着丈やゴージ位置も微妙なモディファイが加えられた。組下のパンツはボタンフライで股上も深いうえ、腰裏にはサスペンダーボタンが配されている。バックポケットは右側のみというのも、クライアントの希望を叶えるいかにもサルトリアメイドらしい仕様だ。

「これまでは年に数回のオーダー会を待つか、現地まで赴いて仕立てなければ得られなかったサルトリアの味わい。もっと手軽に楽しめれば紳士服への興味もさらに湧き、装うことの楽しみ方を知ることができます。肩肘張らず、気軽にイタリアンクラシックを味わえる機会となるのではないでしょうか」(山浦)。


*価格はすべて、税込です。

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