2016.04.05 update

<尾道デニムプロジェクト>チャーリー・ヴァイスが出会った「おしゃべりなデニムたち」(2)|産地の人が穿いて育てていく一期一会のデニム

仕事や日々の生活の中で穿かれ、刻まれたシワや自然な色落ちなどの個性こそがデニムの価値――デニム産地の人が実際に穿いて育てるという前代未聞、世界でも初となる試みを実践しているのが「ONOMICHI DENIM PROJECT」。8階=レジデンス/チャーリー・ヴァイスに初登場となる「尾道デニム」について、ONOMICHI DENIM PROJECTのセクションマネージャーを務める和田幹洋さんにお話を伺いました。


まちぐるみで実践し、まちの魅力を発信する

――今回、尾道にある「尾道デニムショップ」を出て販売されている「尾道デニム」ですが、内容を知るほどにユニークなプロジェクトです。
このプロジェクトを始めるとき、尾道のまちの殆どの方が「?」マークでした。「そんなもの売れるわけがない」と。しかし、何度も話し合いを重ねて、みんなで協力して取り組むことでまちが活気づき、まちの魅力の発信になればと、納得していただきました。

――2013年スタートの第一弾では270名が参加されたそうですね。
はい、第一弾は、2013年1月末から翌年1月末まで行ない、それぞれの物語が刻まれた1点もののユーズドデニムが540本完成しました。その1本1本を<RESOLUTE/リゾルト>デザイナーの林芳亨(よしゆき)さんが目を通し、ヴィンテージの風合いをチェックしながら値決めをしました。第二弾は90名、現在は第三弾で120名が参加してくれています。


――そうやって育ったデニムはすべて「尾道デニムショップ」で販売されているんですね。
尾道デニムショップは、プロジェクトがスタートして1年後にオープンしました。それまでは売り物がないので(笑)。尾道デニムは、<Denime/ドゥニーム>の創始者としても知られる林さんが満を持して創り上げたデニムブランド<リゾルト>のもので、林さんは「人が穿くことで格好良く育てていくという信念」をお持ちで、このプロジェクトの発案・監修もされています。


自分だけの1本に出会いに尾道へ!

――1年後に実際にショップにデニムが並んで、どんな反響でしたか。
プロジェクトの取り組みの斬新さが広くメディアを通じて報じられ、想像を超える反響をいただき、今も続いています。ショップの第1号のお客さまは地元の高校生。アルバイトで貯めたお金を握りしめてショップへ来てくれました。尾道市長にもプロジェクトに参加していただいたのですが、大阪の市議会議員選挙に出馬予定の方が、市長のデニムのサイズがぴったりで、「これで当選間違いなし!」と喜んで購入していただいたり。1本1本に刻まれたストーリーを想像しながら楽しんでいただいています。


――まさに、一期一会なんですね。
それもまた出会いなのがこのプロジェクトの特徴です。また、穿き手の方からお客様への一方通行のコミュニケーションではなく、購入された方のことも穿き手の方にフィードバックしています。

――本当に手間のかかることを実践されているんですね。
「こんな方が購入しましたよ」と伝えると、苦楽をともにしたデニムが「嫁に出た」心境だと涙ぐまれる方もいます。尾道デニムには、これまで育てた人、これから育てる人を結んでの本数分のリアルなストーリーがあります。


瀬戸内の小さなまち、尾道の空気を感じて穿いてください

――和田さんが今日穿いているのも「育てている」デニムですか。
そうです。これは「2代目」といって、一度デニムを配布しましたが、なかなか仕事で穿く機会がなく、新品に近い状態のモノを2代目オーナーとして、次のストーリーを刻んでいます。


――では、尾道デニムの魅力をお伝えください。
よく、「人が穿いたデニムになぜ価値があるのか?」と尋ねられます。ONOMICHI DENIM PROJECTは、一生懸命働くこと、生活することに毎日真面目に取り組んでいる日本人だからこそ成立するプロジェクトです。デニムは働いている姿が正直にあらわれるアイテムで、汚れや破れから人が生きていることを想像して穿いてもらうことができる唯一のもの。このプロジェクトは効率よりも必要な手間を惜しまず、デニムの新しい価値観づくりにチャレンジしています。瀬戸内の小さなまち・尾道で働いている人のストーリーを知っていただき、尾道の空気を感じて穿いていただければ。そして「尾道=デニムのまち」となる日が来るよう応援していただければ幸いです。

<尾道デニム>販売会
□3月30日(水)~4月12日(火)
*4月2日(土)・3日(日)・9日(土)・10日(日)は尾道デニムプロジェクトのセクションマネージャー・和田幹洋氏も店頭にて販売をいたします。


Photo:Ozawa Tatsuya

お問い合わせ
メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス
03-3352-1111(大代表)