生地選びに込められた、ネクタイへの飽くなきこだわり|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 溝田 将法 vol.2
さて、話はネクタイの生地選びに戻ります。
【前回の振り返りはこちら】
►バイヤー溝田、初めてのイタリア出張。イタリア名門工場で生まれる、特別なネクタイを求めて|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 溝田 将法 vol.1
ISETAN MEN'S Buyer’s blog
伊勢丹新宿店メンズ館のバイヤーによる「ISETAN MEN'S Buyer’s blog」は、商品の企画から店頭に並ぶまでの裏側を、バイヤー自身の言葉で伝える連載企画。普段は見えにくいものづくりの現場をブログ形式で発信していきます。
圧倒されるほどの生地の量
工場の扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、壁一面に並ぶ生地の棚。
ロール状になった生地が天井近くまで積まれ、別の棚には折り畳まれた生地がぎっしり。これでもほんの一部だと聞き、正直驚きました。今回の訪問には、株式会社アイネックスの社長に同行していただきました。
生地選びはアイネックスの社長や現地工場フェルモ・フォサッティ社の担当者と一緒に、何十種類もの生地を前に議論を重ねました。
ネイビーの生地といっても、柄や織りが異なるものが数多くあり、一旦ゼロベースで全てを見せてもらい、最終的に候補を絞り込みました。
生地選びは“お客さまの顔”を思い浮かべながら
もともとフレスコ織りの生地を選ぶつもりで工場に来ましたが、実際に並んだ生地を見ると、サテン調やツイル織りなど魅力的な素材も多く、心が揺れます。それでも最終的な選定基準は、メンズ館のお客さまのお好みです。
スーツを着る方々のワードローブに自然に馴染み、春夏にふさわしい清涼感を持つこと。
「この生地なら、お客さまが喜んでくれるはず」——そんな顔を思い浮かべながら、最終的にフレスコ織りの中でも透け感と光沢のバランスが絶妙な一本を選定しました。
選定の瞬間
生地を選ぶ作業は、単なる色柄選びではありません。目の前の生地を手に取り、光に透かし、結び目の形を想像しながら、何度も「これでいいのか」と自問します。
アイネックスの社長から「このネイビーは清涼感がある」と勧められ、工場スタッフからも「これが一番バランスがいい」と太鼓判をもらった瞬間、ようやく決断できました。
細部に込めた“ネクタイへのこだわり”
今回のネクタイは、「男のワードローブのベース」になる一本を目指し、見えない部分も含め、細部にこだわっています。ネクタイの生地が決まったら、それに合わせて芯地や大剣幅、ネクタイの形状を決めます。具体的には、透け感のあるフレスコ織りには裏が目立たない黒芯を採用して全体の表情を引き締め、標準よりやや太めの大剣幅を設定してジャケットとのバランスを整えます。
そして形状はセミボトルシェイプを採用し、凹凸のある生地でも結んだ際にノットが過度に大きくならないよう調整します。
これらは一見目立たない仕様ですが、実際に結んでいただくと見た目の印象や着用感に直結する重要な要素であり、完成まで責任を持って詰めていきます。
完成は2026年春に
現在サンプルを製作中で、仕上がりは2026年春夏シーズンを予定しています。サンプルが届き、幅違いや細かな修正を経て、1月中旬に店頭に並ぶ予定です。
間もなくサンプルが届きますので、また詳細をご紹介しますので、お楽しみに。
EDIT:STUDIO ALTA
*価格はすべて、税込です。
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