2020.12.23 update

「着られる服がない」をイセタンメンズが解決!Vol.10 ──新天地で挑戦する元Jリーガーの黒尽くめを解消|


体型に悩みを抱えるがために「自由に服が選べない!」というプロ・アマのアスリートたちに、最新のファッションアイテムをコーディネートするこの企画。大きいサイズ「スーパーメンズ」サイズを展開するブランドを数多く取り揃える伊勢丹新宿店メンズ館7階 メンズオーセンティック(以下、伊勢丹メンズ館)で、服を楽しむ術をお伝えしてきた。

そんな伊勢丹メンズ館から、ほんの目と鼻の先にJリーグを目指すサッカークラブがある。「クリアソン新宿」は23区初のJリーグクラブを目指し、現在は関東サッカーリーグ1部に所属している。来年度のJFL昇格を目指すクラブには、元Jリーガーも多数在籍。チームメンバーは、営業活動や地域活動にも従事するなど、新たなスポーツビジネスモデルとしても注目を集めている。新宿区と包括連携協定を結ぶなどメディアも注目するこのクラブにも、服に悩みを抱える選手がいると聞き、さっそく足を運んでみた。

 
 

新宿から23区初のJリーグそして世界を目指す地域密着型クラブ



クリアソン新宿は関東リーグ1部に所属するクラブチーム。2009年、東京都社会人サッカーリーグに加盟し活動をスタートすると、カテゴリーを一気に駆け上がった。2019年には関東2部リーグで優勝し1部へ昇格。今シーズン終了時の順位は10チーム中5位。関東サッカーリーグ1部2部全チームが参戦するKSL市原PENALTYカップでは見事優勝を飾り、来季のJFL昇進へ向けて大いに期待されている。

「クリアソン新宿は『Jリーグ百年構想クラブ』申請を提出して、2023年度のJリーグ、そして世界に通用するサッカークラブを目指しています。東京23区初のJリーグクラブとして新宿から世界へ、を合言葉に、サッカーだけでなく様々な活動にも参加しているのです」

そう話すのはキャプテンであり、広報活動も手掛ける井筒陸也選手。J2徳島ヴォルティスのDFとして2018年は33試合に出場。翌年も活躍を期待されながら、自ら3年間のJリーガー生活にピリオドを打ちクリアソン新宿に加入した。


「チームには社会人を中心に元Jリーガー、学生もいます。そして私のように社員として、スポーツイベントの企画制作や協力、地域活動などに従事している選手もいます。先ごろ新宿区と包括提携協定を締結して、新宿区が掲げる『新宿力』を体現するため、クリアソン新宿はサッカーやスポーツがもつ力を活用したいと思っています」

チームの活動は平日2回と土日、平日は終業後に都内の運動場で行われている。昼間はいわゆる”サラリーマン”として各選手が所属している企業の業務に取り組んだり、「パートナー」と呼ばれるスポンサー企業への協力活動など、クラブ事業の運営をしているのだ。

「伊勢丹とは同じ新宿の仲間として親しみもあります。今年10月に開催された『NOMINO 伊勢丹新宿・蚤の市』に参加し、新宿の名店 BEER&CAFE BERG(ベルク)のブースの一角で、クリアソン新宿の企画展示をさせていただきました。今後も、一緒になにかできればいいなと思っていたところです」

そこで今回、アスリート体型からくる服の悩みを解決する本企画で、クリアソン新宿を応援することに。ところが井筒選手は筋肉質だが長身でバランスもよく、服の悩みはあまりないそう。そこでGKの岩舘 直選手をご紹介いただいた。

誰よりもファンを大切にするGKの服悩み



岩舘選手は6年間在籍した浦和レッズから今年クリアソン新宿に完全移籍。練習後のファンとの交流をとても大切にする人柄と姿勢は有名で、何時間かけても最後のひとりまで対応することで知られていた。浦和では一度も公式戦出場の機会を得なかったにも関わらず、昨年チームを去る際、練習場に大勢のファンが詰めかけたことでも話題となった。

「これまでも応援してくれる声には最大限応えるようにしてきました。これからもその姿勢を変えるつもりはありません。声をかけてくれるすべてのひとに感謝の気持ちをもって応じていきます!」

そう話す岩舘選手に服についての話を聞くと「サイズがあるかどうかが第一なので、あまりデザインやシルエットで選ぶことができないです」とアスリートならではの悩みを抱えていた。色柄を着る機会もないため、ワードローブは黒っぽい服が多くなっているという。


「服を買うところを決めていないのが、服探しに苦労している理由かもしれないですね」。たしかに自分に合うサイズの服を手掛けているショップやブランドがわかれば、そこへ通うことでつねにアップデートしたファッションを手にすることができる。そこで今回、伊勢丹メンズ館7階で展開するトゥモローランドとセオリーのコーディネートを用意した。どちらもスーパーメンズサイズに対応できる人気のブランドだ。

スポーツ感を抑えた、きれいめニットカジュアル





〈トゥモローランド トリコ〉
ニットコート 88,000円
セーター 30,800円
〈トゥモローランド ピルグリム〉
スラックス 30,800円 商品を見る
□三越伊勢丹オンラインストア


オレンジのニットの上から、さらにニットのコートを重ねるアンサンブルスタイルは、ともにセレクトショップでもある〈トゥモローランド〉のオリジナルブランド。ケーブル編みのセーターは一般市場に出回らないスーパー140’s相当の高級ラムズウールを使ったもので、原毛からこだわることで知られる〈トゥモローランド〉の人気定番アイテムだ。

「ユニフォーム以外でこんな鮮やかな色を着たのは初めてかも(笑)。普段から黒っぽい服ばかりなので、自分に似合う色なんて考えたこともなかったです。自分では絶対に選ばないから、こういうふうに着せてもらうと、なんだか新しい自分を発見したみたいでちょっと照れくさいです」

日焼けした顔には、オレンジ色が映えるものだが、岩舘選手の明るいキャラクターを映しだしているかのようによく似合っていた。上から重ねたコートはダブルブレストに立ち襟のバンドカラー。ミラノリブという目が詰まったフラットな編み方で、ニットをカットすることなく編み立てで各部のパターンを作り、パーツごと編み目をひとつずつ繋ぐ「リンキング」と呼ばれる高度な技法で仕立てられたものだ。そのため大柄の岩舘選手の身体をふわりと包み込むような着心地で型くずれもしにくく、優雅な趣を醸しているのが見て取れる。

 
 

「このコートはカッコいいですね。シルエットもきれいで、全然パツパツじゃないですね。肩周りがすごくラクなのはニットだからですか。いつもジャケットやコートは肩が入れば多少キツくてもよしとしていたので、ジャージみたいにラクに着られます。え、ジャージってニットなんですか!?」

ジャージーとはニットの編み方のひとつで別名「天竺」「メリヤス」とも呼ぶ。布帛の「織り」と違って編み目のひとつひとつが伸縮するため、伸縮性に優れるのが特徴だ。アスリートには織り布を使ったシャツやジャケットより、ニットやジャージーを使ったスウェットシャツやパーカが好まれるのも、この伸縮性があるからこそ。これまでスポーツウェアに使われることがほとんどだったが、最近はニットやジャージーをドレス風に仕立てたアイテムが増えているだけに、アスリートのお洒落の幅がぐんと広がっている。

「柄ものパンツなんて初めてかも」と笑う岩舘選手だが、フロント2プリーツのチェックパンツは、緩やかにテーパードするセミワイドシルエット。鍛え上げた下半身をもつ岩舘さんでも、クリースが真っ直ぐ落ちてスタイリッシュなシルエットを描いている。

ビジネスにも使えるドレスアップスタイル

 

〈セオリー〉
コート 83,600円 商品を見る
セーター 31,900円
パンツ 37,400円
□三越伊勢丹オンラインストア

 


もうひとつはスーパーメンズではお馴染みの〈セオリー〉。カシミヤのタートルネックニットには、ラフにスタンドカラーのコートを羽織って。ともにXXLというサイズがジャストフィットして、ドレスアップした大人の岩舘選手を引き立ててくれた。

「ニットはよく着ますが、カシミヤの大きいサイズって、あまりないんですよね。タートルネックでカシミヤ100%なんてすごく贅沢なのに、ピタピタじゃなくてちゃんと余裕あって着られることが嬉しいです」

コートの内側にちらりと覗くニットは、一枚で着たときも胸元やスリーブに少し余裕があって優雅な印象が際立ってみえる。これまで「ニットは身体にピタピタで着るもの、余裕のあるサイズ感のニットはあきらめていた」という岩舘選手に理想のニットがセレクトできた。GKらしく逞しいネックサイズにも余裕でフィットしている。

「クリアソン新宿でサラリーマンとしての仕事をするようになって今年1年だけで、Jリーグにいる間に着た回数を超えるぐらいスーツを着ました。でも既製品のシャツは、首がどうしても入らないのでボタンを開けたままネクタイをしてたんです。これからはこういうスタイリングで仕事するのもいいかもしれませんね」

 
 

今日の私服はスーツにTシャツだった岩舘選手。これからはタートルニットを合わせるお洒落なイタリア男風「ドルチェヴィータスタイル」も着こなせそうだ。モダンな印象のスタンドカラーコートは、フロントボタンを隠した比翼仕立てでミニマルなドレス感が漂うもの。リサイクルウールにカシミヤとナイロンをブレンドした、しなやかでふっくらとした素材感が優雅な雰囲気を醸している。

「デザイン性のあるコートは着てみたいと思っても、サイズがないだろうと最初から諦めていました。腕とか肩が入らないんです。基本的に暑がりなので、コートはあまり重要視してこなかったのですが、こんなふうにニット上から羽織るだけでも様になるなら、これから挑戦したみたくなりますね」

コットンパンツは細身でもストレッチを混紡したいまどきのフィッティング。先程のセミワイドシルエットとは対照的だがサッカー選手の太腿でも穿けるとあって、岩舘選手も感心していた。

クリアソン新宿と伊勢丹メンズ館、「新宿力」の仲間として


J1浦和時代、チームメイトとともに何度も伊勢丹メンズ館を訪れたことがあるという岩舘選手も、今日はあらためてその実力を知った様子。

「身体が大きく、着られる服がないという人は、自分も含めて着られる服の探し方を知らないんだと思います。大きいサイズを見つけても、同じ店に通ったりはしなかったので。いつも服を買う店が決まっていたら、そんな悩みはなかったんですね」

気に入ったデザインと、着られるサイズがあるブランドなら、いつでも納得のいく服選びができる。それがより多くのブランドとアイテムを取り扱う伊勢丹メンズ館なら、さらに幅広いセレクトができるだろう。アイテム探しはもちろん、コーディネートの相談や様々なブランドミックスも、スタイリストに相談しながらできるのは、ひとりで着られる服を探し回るよりはるかに効率もいい。

「これまでの服の買い方を見直さないといけないですね。今年はチームが変わったり、サラリーマンとしてのキャリアをスタートさせたり、服の買い方を知ったり、いろんなことが1年生ですね(笑)。」

「来年はもっとたくさんの人にクリアソン新宿を応援してもらいたい」とは岩舘選手だけでなくクラブの希望でもある。23区初のJリーグクラブを目指し、さらには「世界一」へ。同じ新宿の仲間として、これからも伊勢丹メンズはクリアソン新宿を応援していきたい。

 




岩舘 直

1988年8月17日生まれ。神奈川県横浜市出身。神奈川県立旭高等学校を卒業後、JFLのアルテ高崎を経て、2012年にJ2水戸ホーリーホックへ加入。2014年シーズン途中にはJ1浦和レッズへ移籍し、在籍中の2018年と2019年の2年間は同クラブの選手会長も務めるなど、選手やスタッフはもちろん、ファンからの信頼も厚い存在に。2020年シーズンより、関東1部リーグ所属のクリアソン新宿に完全移籍。JFL昇格を目指しながら、地域貢献活動にも積極的に参加する。

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Photograph:Tastuya Ozawa
Text:Yasuyuki Ikeda

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