3.木型(ラスト)編|特徴を知り、自分の推し木型を見つける


左から:アバディーンラスト/プラザラスト/ヴァンラスト/バリーラスト/ミリタリーラスト/モディファイドラスト

<オールデン>は創業当時から「靴は歩くためのギア」という哲学を持っています。上記の画像のような様々な特徴の木型を採用しているのは、何よりも歩きやすさを前提に考えられているから。現在アメリカ本国では10種類以上の木型の靴が展開していますが、日本の市場ではより日本人の足に馴染みやすい木型を中心にラインナップされています。

今回はその中から、伊勢丹新宿店メンズ館でも取り扱っている特に人気の高い木型を中心にピックアップし、その特徴を詳しく解説。木型によってサイズ感やフィッティングも変わってくるので、まずはその特徴を知り、自分の足にあった”推し木型(ラスト)”を見つけて欲しい。


1. ABERDEEN LAST
アバディーンラスト



<オールデン>が持つ木型の中で一番古いとされている。よりトラッドに、よりスタイリッシュに見せるドレスシューズ向けの細身の木型。スリムでありながらも、足のつま先から甲で靴を足に固定する設計なので吸い付くようなフィット感が履き心地と歩きやすさも兼ね備えています。 美しく映えるフォルムは足元をエレガントに魅せてくれます。

2. PLAZA LAST
プラザラスト



アメリカ的なチゼルトウ(つま先がスクウェア型)が印象的な、ほかの木型と一線を置くノーズが長めな木型。<オールデン>ではアメリカ国内に数多く流通しており、主にドレスシューズに使われることが多い。

 


3. VAN LAST
ヴァンラスト



つま先が垂直に立ち上がっているモカシン専用ラストで、モカ(甲にあるU字型の意匠)がきれいに乗るように作られています。本国のヴァンラストと比べより甲が高く、ヴァンプ(つま先革)が長く履き口が狭い仕様。つま先から甲でしっかりホールドしており、踵の食いつきがいいので、日本人の足型に合ったフィッティングと言えます。他のラストと比べて捨て寸は短めで、程よくゆとりを持たせ、スリッポンながらさまざまな足型に合います。

4. BARRIE LAST
バリーラスト



アーチの絞りは緩め、ヒールカップはやや浅め。どっしりとした安定感あるフォルムはアメリカントラディショナルなデザインと相性がよく、ボリュームある無骨な雰囲気に男らしさが伺える。甲部分がキュッと締まって、つま先にゆとりがある分、とても履きやすいし、履き心地がいいのが特徴です。

5. MILITARY LAST
ミリタリー ラスト(379X)



タンカーブーツに代表される木型が「ミリタリーラスト」、正式名称は「379X」。海外では見かけない木型として靴好きには有名です。第二次世界大戦中に軍靴用として作られ、戦後長く倉庫で眠っていたものを1994年に発掘し復活を遂げ、95年に日本でデビューしたタンカーブーツに使用されています。
土踏まずを緩やかに絞っていて、踵まわりが小さく、甲が低いので、足幅が細い方でも合わせやすいのが特徴です。

6. MODIFIED LAS
モディファイドラスト



履き心地の良さを追求した<オールデン>を代表する木型。美しいアーチのシェイプは土踏まずを支える“アーチフィッティング”の為のもので、アーチが高かったり、甲高でインサイドラインがストレートな足、ハンマートウ、フラットフット、内股で足の弱い方などに広範囲に対応できる。つま先は丸みがあり、指を自由に動かせストレスを軽減、長時間歩いても疲れにくい設計になっている。


他にも根強い人気の5型の木型はこちら。

7. TRUBALANCE LAST/トゥルーバランスラスト
オーソペディック(足の治療や運動機能の補助を目的とした靴)のライン、フットバランスシステムの1つトゥルーバランスラスト。丸みを帯びたトウデザインが特徴的で、<オールデン>の中でもっとも幅が広いとされている。つま先にボリュームがあり甲が低めなこの木型は、モディファイドラストと並び、多くの足型に合うのが特徴です。


8. HAMPTON LAST/ハンプトンラスト
<オールデン>では最もドレス顔な木型の1つ。シャープなつま先とは異なり、やや内ぶりで程よいアーチシェイプが心地よいスタイリッシュなラストです。根強い人気でアメリカ本国での取扱いも多い。


9. COPLEY LAST/カプリラスト
レイドンラストのつま先をシャープに尖らせたトウデザインが印象的な木型。美しく足元をシャープに魅せるのは勿論、その見た目とは異なり程よくゆったりした履き心地が特徴。

10. LEYDON LAST/レイドンラスト
王道バリーラストを横幅、高さ共にやや細身に仕上げた木型です。つま先に丸みを残しているので、本国ではセミカジュアルなモデルに使用されることが多い。

11. GRANT LAST/グラントラスト
<オールデン>全木型の中でワイドとナローの中間に位置するベーシックな木型。フォルムにクセがない為、どんなパターンを乗せてもしっくりくるユーティリティ性が魅力の木型。


4.フィッティング編|サイズ選びのポイントは?

オールデン>のサイズ合わせの考え方は、英国やイタリアなど「タイトフィッティング」を主流とした欧州の靴メーカーとは根本的に異なり、全て「アーチ(土踏まず)フィッティング」を基準とします。アーチが合うと、つま先は程よく余裕を持ち、指先を常に自由に動かすことができるので、革靴というよりスニーカーに近い履き心地が味わえるのです。この「アーチフィッティング」はまさに初めて足入れしたときから快適な履き心地でなければ歩行のサポートが出来ないと考えている<オールデン>の理念そのものでもあります。


サイズの選び方について


次に、押さえておきたいサイズの見方、選び方を解説します。

サイズ表記について
  • 【靴の内側に記されている記号の見方】
  • ①:サイズ表記
  • ②:ウィズ表記(分母=ウィズ・分子=ウィズによって導き出されるヒールサイズ)
  • ③:シューズのモデルナンバー
  • *その他は諸説ある為非掲載

オールデン>のサイズは全てUSサイズで表記されていて、UKサイズと比べるとハーフサイズ大きな表記となります。例えばUK7ハーフで自分のサイズを覚えている人はUS8を探すとよいでしょう。


ウィズについて

本国では木型によりそのウィズは様々で、AA~EEEEまで揃えており、多くの足型をサポートしています。ただ、<オールデン>のウィズ規格は元々がやや幅広の為、日本国内ではDでの展開が主流。これは一般的なメーカーのEまたはEEに相当します。
 

木型別サイズ合わせ方

オールデン>のサイズ選びの1番で知っておくべきなのは、木型や革素材、デザインの複合的な要素でサイズが前後するという事こと。まずは、自分のレングス(長さ)やウィズ(幅)を正確に知り、自分に合った最適な木型やサイズを選びましょう。特に初めて購入される方は、必ずフットメジャーでレングスを測定し、店頭スタイリストへご相談の上サイズを決めることをおすすめします。

木型によっては広くて丸いつま先や、より狭くて先のとがったつま先のものもあり、それぞれの形状が異なるため、フィット感やサイズが異なります。他のモデルよりも0.5㎝ほどサイズが大きくなるモデルもあるので特徴をよく掴むことが必要です。

*左「アバディーンラスト」 右「バリーラスト」

例えば、前述の主要な木型を目安にすると、「アバディーンラスト」のモデルは通常のUSサイズよりわずかに長さはあるもののサイズはジャストで選べる一方、「バリーラスト」や「トゥルーバランスラスト」モデルは通常のUSサイズより大きめなのでハーフサイズダウンすることがおすすめとなります。

また冬場に履く機会が多いブーツは、肉厚なソックスで着用するなど、ソックスの厚みによってもサイズが異なるため注意が必要です。