2020.01.27 update

【特集】至高の革と技が堪能できる<REGAL/リーガル>のビスポークシューズ

ビスポーク、九分仕立て、そしてふだんはお目にかかれないプレタポルテが一堂に会する「REGAL TOKYO ORDER WEEK」が開催される。会期は2月5日(水)から11日(火・祝)の1週間。8日(土)・9 日(日)・11日(火・祝)はビスポークシューメーカーも来店し、その技を披露する。


見どころはトランクショーにあわせて登場するビスポーク・サンプルだ。あらたにラインナップに加わるのは、タッセルローファーとヴァンプのふたつ。靴好きならあらためて語るまでもないけれど、いずれもアメリカで広く親しまれてきた靴種で、前者は弁護士の靴 といわれ、後者はアイビーリーガーが好んで履いた。

ベースとなったのは1985年秋冬コレクションのカタログにあったアーカイブ(30年以上も前のモデルながら、型紙も木型も保管されていたというから驚いてしまう)。

アーカイブにビスポークの設計思想を反映させるべく、取材当日の職人は追い込みにかかっていた。


靴の殿堂を補完すべくビスポークが始まった


<リーガル>の母体は<日本製靴>といい、軍靴製造で鳴らしたシューメーカーだ。ファクトリー ブランドである<リーガル>がビスポークを立ち上げたのは2004年のこと。銀座にオープンした『REGAL TOKYO(リーガル トーキョー)』がその始まりだった。

日本を代表するシューメーカーにふさわしい殿堂とすべく、<オールデン>や<シルヴァノ ラッタンツィ>といった世界を代表する銘靴を取り揃えるかたわら、満を持して乗り出したのがパーソナライゼーションへの対応、すなわちビスポークである。

ビスポークをメニューに加えるにあたり、担当者の頭を悩ませたのはビスポークシューメーカーの選考だった。<リーガル>の名を冠する以上、つくり手には明治に始まる歴史の重みを理解することのできる感性が求められる。そうして選ばれたふたりがいまも中心となって切り盛りするのが『REGAL TOKYO』だ。


そのラインナップの核となるのはロングウイングチップ、サドルシューズ、外羽根のプレーントウ。いずれもアメリカを代表する靴種である。

念のために解説すれば、<リーガル>はアメリカにルーツをもつブランドだ。同ブランドはもともとブラウン社というアメリカのシューメーカーのブランドで、ブラウン社と技術提携を結び、のちにその商標を買い取ったのが<日本製靴>である。

リーガル=アメリカン・トラディショナルの方向性を決定づけたのは<VAN REGAL/ヴァン リーガル>だろう。 アイビールックやみゆき族を生んだ<VAN/ヴァン>とコラボレーションしたコレクションは当時の若者に熱狂的に支持された。

現在は顧客の声を受けてバリエーションも広がっているが、根っこにあるのはあくまでアメリカン・トラディショナル。あらたに加わる2型のスリップオンで、その輪郭はより鮮明になるはずだ。


<リーガル>が勢力あげてバックアップ


もちろん見どころはデザインだけではない。

『REGAL TOKYO』の誕生から工房を切り盛りしてきたビスポークシューメーカーが手がけるコレクションは、アメリカン・トラディショナルが見事にブラッシュアップされている。

1インチ10〜12針という出し縫いのピッチ、手釣りだから可能となった低く攻めた甲のシルエット、手釣りに加え、銀付きの肉厚な革を成形した芯材がもたらす吸い付くようなかかとのフィット感……どこをとっても非の打ちどころがない。

これは<リーガル>というバックボーンがあるからできることだが、用意されるレザーも垂涎の域にある。ビスポーク部門には<リーガル>が仕入れたアノネイやウェインハイム、レンデンバッハといった一流タナリーの革のなかから最上の一枚を使う特権が与えられているの だ。部材のすべてが<リーガル>の厳しい検査基準に合格したもののみ、という安心感も特筆されてしかるべきだろう。



しかしなんといっても見逃せないのはそこで働くビスポークシューメーカーに、古き良き職人の香りがするところだ。ものづくりのこだわりを尋ねたところ、古参のひとりはこう答えた。

「丁寧につくるのはある程度経験を積めば誰でもできるようになります。ぼくらが大切にしているのは、手をかけすぎず、そうかといって手を抜いているのではないものづくり。たとえばベベルドウエストはその点でかなり改良が進んだ部分ですが、効率的につくれるようになっただけでなく、結果的に仕上がりもずっとよくなっています」

そこにあるのは少しでもはやくお客さまのもとへ、という発想だ。いわゆる工業製品としての靴をつくり続けてきたリーガルが手がけるビスポーク工房ならではだが、日本一の靴職人と謳われた関信義もかつておんなじことをいっていた──靴は芸術ではなく、歩くための道具だ。そこを履き違えるんじゃない。

最後に伊勢丹メンズ館が<リーガル>のトランクショーを行うにいたった経緯にも触れておこう。すでに説明したとおりリーガルのビスポークは目の肥えた人間でも一目置くレベルにある。これを広く知らせたい、というのがひとつ。そしてもうひとつに、<リーガル>は伊勢丹メンズ館にとっていまも昔も中核をなすブランドだからである。<リーガル>にはこれまでのアーカイブなどをまるっと揃えた資料館があるのだが(靴の収蔵点数は5万点を超えるというからすごい)、取材終わりにのぞかせてもらったフロアには1967年に発売されたという伊勢丹別注モデルが飾られていた。

イベント情報
<リーガル>「REGAL TOKYO ORDER WEEK」
  • メンズ館地下1階=紳士靴

オーダー詳細

  • 価格:(ビスポーク)352,000円から、(九分仕立て)154,000円から
  • お渡し:(ビスポーク)約6カ月後、(九分仕立て)約3カ月後

Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Kei Takegawa

*価格はすべて、税込です。

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