2019.11.29 update

【インタビュー】クラシックを昇華させ、モード感を加味した4季目の<CALMANTHOLOGY/カルマンソロジー>(1/2)

11月27日(水)からメンズ館地下1階=紳士靴にて開催している、<CALMANTHOLOGY/カルマンソロジー>のポップアップが盛況だ。そのシューズデザイナーとして、現代における正統派本格靴の新基準を示してみせた“靴人(くつびと)”・金子 真氏。4季目の「PAGE.04」についてのあれこれ、12足限定発売される、伊勢丹メンズ館別注カラーへのこだわりについて話を訊いた。


製法もデザインも広がった、<カルマンソロジー>という世界。


ある意味、金子氏ならではの正統進化と言えるのかもしれない──。

自ら「究極のスタンダード」と位置づける、厳選された12型のドレスシューズからスタートした<カルマンソロジー>のコレクションは、若き日のイヴ・サンローランのようなエレガンスと“崩し”を表現したPAGE.02、静かな佇まいにエモーショナルな“動き”を内包したPAGE.03と、一歩ずつ着実な発展を見せてきた。そして、この秋冬に届けられたPAGE.04は、絶妙に中性的で男性の足元を美しく“魅せる”、優雅にしてシック、それでいてモードコンシャスなモデルが異彩を放つ。もちろんその作りは、圧倒的なまでに緻密で本格的なままだ。

「私はある程度、先々の展開まで見据えてコレクションを製作するようにしています。来春デリバリーされるPAGE.05では、自分なりの原点回帰を企図していました。だからそれにつながるPAGE.04は、<カルマンソロジー>というブランドがスタンダードから離れようとしたとき、どれぐらいの振れ幅でものづくりをすべきなのか、見極めるためのシーズンでもあったんです」


クラシカルなスタンダードから、モード感のあるオリジナルデザインへ──その世界を大きく広げた<カルマンソロジー>の進化は、幼少の頃から祖父のテーラーに入り浸り、後にヨーロッパのデザイナーズクローズを耽溺するようになった金子氏自身のヒストリーと、見事にシンクロして見える。そして作り手としての迷いや葛藤、それをどう乗り越えるかというプロセスまでユーザーに感じてほしいという、創作スタイルの顕れであるともいえるのではないだろうか。

「今季は初めてマッケイ製法にも挑戦し、カットシューズという新しいラインを登場させました。これは、過去3シーズンの製作を経た今だからこそできたこと。正統派のグッドイヤーウェルト製法から始めることで構造から徹底的に作り込み、そのノウハウを活かした独自のマッケイ製法に辿り着くことができました。例えば、一般的には中物(クッション材)に薄いスポンジが使われるのですが、<カルマンソロジー>ではグッドイヤーと同じようにコルクを使用しています。とても贅沢なマッケイですよね。同じように、例えば今後はウチならではのセメント製法なども探っていけたらと思っています」


大量生産やコストダウン、工程の簡略化を主たる目的として生まれたマッケイやセメント製法を、あくまで表現のバリエーションとしてポジティブに捉え、手間を惜しまず、独自に進化させようと取り組む金子氏。だが、もちろんデザイン面での進化と深化にも、眼を見張るものがある。



上:シューズ「PUMPS CUT」61,600円
下:シューズ「WESTERN CUT」63,800円

「昨季の白黒コンビシューズと今季のカットシューズによって、<カルマンソロジー>としてのデザイン的振り幅を確認することができました。このカットシューズは、紳士靴におけるパンプスを目指したもの。紳士靴というのは手法やラインにこだわりつつも、最終的にオーソドックスな定型に近づけるという考え方に囚われがちです。でも婦人靴のパンプスやハイヒールは、女性の足を美しく“魅せる”ということに特化している。この美しく“魅せる”カッティングラインを、紳士靴に落とし込んでみたいと思って作ったのが、カットシューズというシリーズなんです。履いたときの肌の見せ方、V字と隙間の作り方──カッティングによって生み出される美しい中性的な足のカタチこそ、このPAGE.04における最大のテーマといえるかもしれません」