2019.03.13 update

INTERVIEW to Shoeshiner Vol.4 寺島直希|初代チャンピオンの秘蔵っ子(1/3)

銀座三越が主催する靴磨き選手権大会が盛況のうちに幕を閉じた。初代チャンピオンを勝ち取った石見豪につづき、チャンピオンの座をつかんだのは寺島直希。石見の右腕である。

イベント情報

シューシャイン・キャラバン Vol.4

靴磨き選手権2019チャンピオン、「THE WAY THINGS GO」の寺島直希氏が来店
□3月16日(土)・17日(日)各日11時~7時
□メンズ館地下1階=紳士靴



「THE WAY THINGS GO」の寺島直希氏

 


【特集】INTERVIEW to Shoeshiner
過去のインタビューはこちら▶(Vol.1 ジョン・チョンVol.2 石見豪 / Vol.3 長谷川裕也




拍手がこんなにもあたたかいことをあらためて知った。京都で靴を磨きはじめて……。勝利者インタビューでコメントを求められた寺島は口を開くと、突如言葉に詰まった。観客席から起こった拍手が長いこと、感極まった寺島を包んだ。

師匠の石見は波乱万丈な人生で知られるが、寺島もまた、負けず劣らずの道のりを歩んできた。

「靴磨きのデビューは路上でした。とにかく警察に追いかけられる。そのうち気配を察する能力が身につきました(笑)。気配を察したら、速やかに道具をしまって喫茶店へ避難。許可をとろうにも警察も市役所もけんもほろろでしたね。通行人にもよく怒られました。邪魔者扱いされたのは一度や二度じゃききませんし、水をかけられたこともあります。インタビューではこのときのことを思い出してしまって涙が出ました(笑)」


46人のシューシャイナーがのぞんだ予選、準決勝を経て、決勝に進んだ寺島氏が、昨年の石見豪氏に続き優勝。大阪を拠点に活動する靴磨き専門店「THE WAY THINGS GO」のシューシャイナーが連覇する形となった


みかねた馴染み客のひとりが救いの手を差し伸べた。口をきいてあげるから、(東急)ハンズでやりなさい、と。

大学卒業までの2年半、寺島は路上に出つづけた。忙しいときは1日で37足を磨いた。店じまいまで行列が途切れないこともあった。そうして顧客は数百人にのぼった。

「京都駅ではじまって、祇園四条、烏丸、そして東急ハンズと都合4箇所で磨きました。ひとつところにいれば警察の目が厳しくなるというのもありましたが、それとはまた別の考えもありました。ぼくは当初、“お題は1円から。いくらでも磨きます”と謳っていました。相場を知りたかったのです。それでどうやら2000円が目指せることがわかった。で、2000円出していただける客層を考え、ビジネスマンの多い烏丸に移ったのです」


石見がぶらりとやってきたのは、まだ祇園四条で磨いているころだった。

「名古屋の得意先で靴を磨くから一緒に来ないかと石見はいいました。ぼくは二つ返事でついていきました」

石見はいう。

「インスタで活動をしているのは知っていました。有言実行してがんばっている。意気込みは買おうと思いました。その腕前は、正直、他所と比べても遜色ないレベルにあった。もっと寺島のことが知りたくなって、出張に誘った。2日で100足というハードワークでしたが、寺島は黙々と磨いていました。じつはそれまでにもうちで働きたいという若者はいて、試しに連れていったことがあるんですが、その子は昼飯はまだですかっていいましたからね(笑)」

NEXT>包丁を研ぎつづけた父の背中