【特集】アシックス発、次世代ドレスシューズの実力
ことし7月に念願の旗艦店、アシックスランウォーキングギンザをオープンするなど<Runwalk/ランウォーク> がじわじわとその存在感を高めている。はやくから次世代ドレスシューズの最右翼と位置づけてきたバイヤー、福田隆史は満を持してパターンオーダー会を開催することが決定した。初のパターンオーダー会には伊勢丹メンズ限定でグレーが、アシックスランウォークギンザとの2店限定でグリーンが登場する。今回は、同店長の石坂道大が指南役となってその魅力を開陳する。
バイヤーが"3D計測を体験!
福田 ブラックを基調とした高級感あふれるつくり。<ランウォーク>初の単独直営店は銀座にふさわしい佇まいですね。立ち上がりも好調とうかがっています。
石坂 おかげさまでプレステージラインはすでに完売、カラーバリエーションを揃えたレザースニ ーカーは白を残すのみとなっております。
福田 本日はそんなお店を牽引するパターンオーダーを体験したくお邪魔しました。目玉は3次元足形計測機ですね。
石坂 ええ。では早速ですが、まずはシールを貼らせていだきますね。これはボールガース (親指と小指の付け根をぐるりと囲んだ、靴の構造上もっとも大切なパート)とアーチ (クッションの役割を果たす骨組み)の高さを確認するためのものです。では足を入れていただけますか。
(福田の足が数秒でモニターに映し出される)
福田 とてつもなく速い。そしてまさに3D。
石坂 計8台のカメラが駆動、計測しています。福田さんの足は、甲はそこまで高くありませんし、親指の外反も踵の傾斜角もほぼ正常な数値に収まってい ます。全体的にほっそりされていますが、弊社では2Eから4Eまでウィズ展開しておりますので、ご自身の足に合った靴を選んでいただけます。
福田 多岐にわたる採寸ポイントはさすがの一言ですね。
革・仕上げ・デザインへの拘りが"顔(ツラ)"を決める
福田 アッパー素材はどんなラインナップですか。
石坂 アノネイのボカルー(カーフ)、デュプイのサドルカーフ、チャールズ・F・ステッド のスーパーバック(スエード)、そして日本が誇る姫路産のキップ。キップは6色揃うカラーバリエーション、ならびにハンドフィニッシュによる陰影のある風合いが魅力です。
福田 限定カラーを展開させていただくキップはキメも細かい。革そのもののクオリティも海外のそれと比べて引けをとりません。
(写真のモデル)
シューズ 47,520円(オーダー価格)
■お渡し:2019年1月下旬
*伊勢丹新宿店限定
石坂 デザインは内羽根ストレートチップ、外羽根プレーントウ、シングルモンク、ダブル モンク、バックルスリップオンが揃います。メダリオンやパーフォレーションもオプショ ンでおつけすることができます。
福田 しかしそれにつけてもモダンなツラです。もちろん、革のポテンシャルがあるのはわ かるんですが、それだけじゃない。とにかくシルエットが秀でている。このラウンドトウ はモダンクラシックといっていいんじゃないでしょうか。
石坂 じつは弊社には、ヨーロッパの靴業界で17年のキャリアを積んだスタッフも在籍しているのです。かれの知見は大いに貢献していると思 います。
(写真のモデル)
シューズ 49,680円(オーダー価格)
■お渡し:2019年1月下旬以降
採寸データをもとに試し履きへ
福田 足を包み込むようなしなやかな弾力性がありながら、安定感も感じられる。文字どおり走れそうです。
石坂 スポーツシューズで積み重ねたノウハウが存分に生かされています。ランニングシューズに採用、実績のあるオーソライト中敷は表面を吸放湿性ポリマーでコーティングしていますので、クッション性のみならず靴内を快適に保つ効果もあります。ヒール部分の GELは着地の際の衝撃を緩衝し、独自の設計構造に基づくグリッドパターンは優れた屈曲性を実現します。これらは一例にすぎず、<アシックス>のビジネスシューズはゆうに10を超えるテクノロジーが搭載されています。
福田 その研究成果が学会などで高く評価されてきたアシックススポーツ工学研究所をおもちの御社ならではですね。足入れをして感じたことがもうひとつ、あります。それは足に気持ち良くフィットすること。まるで誂えた木型のようです。
石坂 弊社には、過去にのべ100万人以上を計測してきた足形のデータがございます。そのデータを元に靴型を開発しています。
福田 ここ数年、機能を求めるお客さまがほんとうに増えています。目の肥えたお客さまにもご満足いただける次世代のドレスシューズ。これを求めてたどり着いたのが<ランウォーク>でしたが、あらためてその凄みを実感することができました。
鬼塚喜八郎の号令が生んだ新ジャンル
福田 そもそもアシックスがビジネスシューズ市場に参入した経緯を教えてください。
石坂 1976年に開催されたモントリオールオリンピックがきっかけです。
福田 といいますと。
石坂 開会式にあらわれた選手団がブレザースタイルにスニーカーを合わせていたんですが、それをみた創業者の鬼塚喜八郎が「記録に挑戦するアスリートが、競技の場を離れ、ブレザーで移動や入場行進をする際に履ける靴を作ろう!」と構想を立てたのが発端です。
福田 池井戸潤さんの小説『陸王』にも負けない物語になりそう。
石坂 そうして1983年に<ペダラ>が、1986年によりドレッシーな<ワラッジ>が誕生。 <ランウォーク>は<ワラッジ>のラインナップの中でも30~40代の方に向けたビジネスシューズに進化したラインとして1994年にローンチされました。
福田 完成までに7年かけている計算ですね。慎重の上にも慎重を重ねるこの姿勢も好感がもてます。
石坂 ランウォーク〉はこれまでのビジネスシューズのイメージを覆すと自負しております。パターンオーダー会でその快適さをひとりでも多くのかたに体感していただければと思います。
Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Kei Takegawa
*価格はすべて、税込です。
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