2018.11.06 update

【インタビュー】南祐太|<MINAMI SHIRTS/ミナミシャツ>の至高の型紙。(1/3)

これまでに引いた型紙およそ2000枚。その門を叩いた人のほとんどがリピーターになり、多い人で年間10枚超、平均でも3〜4枚のシャツをオーダーするのが<MINAMI SHIRTS/ミナミシャツ>だ。このたび、伊勢丹新宿店メンズ館で初のトランクショーを開催することが決まった。会期は11月11日の一日限り。夜になれば墨を流したような空に包まれる、千葉は流山市の住宅街にアトリエを構える南祐太を訪ねた。


<MINAMI SHIRTS/ミナミシャツ>を主宰するオーナー兼職人の南祐太氏

イベント情報

<ミナミシャツ> オーダー会

□11月11日(日)10時30分~7時
□メンズ館1階=ドレスシャツ・ネクタイ



<ミナミシャツ>のシャツは畳んでも、ボディに着せても、きれいにみえない。なぜならば生身の人間のシルエットを忠実に再現しているからだ。

最大の見どころは、1年余り前に完成させたという台襟の型紙だ。

「これまでのシャツって、タイを締めると苦しかった。まっすぐに伸びた台襟が喉仏にあたるからです。わたしは首のラインに沿う、喉に向かって前下がりに湾曲させた型紙をつくりました。ほんらい身頃であるところに台襟が侵食する格好になるので、身頃まで設計構造を見直さなければなりませんでした」



代表の南祐太はノータイでボタンをあけたとき、ボタンとボタンのあいだの生地がもたつくのがいやで引っ張っていた。前下がりの型紙はこのときのシルエットがヒントになった。結果、もたつきも解消されたという。南はこれまでのサンプリングから3つの傾斜角を導いた。首裏にも2つのシルエットがあるので、台襟の型紙は都合6つのバリエーションが揃う。

フラシ芯の据え方にも独自の美学が貫かれている。

「畳んだときの美しさを一番に考え、台襟の肌に触れる側に芯地を据えるのがシャツづくりのセオリーでした。しかしそれだとどうしたって肌あたりが悪くなる。<ミナミシャツ>の芯地は外にあります」

台襟だけでもこれだけの紙幅を必要とする<ミナミシャツ>は、文字どおり従来の概念を覆す。

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