2018.10.27 update

【特集】前田陽一郎が愛用する、思考するための<THIBIERGE PARIS/ティビエルジュ パリ>というギア

エメリック・ティビエルジュは、フランス・パリのペーパークリエーター。国内外の錚々たるラグジュアリーメゾンの包装紙を手がけるなど、その実力は世界的に評価されている。自身の名を冠した<THIBIERGE PARIS/ティビエルジュ パリ>は、彼が手がける手帳のブランドだ。

この手帳を愛用しているのが、『LEON.JP』編集長・前田陽一郎氏。20年以上、雑誌の世界に身を置き、紙と対峙してきた前田氏は、無名の手帳1冊と、<ティビエルジュ パリ>の「ル カルネ 08・16」を持ち歩いている。そんな前田氏が、来日中のエメリック・ティビエルジュ氏と会う機会を得た。


『LEON.JP』編集長・前田陽一郎氏とエメリック・ティビエルジュ氏


前田 ちょうど紙からウェブの編集長に移った頃、<ティビエルジュ パリ>の「ル カルネ」シリーズを知ったんです。
エメリック 「08・16」というモデルですね。スケジュール帳としてお使いですか?
前田 いえ、スケジュールはスマホで管理しています。「ル カルネ」は、自分の考えをまとめるアイデアノートとして使っています。


エメリック
 そちらに、もう一冊ノートをお持ちですね。
前田 これは取材や打ち合わせの際のミーティングメモです。こちらは手頃な大きさであればブランドも気にしません。もらいものだったり、ノベルティグッズや展示会のお土産だったり。今、使っているのは某バッグブランドのノベルティです(笑)。
エメリック なぜ2冊を?
前田 ひとから聞いたり、実際に見聞きした事柄と、自分の考えとは分けておきたい。そうすることで思考を整理できるんです。膨大な資料から何を抜き出すか、編集作業のためのノートが必要なのです。
エメリック では、こうされてはいかがですか?(ル カルネに、同じメモ用リフィルを2冊とりつけた)



前田
 ……それ、まさに、パーフェクトです!
エメリック スケジュールとミーティングメモのリフィルを、マグネットで一冊にできるのが「ル カルネ」の特徴ですが、同じリフィルを2冊取り付ける事もできます。リフィルの種類が多様なので、異なる2冊を選ぶのに迷われる方がいらっしゃいますが、同じ2冊使い分けるのも便利だと思いますよ。スケジュール帳のリフィルを2冊使うのは、おすすめしませんが(笑)


しっとりと手になじむマットラッカー仕上げの手帳カバーと上質なリフィルが人気。紙づくりに情熱を注ぐデザイナー、エメリック・ティビエルジュ氏の卓越したセンスを感じる。手帳カバー(ノートリフィル付)大:49,680円 小:37,800円ダイアリーリフィル 大:8,100円 小:6,210円
■メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス

前田 以前は一冊のノートに取材もアイデアも書き込んでいたので、それを解消するために2冊持ちするようになったのですが、その手があったとは……。
エメリック 前田さんにとって、書くことはとても重要なことなのですね。
前田 思いついたらすぐにでもメモしたい性分なのです、手近ならキッチンペーパーにでも書きたいくらい。デジタルの世界で知ったことはデジタル上にブックマークできますが、目に見たこと耳で聞いたことは紙に書いて保存します。
エメリック 本や雑誌の世界のひとらしいですね。



前田 いまはデジタルの世界から発信する立場ですが、“点”として保存した資料を、“面”に再構築する場所はパソコン上ではなく、やはり紙の上になります。そのほうが表現の自由度が高いんです。図形と文字の配置、文字の大きさ、強調するところなど、手描きなら思考の速度についていけます。それにミーティングメモの状態では、情報がまだ自分のものになっていないんです。アイデアノートに書いて初めて自分なりの知識として蓄積されるように思います。
エメリック 誰しも、聞くことと話すことは子供のうちにできるようになります。しかし文字を書き文章化することは、学び習得しなければ身につきません。それは人間だけの高度で知的な作業なのです。
前田 エメリックさん、スマホは使われませんか?
エメリック 私もスマホユーザーです。だから「ル カルネ」のメモをスマホに画像で取り込めるよう各ページにQRコードを付けました。アプリで読み込めば自動でソートしてくれるので、必要なページだけ取り込んでいます。
前田 このアプリも便利ですよね。アイデアを共有したいときに役立ちます。

©THIBIERGE PARIS


エメリック 私も以前はブラックベリーに頼っていたことがあります。当時は手書きのノートに鉛筆書きの文字がこすれて消えてしまったことがあったので、デジタルに移行したんです。でも、やはりキーを打つ速度は、頭で考えた速度についていけません。操作に戸惑っているうちに、せっかくのアイデアが失われてしまうことも。そこで書いた字が消えにくい紙を開発しました。ほかにもファブリックのようなヘリンボーン柄の入ったもの、ヴェネチアンガラスのような透明色の紙、トンボの羽根をモチーフにした透かし柄の他に、ベルベットのように起毛感ある紙もあります。
前田 「ル カルネ」のリフィルに使われている紙は、とても薄いのに強いですね。僕は筆圧が強いのですが、一度も破けたことがないんですよ。
エメリック この紙はノルマンディー地方で栽培されている麻の繊維で作られています。麻は一年で成長し、雨だけで育つので手間がかからず、地球環境にも優しい植物です。

©THIBIERGE PARIS


前田 それに180度フラットに開くのもいいですね。厚手のノートやリングノートなどの場合、どうしてもノド(本を閉じた内側部分)が書きにくい。ル カルネなら、見開きで書くことができます。
エメリック リフィルをマグネットで固定するアイデアは、私が若い頃から温めてきたもの。いまは特許を取得した技術となっています。




前田 このシンプルな外装は、とてもモダンな印象です。それにこのカバーがしっかりしているので片手に持ったままメモができるのは立ったままメモしたいときに有り難い。カバーに傷がつきにくいのも特殊なコーティングがされているからなのですか?
エメリック 外装には特殊な樹脂繊維を使用しています。完璧なフラットではなく、ほんのり曲線を描いているのも手にしたときのホールド性を考慮したものです。傷つきにくいよう特別なコーティングを施していますが、それも何層にも塗り重ねているので手間も時間もかかるんです。
前田 デザイナーらしいこだわりです。
エメリック 紙そのものをデザインするのも私の仕事です。


前田 ひとつだけ難点を言わせてください。このル カルネ、筆記用具を収納するスペースが無いですよね。ぼくはもう一冊のミーティングノートに<ROTRING/ロットリング>のペンを挟んでいるのですが、ボールペンでも鉛筆でもいいので、各道具を一緒に持ち歩けるようにしてほしい。そうしたら、ミーティングノートを捨ててリフィルの2冊使いをしようと思います。

Photo:Natsuko Okada
Text:Yasuyuki Ikeda


*価格はすべて、税込です。

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メンズ館8階=イセタンメンズ レジデンス(常設展開)
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