2018.09.15 update

Vol.08 上岡拓也|合理的な絵(1/2)

ISETAN MEN'S netにて新たに始まった連載企画「ART UP by International Creators」。本企画では、従来より密接な関係にある「ファッション」と「アート」にスポットを当て、様々なアーティストをキュレーション&紹介していく。

第8弾は「Blackeyepatch」、「Sasquatchfabrix.」、「John's by JOHNNY」などのファッションブランドへのデザイン提供、店舗のインテリアや商品パッケージのデザインまでもこなすアーティスト/デザイナーの上岡拓也。音楽との結びつきも強く、これまでにKOHHやBAD HOP、YENTOWN、KANDYTOWNといった新世代のヒップホップ・アーティストから、水曜日のカンパネラなどのアートワークも手がけるなど、多彩な活躍ぶりをみせている。

イベント情報

上岡拓也 ライブペインティング

□9月15日(土)11時~16時30分
□本館6階=催物場/ステージ裏壁面

 


上岡拓也

1985年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。卒業と同時にフリーとして活動を始める。これまでにドトールコーヒーやアヲハタジャムなどのパッケージ、水曜日のカンパネラ、KOHHなどのCDジャケット、銀座三越やレストランなどの内装のほか、雑誌など様々な媒体にイラストレーションを提供している。

予備校時代からずっと天狗。クリエイターに必要な“自信”


「幼稚園くらいから、周りの大人たちが自分の絵を褒めてくれたことが今でも記憶に残っていて。それから成長するにつれて、人並みにサッカーとかゲームもやったりしてたんですけど、そこまでハマらず。小学校高学年くらいにグラフィティにやられてからは、ずっとそういう絵が描けるように練習するようになりました」

幼少期から絵以外に自分が他の人に勝てる分野がなかったことを自覚していたという上岡。今の原点とも言える感性は、何と小学生の頃から培われていたようだ。そんな恐るべき早熟の少年は、中学生になると幼馴染の影響で美術系の予備校に通い始めることになる。そこでの体験は今後の彼のキャリアをある意味決定付けるものとなっていく。


「予備校入って一ヶ月くらいで木炭デッサンで賞を取って、そこからずっと天狗になってます(笑)。たぶん、クリエイターにとって、そういう自惚れじゃないですけど、自分の作品に対する自信って持ってなくちゃいけないと思うんです。ここまでその自信を崩さないように頑張ってきたとも言えるかもしれません」


その後、桑沢デザイン研究所卒業在学中から友人などのイベントのフライヤーなどを手がけるようになり、徐々に仕事にも繋がっていくことに。

「今『BlackEyePatch』っていうブランドをやっている友達とデザイン事務所みたいなものを立ち上げて、友人知人から色々とイラストやデザインの案件をもらいながら勉強していました。そこから数珠繋ぎ的次の仕事へと繋がるようになって。彼らとは今もたまに一緒に仕事しますね」


また、上岡は水彩から油絵、木炭画、CGグラフィックまで、幅広い作品を手がけている。こういったスキルの習得について、彼はこう語る。

「学校で習ったというよりは、結構独学の部分が多いですね。友達同士でデザイン事務所をやっていた時に、一緒に勉強していましたね。基本的に全部好きだし、ベースの部分では共通する部分があると思うので」

先述の通りヒップホップを中心としたミュージシャンの作品も多数手がけているが、それも基本的には人を介しての、自然な出会いが多いという。知人を介して仲良くなり、友達、もしくは後輩のような感覚で接するからこそ、密なコミュニケーションを経てのクオリティの高い作品が完成するのだろう。

「若いミュージシャンたちから、直接『こういう作品にしたくて』みたいな感じで相談を受けることも多くて。やっぱり、そういうのは嬉しいですよね。その期待に応えられるように、スキルを磨き続けているっていう部分もあると思います」


手法も様々、手がける作品、媒体も多用な上岡。自身のアイディアの源流については、冷静にこう分析する。

「自然とアイディアが降ってくる、みたいなアーティスティックな感じではなく、自分の場合はもっと合理的な考え方なのかもしれません。例えば何か絵を見た時に、『このテイストはどうやって出すんだろう』みたいなところから始まったり。『この手法でこういう絵を描いたらどうなるんだろう』とか、ある意味デザインにも近いですね」

マイペースながらも軸のブレない姿勢が会話の隅々からも感じられる彼に、最後に今後の展望を訊いてみた。

「海外でもっとやりたいですね。生意気かもしれないですけど、やっぱりアートに関しては欧米の方がレベルが高いと感じていて。そういうところで勝負できたらいいなって思います。ミュージシャンでも、海外のアーティストの作品とかを手がけられたらいいなって思います。村上隆さんとか、カニエ・ウェストの作品を手がけているじゃないですか。日本人なのに、世界のトップ・アーティストの作品を手がけているっていう事自体がヤバいですよね」

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