2017.11.03 update

【インタビュー】<hide k 1896/ヒデケイ1896>春日秀之|無限の可能性を秘めたカーボン素材で新しい価値を創造──ブランド初のバッグコレクションが登場

昨年春に大きな話題となった<LEXUS/レクサス×hide k 1896/ヒデケイ1896>のコラボレーションランドセルを覚えている人も多いはず。その素材は、<hide k 1896/ヒデ ケイ 1896>の財布や名刺入れに使われているソフトカーボンであることはご存じだろうか。<ヒデケイ1896>代表の春日秀之さんは、事業家、プロデューサ―、そして現役の研究者という多彩な顔を持ち、財界からアートの世界と幅広く活躍中。11月1日(水)からは、メンズ館1階=メンズアクセサリーにて、<ヒデケイ1896>では初となるバッグシリーズが国内先行で登場する。

イベント情報

<ヒデケイ1896>プロモーション

□11月1日(水)~14日(火)
□メンズ館1階=メンズアクセサリー



パリ時代から、カーボンで何かを作りたいと思っていた

 

「カーボンはさまざまな分野に転用できる魅力的な素材です。<ヒデケイ1896>では素材の素晴らしい特性を実際に手にとって感じていただけるスモールレザーコレクションを充実させてきましたが、今回初めてバッグを作りました」と春日さん。春日さんは、1973年長野県生まれ。東京工業大学大学院修士課程を修了後、大手複合材メーカーで素材開発を担当し、パリに4年間の駐在を経験した。

――パリでは主にどんな業務に就かれていたのですか。

F1やスーパーカーのブレーキにはカーボンが使われています。パリの研究所では、有名自動車ブランドのカーボンを使ったブレーキの開発に携わっていて、ドイツのニュルブルクリンクでの走行テストなどにも参加していました。完成したファンデーションブレーキは「カスガブレーキ」と呼ばれて、実際に有名自動車ブランドのさまざまなシリーズに搭載されました。


――素材から開発するエンジニアだったのですね。

ご存知のようにカーボンの元は炭で、熱を帯びても燃えないのでブレーキなどに適した素材です。「熱に強く、軽く、硬い」という特性があり、航空機やゴルフクラブのシャフト、自動車などに使われていて、面白い素材だなと思っていました。と同時に、フランスでの生活やポルシェを通じてヨーロッパのラグジュアリーコンシューマーと多く出会い、彼らのスタイルを観察して、いわゆる富裕層も使えるモノをカーボンで作りたいと思ったのです。



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長年続いた家業を活用して、いち早く事業化

 

――それで日本に戻ってきてブランド化を考えたのですか。

私の実家は、1896年に長野市で創業し、長年の素材開発・製造の歴史を持つ「NiKKi Fron」で、私は直系の4代目になります。創業時は麻問屋「春日商店」で、三越とも取引があった素材卸でした。そこからさまざまな時代の変遷を経て製造業にシフトし、ガラスのGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を主事業としていました。

――いわゆる高付加価値製品を手がけている会社ですね。

素材開発メーカーとして市場をリードしてきた会社ですが、自分が後を継ぐときには、「家業の歴史や技術を活用し新規市場の創出をしたい」と思っていました。パリでカーボンと出会ってその可能性に魅入られて、2009年にNiKKi Fronを継ぎ、CFRP(炭素繊維強化 プラスチック)を事業化しました。

――カーボンをどのように製品化しようと考えたのですか。

あまり知られていませんが、日本はカーボンファイバーの最大の生産国で、世界の7~8割を作っています。カーボンは、硬くして構造材などに使う工業製品のイメージがありますが、カーボンファイバーを織り上げたテキスタイルは、しなやかで上品なツヤがあるので、私たちの肌に触れて、触覚に訴える“感性素材”に仕上げようと思いました。長野の工場施設と、職人の能力や技術を活かしながら、皮革のように縫製が可能なソフトカーボン開発に取り組み、レシピは私が考案しました。