佐々木 慧(ささき さとし)
アメリカ生まれ。武蔵野美術大学卒。仏のフィリップ・サジェ(Philip Sajet)に師事。デザイン・制作のキャリアを積み、独立。原石を自身でカットすることで、造形の可能性を広げている。

ジュエリーにはすでにライフが内包しています


――佐々木さんは、師事したフィリップ・サジェ氏からどんなことを学びましたか。


フィリップはもともと好きな作家で、日本では知られていませんが、有名なアーティストです。彼の創るコンテンポラリー・ジュエリーは彫刻に近くて、身につけられるぎりぎりの範囲で、彫刻でありジュエリーでもあります。アポなしで、彼のドイツの家まで行って「好きなんです。よければ修行させてください」と頼んだらOKをもらえて、半年後にフランスのアトリエに行きました。
フィリップからはものづくりというより、彼の人生を教えてもらいました。半分哲学者のような人で、哲学的な彼の人生論から生まれたジュエリーを学んで、かなり影響を受けましたね。彼の作品は原石など生の自然物を多く使っていますが、僕もそういう素材をよく使っています。フィリップと出会って、自分の人生を一から考えるようになりました。


―今回のテーマ「JEWELRY & LIFE」をどう捉えましたか?

僕のイメージでは、ジュエリーにはすでにライフがあるもの、内包しているものです。僕が思うジュエリーを創ればテーマに合うんじゃないかなと取り組みました。ジュエリーにはハイジュエリーからコンテンポラリー・ジュエリーまでありますが、いずれも人の人生に沿ってあるものなので、良いタイトルだなと思いました。

――クリエーションで一番大事にしているものは?

全部人工物ではなく、一部に人の手に負えない石の模様やカタチ、木の曲がり方などを必ず取り入れて、すべてが人の手でアンダーコントロールされているものではないようにしています。自分が手にして愛でることができる自然物を尊重しています。


――メンズ館のお客さまに何を見て感じてほしいですか?

「JEWELRY & LIFE」というテーマがあって新作を創っていくうちに、自分のアート的な作品とコマーシャルなものとの“中間=真ん中”である「コンセプトが入っていて、身につけられる」ものが見つかりました。出来映えはとても良いと思っています。今後は、ブランドが忙しくなってきていますが、アーティストとしての展開への参加も視野に入れて、どちらも本気でやっていこうと思っています。

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