Sustainable Future──22世紀を見据えたモノづくり【The Gentlemens Makers|2017 Summer】

メンズ館がつくり手とともに考える、未来のための連載。 2回目となる今回は、ジャパンブランドの雄、マーカウェアを取り上げる。 ファッショナブルかつサステイナブルな製作の裏側に迫る。


石川俊介(いしかわ しゅんすけ)
マーカウェア デザイナー。1969年生まれ、兵庫県出身。 2002年に産声を上げたマーカに続き、2009年春夏シー ズンに、より洗練されたハイエンドガーメントを提案するマー カウェアを発表。
メイド イン ジャパンにこだわり、素材選 びから縫製、加工に至るまで、洋服づくりにおける工程の ほとんどを日本国内で行っている。

「モノづくりを農業から見つめ直す」


 2009年に産声を上げた、マーカウェア。その服は、着る者を選ばない普遍性をもちながら、時代を確かに感 じさせるマスキュリニティを兼ね備える。デザイン、素材、 縫製と、どこをとっても海外のハイブランドに引けを とらないクオリティで、ジャパンブランドの雄と形容す べき存在だ。デザイナーの石川俊介がここ数年力を入 れて取り組んでいるのが、サステイナブルな素材の追求 と、ブランドのトレーサビリティ化である。

「まず、工場ありき。メイドインジャパンにこだわるのも、 日本にはすぐれた工場と職人さんがいるから。工場の 集合体、それがマーカウェアなんです。そこで昨年から 値札とは別に“トレーサビリティ下げ札”を付けています。 ひとつの服が内包している物語は語り尽くせません。 その物語の片りんだけでも知ってもらえればと、たずさわっていただいた工場の名前を公表しています。お 客さまの安心安全を考えた結果、服の裏にある情緒的 な情報を伝えることにもつながりました」


オーガニックコットンを使用したカバーオール(左)は、繊細に表現されたビンテージ加工やリアルなボタンなど、細部まで技の細かさを堪能できる。

また、袖を通すと柔らかい生地でシルエットの落ち感を楽しめるシンプルなポケットT(中)は、微光沢が美しく、それだけで装いの主役に。

和紙100%のニットカーディガン(右)は、メッシュ地のよ うにざっくりと編んであり、清涼感たっぷりに着こなせる。ガウンのように着こなしたい。

左/デニムジャケット 51,840円
中/Tシャツ 17,280円
右/カーディガン 31,320円

コットンとウールは、すべてオーガニックに切り替えられた。さらに今季は、ヘンプが加わった。ヘンプは一年草で、大げさな森林伐採などとは無縁だ。これらは 環境にはやさしい原料であるが、珍しい素材であるため、 製品化には手間がかかる。 「生地を織る際、縦糸の張り具合が重要なのですが、 紙は引っ張りすぎると切れてしまうんです。そこで古 いシャトル織機を持っている、静岡県の機屋さんにお 願いしました。手作業による微妙な調整を行うことで、 和紙による生地をつくることができたんです」



衿を外してノーカラーにもできる2WAY仕様のカ ジュアルシャツ(左)。手の込んだ紡績により、ヘンプ というよりもリネンに近いような柔和な表情に。

また、上のデニムジャケットと対になるパンツ(右)は、タック入りのバギーシルエットにトレンドを強く感じる 一着。袴を思わせるプリーツの寄せ方が特徴だ。

左/シャツ25,920円
右/デニムパンツ38,880円


できあがった生地は、通気性に優れていながらもト ロッとした光沢をもっていて、独特な美しさをたたえ ている。物語込みでその魅力を伝えることで、見た目 のかっこよさ以上のものを提供できるのだ。 「服づくりの原点は農業です。例えば食の世界では、 農薬を減らして、土壌に負荷をかけないような取り組 みがなされています。綿花の栽培はそうはいきません。 “衣”の世界は、サステイナブルという観点では後塵を拝 する存在です。一朝一夕にして変わるものではありま せんが、お客さまも含めて理解度が深まっていけば、“衣” の世界も豊かな未来に貢献できるのかなと。先は長い ですが、今後も地道な改良を続けていきます」

<マーカウェア>
□5月15日(月)~23日(火)
□メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル 

*価格はすべて、税込です。

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