セッテフィーリとは「7本の糸」という意味である。ブランド名は、ミケーレ自身が名付けたものだ。なぜ「7」という数字をブランド名に冠したのか? 意外な答えが返ってきた。

「7は私のラッキーナンバーです。7月27日生まれで、昔から7にまつわる事柄は非常にいいことが起きるものですから。一週間は7日ですし、聖書でも7は重要な数字です。そんなミステリアスな7という数字をブランド名に入れることで、不思議な力が湧いてくると思ったのです。ブランドをはじめたときの従業員も7名でスタートしたんです」。


<セッテフィーリ・カシミヤ>のブランド名は立ち上がりからそのクオリティの高さに注目が集まり、その名は一気に知れ渡った。ミラノはもちろん、伊勢丹新宿店メンズ館をはじめ世界中の良質なショップでも展開される。品質よりもブランド名が先立つことが多々あるファッション業界では異例のことだ。「縁起をかつぐのはイタリア人も、日本人も同じでしょう(笑)」と言うが、ミケーレのように一代で確かなブランディングを確立したイタリア人経営者はレアケースだ。

「日本人はブランドと言う視点ではなく、品質という視点でものを見る目を持っていると思います。日本人は本質を見極める目を持っているからでしょう、イタリアのファッションを取り入れるのも、どこの国や地域の人よりも上手です。イタリアでは服を仕立てるサルトリア文化は急激に衰退していますが、日本ではむしろパーソナルなオーダーが人気だと聞きます。腕のいい職人が大切にされるのは、本物を見る目を持っているから。昔のイタリアのようで、とても嬉しく思います」。


イタリア男のファッションスナップでも常連のミケーレだが、熱血漢で根性主義で、しかも一歩退く姿勢にはイタリア人らしからぬところがある。海外経験が豊富なのかといえばそうでもないらしく、16歳までは生まれ故郷のボローニャで過ごし、高校時代に一ヶ月ほどイギリスに留学経験があるだけだという。相手に敬意を払った物の言い方は「俺が、俺が!」と押し出しの強いイタリア人と多く接してきた筆者には異例でさえある。日本のエージェント曰く、ミケーレはイタリア人より日本人の感覚に近いとも。経営者でありながら、工場やオフィスの掃除を誰よりもすすんで行うのだそうだ。

「イタリア人は夏場1ヶ月のバカンスをとりますが、私たちは8月に1週間の夏休みをとるだけです。情熱が仕事を呼んでくるのでしょう」。こういうところも日本人っぽい。

日本と取引を始め、来日が数を重ねるようになってから、ミケーレは変わったという。「サッカーよりもテニスと野球が好きになりました。それにワインよりビールが好きになりました。つまみはアタリメ。帰国するときスーツケースには、アタリメを買い込んでいきます(笑)」。

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<セッテフィーリ カシミヤ>パターンオーダー会
□10月11日(水)~17日(火)
*10月14日(土)・15日(日)は、オーナーのミケーレ・パリエーロ氏が来店(11時~18時)
□メンズ館5階=ビジネス クロージング
■価格:ニットジレ 54,000円から、ローゲージタートルネックセーター 113,400円、ローゲージショールカーディガン 183600円、ハイゲージ クルーネックセーター 73,440円、ハイゲージ Vネックセーター 73,440円、ハイゲージ タートルネック 75,600円、セーターハイゲージカーディガン 86,400円、ストール 48,600円
■お渡し:約2か月半後
*都合により、来店予定が中止または変更になる場合がございます。時間帯により不在の場合がございます。予めご了承ください。

*価格はすべて、税込です。

Text:Takegawa Kei
Photo:Ozawa Tatsuya

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03-3352-1111(大代表)