ミニマリズムともとれる意匠にストイックなイメージがつきまとうが、原点は80年代、<COMME des GARCONS/コム デ ギャルソン>、<Y’s/ワイズ>にあった。その後、岡庭はロンドンのユースカルチャーに傾倒する。 音楽はパンクロック、ニューウェーブ。そしてヴィヴィアン・ウエストウッドが手掛ける<WORLDS END/ワールズエンド>に出会うと、手にとると想像もしなかった“違和感”さえ感じるクリエーションに心酔した。

いま岡庭が<The Viridi-anne/ザ ヴィリディアン>のデザインに求めているのは、この空気感だという。


「一番大切にしたいことは服を着た時の雰囲気。焼き直しではないオリジナルのギミックを取り入れながら、どこかに“違和感”を感じさせる。当たり前ではないシルエット、当たり前ではないバランス。普通に見えるけど、普通ではないものを創りだしたいのです」。

そして「でも、そこを強くアピールする気は毛頭ない」とも続ける。

「僕の服はモードでも、クラシカルなイメージに属するのだと思います。ノスタルジックなクラシックモードでありたいけれどもカテゴライズはしたくないし、されたくないです。ジャンルを分けてモノを見るのは、洋服に限らず得意ではないので。何事からも自由でありたいと思っています」


テーマやコンセプトに縛られず開放された結果、コレクションは余計なものを削ぎ落とした岡庭の核心を突くものとなった。モノトーンに集約することで、気まぐれや思いつきの差し色は必要ない。どれも心地良い緊張感を保っているが、自由なコーディネートを可能にする余地を備えている。一点でも、トータルでも、如何様にも。

いま彼は自身の感情に素直に向き合えているに違いない。

「毎年パリで展示会を開いていますが、当初はコンプレックスを感じるぐらい海外志向が強かったんです。日本の服も建物も自動車も、ルックスも気に入らなくて、雑誌もテレビもメディアは一切見なかった。最近になって、日本人の奥ゆかしさの中にある、静かで強いものに惹かれます。ようやく日本にも格好いいものがあると思えるようになってきたんです」

 

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