2015.11.04 update

ヒップな新宿クルージング VOL.3|東京カルチャーを切り取るイギリス出身のダン、“新宿パラレルワールド”を風景散歩

さまざまなシーン・カルチャーが交錯する街・新宿を、ヒップな遊び方を知る外国人たちがナビゲートするシリーズ。3回目は、フォトグラファー、ブロガーとして東京ファッションシーンのトレンドを発信するイギリス出身のダンが登場。街の風景をあてもなく歩いて楽しむという新鮮な展開に!



イギリス出身のフォトグラファー、ダン・ベイリー。東京を拠点にハイファッションとストリートファッションの架け橋となるさまざまなトレンドを発信するメディア「tokyodandy.com(トウキョウダンディ)」を手がけ、シーンの目利きとして知られる。幼い頃から東京に憧れていたという彼の初来日は2000年代初頭、とにかく衝撃的だったという。「イギリスと日本はあらゆる面で似ていると思っていた。実際来てみてもちろん似ているところは多くあったけど、それ以上に世界中のどこにも無いユニークな文化にとても感銘を受けたね」。そんな彼がすすめる新宿の楽しみ方は、アートで近代的なビジネス街からネオンの歓楽街まで、あてもなく歩く“風景散歩”。「パラレルワールドを入り込んだ気分になる」という新宿の風景を、彼自身が撮影した写真とともに紹介する。

 

■プロフィール

イギリス出身のフォトグラファー。2008年、スタイリストとして活動するジョーとともにハイファッションとストリートファッションの架け橋となるさまざまなトレンドを発信するメディア「tokyodandy.com(トウキョウダンディ)」(http://www.tokyodandy.com)をスタート。WWD ジャパンが選ぶ「2010 年の注目の業界人 14 人」に選出。2006年に設立されたイギリス媒体「ビジネス・オブ・ファッション(BoF)」の「2014年度 世界のファッション業界を形成する人たち」の500人に選出。
https://instagram.com/tokyodandy/

 




━━━ 新宿アイランドを待ち合わせ場所に選ばれましたが、ダンさんはこの場所にどんな思い出があるのでしょう?

 

ボクが大好きな場所なんだ。ロバート・インディアナの彫刻作品「LOVE」のモニュメントが一番良く知られているけど、実はこの周りにはたくさんのアート作品がある。オープンエアミュージアムみたいな感じだね。なかでもお気に入りは、ロイ・リキテンスタインの作品。2つの抽象作品が対になって並ぶこのオブジェは、ロイ・リキテンスタインが生前最後に残したパブリックアートなんだ。





━━━ 普段からカメラを持ち歩いて風景写真を撮られているとのことですが、新宿の特徴はどんなところだと思われますか?

 

ありとあらゆる文化や人種入り乱れ、昼も夜も交錯する街。いい意味でカオスを体現しているといえるんじゃないかな。

 



━━━ 旅行で東京に来たのは学生旅行だったと聞きました。

 

大学を卒業して、どこかに旅行に行きたかった。イギリスで生まれ育った僕にとって、日本はいつもどこか親近感の湧く国であり、また同時にどこかつかみどころのない異国の地だった。そして初めて見た新宿の摩天楼。とにかく衝撃だったね。始めはただの旅行だったんだけど、いつしかこの混沌とした風景に魅了されていったんだ。それにアジアの中でこれほどまでに先進国で、なおかつ衛生面、治安面で安全が保障されている国は他にない。だからこそ、この国の景色をもっと見たいと思った。それが13年前の話だね。






━━━ 初めて見た新宿のビジネス街、それ以外に印象に残っている思い出はありますか?

 

日本に住み始めた時、新宿にある会社で仕事をしていたから何年か住んでいたことがある。その時は、まさにビジネス街のすぐそばで毎日過ごしていたよ。今でも印象に残っているのは、超高層ビルの最上階から見た景色だね。普段なかなか入る機会のない最上階に偶然足を踏み入れる機会があったんだけど、一面ガラス張りのフロアから都内を一望した時には、その近代的な景観にただただ圧倒された。でも僕が強く惹かれるのは、実は地上からの景色なんだ。さっきの新宿アイランドからアルタ前、歌舞伎町、ゴールデン街、新宿二丁目までのコースをあてもなく彷徨っていると、まるでパラレルワールドに入り込んでしまったような気分に陥る。






━━━ 今でも新宿には遊びに来られるのでしょうか?

 

最近はもっぱら都内の他のエリアで遊ぶことが多くなったけど、たまに新宿に来ると未だに新鮮に感じるね。酉の市の時期の花園神社周りは特に好き。

 

━━━ 今回の取材で歌舞伎町のあたりに着いた頃には、すでに日が沈んで暗くなっていましたが、夜の新宿の魅力とはどんなところでしょう?

 

ありとあらゆる文化や人種が入り乱れる新宿の街では、昼と夜でさえミックスされてしまう。歌舞伎町なんて一番象徴的だろ? 日中のショッピングエリアのような混雑した活気が、まるでそのまま夜にシフトしたみたいな。歌舞伎町から二丁目に続くエリアは、とにかくエネルギッシュ。妖しいホストクラブやキャバクラの看板、その隣に佇む古いバッティングセンター、唐突に現れる観光客向けのけばけばしい商業施設、とにかくなんでもありのこの街では、花屋でさえネオンが煌々と照らされている。

 

━━━ この辺りには友達ともよく遊びに来るとおっしゃっていましたね

 

僕が東京に遊びに来たばかりの頃はまだアンダーグラウンドカルチャーやナイトクラブシーンが盛り上がっていた時期。今では考えられないけど、当時は毎晩どこかでパーティーが開催されていて、過激な服装のファッションキッズたちが遊び回っていた。いつだったか、風林会館で僕の友達がホストクラブを真似したパーティーを開催した時なんかは本当にクレイジーだったね。






━━━ 最近ではそういったパーティーシーンも少なくなってきましたが、今新宿で遊ぶとしたらどんなところに行きますか?

 

今は綺麗な大型商業施設が建設されて、かつてのアンダーグラウンドな匂いが薄れたけど、僕ならその影に佇む昔からあるゲームセンターで、友達と一晩中遊んでいたいかな。






今回遊んだスポット

新宿の街全体

 


ダンさんの新宿遊びの持ち物

 「バッグは大のお気に入りのY-3のもの。サングラスはいつも壊しちゃうから、渋谷のスペイン坂で買った安いものを使っている。尊敬するアーティストのジェフ・クーンズのノートとペンは、昨年パリで開催された回顧展で買ったもの。必要なものだけ最小限持ち歩いて、気になる景色があったらすぐに写真を撮るのが普段のスタイル」

・使い捨てカメラ :FUJIFILM

・サングラス

・ヘッドホン:ビーツ バイ ドクタードレ

・フェイスクリーム:NARSskin

・財布:ジバンシィ

・香水:イッセイミヤケ

・ペンダント:アンブッシュ


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