2026.02.13 update

糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2

糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
2日目は、今回お取組をご一緒させて頂く、オカザキニット社長の岡崎さんアテンドのもと、<V:room/ヴィルーム>のディレクター山崎さんにご同行頂き、前半は糸づくりと染色の“発端”を川上から学びます。山崎さんとは過去にも伊勢丹メンズのPB(プライベートブランド)でご協力いただいた経験があり、今回は工程を一緒に確認しながら、生地づくりの知識を深めていきます。
 

ISETAN MEN'S Buyer’s blog

伊勢丹新宿店メンズ館のバイヤーによる「ISETAN MEN'S Buyer’s blog」は、商品の企画から店頭に並ぶまでの裏側を、バイヤー自身の言葉で伝える連載企画。普段は見えにくいものづくりの現場をブログ形式で発信していきます。

 

狙いは、スウェット企画の前提を自分の目で確かめること。出発点はシンプルで、「とにかく着心地を極めた無二のスウェット」を作りたい。目指すのは、軽く柔らかく、ユニセックスで心地よい一枚。日常にもリゾートにも馴染む“ふっくら・しっとり”とした肌触りです。ドライでがっちりとした生地感に振らず、店頭で多い「着心地の良いものが欲しい」という声にこたえるため、生地設計で正面から応えます。


大正紡績—糸の“格”と管理の実像

午前中に大正紡績さんを訪問しました。


糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2

倉庫には良質な綿が整理され、オーガニックを含む複数グレードが丁寧に扱われています。糸は“ただの材料”ではなく、前工程の積み重ねで価値がはっきりする――そのことを、具体的な手順と管理の方法で理解できました。工程ごとに価値の付け方が明確で、選ぶ理由を自分の言葉で説明できる手がかりが増えます。


糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
敷地内には、貴重なリング精紡機「石川台(1953年製造)」が保存・稼働しており、歴史を背負う機械の存在感に、技術の継承が“今の品質”を支えていることを実感しました。糸の選定が最終的な肌触りにどう響くのか、企画に直結するヒントをいくつも持ち帰れました。


糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2

豊染工—人の手で温度の揺れを抑える、色づけの段取り

次に訪れたのは、染色工場の豊染工さんです。

見学をしながら、環境の説明を聞きました。
「色が変わらないよう、冷暖房は入れません。夏は灼熱、冬は極寒の中で作業しています。」と専務の田中さん。
「生地の浸漬、引き上げ、洗い」といった一連の工程を人の手で進めることで温度や湿度のブレを抑え品質が保たれているのだと実感しました。

また、若い担い手が多いのも印象的で、早朝開始・午後早めの終業という働き方が根づいている様子が見えました。なかなかメディアに出ることが少ない川上の仕事ですが、ここに人が集まるのは、誇りがあるからだと感じました。

糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
糸のはじまりを確かめる——大正紡績と染色現場で受け取った“川上の学び”。奈良~和歌山レポート2日目|ISETAN MEN'S Buyer’s blog 木村 円香 vol.2
糸の格、工程の温度管理、手作業の精度。どれも最終的な肌触りに直結する要素です。
「着心地を極めた無二のスウェット」を作るため、ここで学んだ川上の手がかりを、次に伺うオカザキニットさんとの生地の選定と設計に結び付けていきます。

プロフィール
木村 円香(きむら まどか)
伊勢丹新宿店 メンズ館 地下1階 肌着・靴下・ナイティ バイヤー
ラグジュアリーのアシスタントを経て、バイヤー歴4年。コスメティクス、肌着を担当する中で、外面だけでなく“内面の充実”にも目を向け、心地よいルームウェアや香りでリラックスする時間を大切にしている。

  

 
Photograph&Text:Madoka Kimura

*本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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