2025.06.30 update

【ルック】<サンローラン>が2026年メンズ夏コレクションをパリの現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」で発表

<サンローラン>(SAINT LAURENT)は、アンソニー・ヴァカレロによる2026年メンズ夏コレクションをパリの現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」で発表しました。

 

<サンローラン>|2026年春夏ルック画像を見る

 

Courtesy of SAINT LAURENT


クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロが今季イメージしたのは、パリとファイアー・アイランドの間に広がる、逃避とエレガンスが溶け合った世界。過ぎ去った時代や秘められた感情に表情を与えたスタントン、アンガス、エリスらアーティストへのオマージュが込められています。


Courtesy of SAINT LAURENT


さらに、1974年に新たな創作の道を選んだイヴ・サンローラン自身への敬意もコレクションに織り込まれています。その頃の「欲望がスタイルとなり、美が空虚さから身を守る盾だった時代」の空気感を取り戻し、繊細なセンシュアリティ(官能性)を現代に再びよみがえらせています。


Courtesy of SAINT LAURENT


今回のコレクションは、自己をさらけ出すと同時に、さりげなく隠す――その儚い一瞬に宿る美しさを追求しました。「あいまいさこそがエレガンス」という哲学にふさわしく、照明にはきらびやかさではなく、明るい午後の自然な光が選ばれています。


Courtesy of SAINT LAURENT


ショー会場には、セレスト・ブルシエ=ムジェノによるインスタレーション「clinamen」が設置され、円形の水盤に漂う磁器のボウルが水面に無作為な軌跡を描きます。その静かで自然なリズムに呼応するように、コレクションは誇張を排した彫刻的なフォルムで展開されました。


Courtesy of SAINT LAURENT


シルエットは、体に張り付くのではなく、まるで宙に浮かぶかのように軽やか。ウエストはきゅっと絞られ、肩は広く構えられていて、シルクやナイロンなどの素材が身体を自然に包み込みます。色使いはサンド、ソルト、ペールオークル、ドライモス、プールブルーといった控えめな色調が中心。どのピースも過剰に主張することなく、ただそこに存在する静謐な美を感じさせます。


Courtesy of SAINT LAURENT


ショートパンツは、若き日のイヴが身につけていたものを思わせますが、単なるリファレンスではなく、あたかもその記憶が今季自然に戻ってきたかのような感覚です。


Courtesy of SAINT LAURENT


1974年、イヴ・サンローランが一歩身を引いていたその頃から半世紀以上。2026年もなお、<サンローラン>はその美意識を受け継ぎ、さらなる未来へと静かに歩みを進めています。


Courtesy of SAINT LAURENT

 

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