ニューヨークの街に息づく、日常の自然な表情が垣間見える作品

木製の額は父・大杉漣さんと一緒に手作りで30個ほど作り上げたそう。その後も隼平さんが同じ製法で作り、現在はトータル約70ほどあるという。

――今回の展示のオファーが来た時の率直な感想を教えてください。

「嬉しかったです。やってみたいなって思いましたし、作品は写真展で見てもらうことが一番だと思っているので。あと、展示は毎年どこかでやらせていただく機会はありますが、伊勢丹新宿店メンズ館さんでできるということは、新たな人たちに見てもらえるのでありがたいです」。

――展示される作品はいつどこで撮られたものですか?

「今年の2月にニューヨークで撮ったものが中心になっています。海外と言うと、今まではヨーロッパに行く機会が多かったのですが、お仕事でニューヨークに行くことがあって、その時に面白い街だなと改めて思いました。滞在中ほとんど雨だったのですが、生憎とも思わず、その場ではその時間が流れているわけで。ニューヨークは水はけが悪いので街に水たまりがたくさんできてたりして、“そこで撮りたいもの”を写しました」


――ただ極寒のシーズンでしかも大雨の中での撮影は、かなり困難を極めたという。

「撮影の時は基本的に、道ばたに寝っ転がりながらシャッターチャンスをじっと待っているので自分自身が雨でずぶ濡れですし、すごく寒いんです(笑)。雨の日は人が少ないですし、しかも撮るにしても、単に歩いている人でいいというわけではないので。匍匐(ほふく)前進みたいな感じでカメラだけ濡れないように傘をさして待機しているっていう。はたから見たら変な人ですよね(笑)。ただこの時はブラジル人のカメラマンとの素敵な出会いがあったりして、ニューヨークの街中で寝っ転がっていてもいい事があるんだなって(笑)」

――また屋内での撮影もひと苦労だったそうで……。


「これはグランドセントラル線の駅なのですが、早朝にそこを歩いている人を前日に見かけて、どうしても撮りたくなったんです。朝しか歩いていないので、早朝5時くらいからずっと待ちました。でも、なかなか歩かないんですよね、駅の窓なので。ようやく通りがかったところを、反対側から撮りました。全然通りがからなかったので、途中で気持ちが折れそうになりました(笑)」

――伊勢丹新宿店メンズ館には、世界中から色んな人が来館する。

「今回外国の方がどれくらいくるかというと、正直どうかなって思う部分もありますが、ただ僕が思うのは、行ったことのない場所に行くって、どんな目的でもいいと思うんですよ。例えば「ここって、こういう場所なんだ」って知ることとか。そういう意味で言うと写真展のために来てくださる方の中には、普段は伊勢丹新宿店メンズ館に行かない人もたくさんいると思いますし、女性の方であれば足を踏み入れたことがないという人もいるはずですし。そういう人が、その場所を知るっていうことが大事な気がするんです。新規で来る人たちが少しでも増えていくっていうことが大事だと思うので、それは日本人、外国人を問わず、できることなら多くの人に知ってもらいたいと思います」

――今回の展示を通じて伝えたいこととは。


「人によって感じ方は様々だと思いますので、何かを感じていただければそれで十分ですし、何も感じなくてもいいです。今回の展示ではできませんが、普段の展示では必ず会期中は在廊するようにしているんです。来てくれた方にお礼を伝えたいということと、もう半分は自分の作品をどう見ているのかを知りたいのです。何も感じなかったという感想でも次のモチベーションになっていくので」

イベント情報
大杉隼平 個展「scenes in mind」
4月1月(水)~5月1日(金)

メンズ館2階=メンズクリエーターズ/アートアップ

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Text:Kei Osawa
Photo:TAGAWA YUTARO(CEKAI)


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