ファッションに興味を持ったきっかけは「ジョン・レノン」との出会い


柴田 ところで、中武さんは幼少の頃からファッションに興味があったのですか?

中武 生まれは宮崎で、丸刈りで野球部に所属し、街も小さいし、服に興味が湧くようなきっかけもなかったのですが、古いモノは好きでした。

柴田 子どもなのに古いモノが好きだなんて、なんだか早熟…。

中武 父親はテレビを見る権利を独占するような典型的な九州男児で、大人向けの映画や時代劇を一緒に見ているうちに古い映画が好きになりました。ファッションに関しては、父はほぼ一年中同じような格好をしていましたが、ベージュのスイングトップを着ているのを見て「カッコいいな」と思っていました。それが自分の中にある一番古い記憶ですね。



柴田 親父の後ろ姿的なカッコ良さですね。それはすごく分かります。

中武 小学生の頃、なんとなく聴いたラジオのビートルズ特集で、紹介される曲全てが「あのCMの曲だ!」みたいな感じで驚きました。何となく好きだった“英語の曲”が、あらかたビートルズのものだったという衝撃…。自分は76年生まれなので当然後追いなのですが、完全にノックアウトされてファンになりました。
当時ホームセンターに売っていた廉価版CDで全てのアルバムを揃え、解散後のソロ曲も聴きまくりました。メンバーでは、不良っぽくて皮肉屋なジョン・レノンに惹かれ、彼に関する本や詩集などを読み漁りましたね。
今回の『IMAGINE』はその内の一冊で、彼の人生を追う上で最もわかり易い本だと思います。

柴田 なるほど!そんな中武さんがこの本から最も影響を受けているのはどの部分ですか?

中武 ジョン・レノンがページをめくる度に違う格好をしているんですね。テディボーイ的な格好から、売れ出した頃のスーツ、サイケデリックなヒッピースタイル、ロン毛にヒゲなど、彼が変わっていく姿に関心があって、それが彼の音楽とリンクしているのが面白い。

柴田 ジョン・レノンのファッションにも惹かれたんですね。



中武 特に真似しようと思ったわけではないですが、それがカッコよさの基準になったんでしょうね。丸メガネから始まり、アビイロードの白いパンタロン、NYコンサートでのワッペンのついたミリタリーシャツ、ラングラーのジージャンとか、街中の古着屋を廻って似たモノを探しました。
また、同じ所に留まらないジョンの革新性への信仰を、とても表面的なやり方で表明しようとしていたので、「会う度に違う格好してるよね」なんて友達に不思議がられたりしていましたね。
ちなみに柴田さんのビートルズ体験は?

柴田 僕のビートルズ体験は割と遅くて、更にはコスプレなんですよ。大学の時にモッズが流行って、ロンドンを意識したりしました。
でも、イギリスに行ったとき、アビーロードで写真はバッチリ撮りました(笑)。

中武 それはもう絶対撮りますよね(笑)