2018.10.17 update

【インタビュー】<リヴォラ>ブランドマネージャー 粟生田 弓|素材がデザインと出合うとき、<リヴォラ>らしいニットが生まれる

商品作りの醍醐味や楽しさを尋ねると、「形になって、それがお客さまの手に渡った瞬間のうれしさですね」と答えるのは、ニットブランド<RIVORA/リヴォラ>の粟生田(あおた)弓さん。<リヴォラ>は、デザイナーで代表の鈴木泰宏氏と、ブランドマネージャーの粟生田さんが二人三脚で育んできたブランドだ。



「このニット以外着られなくなる」と言わしめる定番ニット


粟生田さんが着ているニットは、<リヴォラ>が定番にしているカシミヤ・シルク・モヘア混のクルーネックで、ブランドとして初めてこの糸を使った4年前のファーストシーズンのもの。
着心地を訊くと、「4年間毎年着ていますが、見た目にはフワフワとした毛足があって、軽くて温かくて最高ですよ。寒くなるとついつい手が伸びてしまうんです」と満面の笑み。購入したお客さまからは、「このニット以外着られなくなるね」という声も聞こえてくる。
さらに、今季この素材を使ったタートルネックが、三越伊勢丹別注として登場する。


タートルニット 86,400円
*三越伊勢丹別注

ニットの魅力を「カインドリーで、ストレスなく着こなせる」から好きという粟生田さん。
「ニットはインナー使いのアイテムなので、<リヴォラ>ではなるべく軽く、柔らかく、保温性がありながら通気性が良いなど、天然繊維のメリットを活かして作っています」と説明。素材感の良さは見た目にも直結している。
 

着こなしのバランスの中で考える<リヴォラ>のニット


ブランド名の<リヴォラ>は“river・rio(ポルトガル語)・kawaの3つの川”から発想した造語。「川が川上から川下まで流れていくのは、素材からデザインをおこして、工場さんと試行錯誤し形になる。それがお客さまの手に渡っていくという流れの中でモノが変化していく様にも似ています。また川の周りには文化も生まれます。ですので、お客さまがどういうシーンで着るかということを考えてデザインすることが大切だと思っています。」


ニット 59,400円


ニットカーディガン 45,360円


<リヴォラ>は、ブランドスタート当時はスーツや布帛(ふはく)アイテムも展開するメンズのトータルブランドだったが、もの作りを進めていくうちに、「ニットやニットカットソーが良いね」と高い評価を受け、ニットブランドとして徐々にシフトしてきた経緯を持つ。

「現在は、秋冬はカラード・モヘアをはじめとした毛足のある軽めのニットを、春夏はレイヤード・Tシャツという薄い生地が二重になっているTシャツを定番としています。<リヴォラ>のニットは、全体的な服の世界観を大切にして、コーディネートバランスの中で考えています。一点ごとの個性の強さより、着こなしに溶け込んだときにどう見えるかを大切にしています」と言う。


「作り手の顔が見えるものづくり」をしていきたい


<リヴォラ>のコレクションがメンズ館に初登場したのは今年の春夏シーズンで、秋冬コレクションの展開は今回が初となる。
これまで、「デザイナーの鈴木と二人で試行錯誤しながら、“今はこういう商品が求められているのではないか?”ということを考えながら、着られるものを丁寧に作る」ことをしてきた粟生田さん。今シーズンは、ストールのデザインを担当している。


ストール 各29,160円

「オレンジのストールは、夜明けの水平線をイメージしています。この他に、白夜のようなほの明るさを表現したライトグレー、夜の海のブルーの3種類があります。オレンジは二種類の糸を使い、合計三色の糸を使っています。それぞれの糸の重なりは、印象派の絵のような雰囲気もあり絵画的です」と説明。
さらに、「雪が地面にフワッとかかっている」様をライトグレーで表したストールは、写真家の松江泰治氏の作品に着想を得て、冬の大地をイメージしている。


「ニット作りの魅力は、糸の組み合わせによって生まれる立体感。最近は編み地を考えるのが楽しい」という粟生田さんは、フワッとしたボディに、袖に無骨な素材をミックスしたカーディガンを手にしながら、「こういう異素材のコンビネーションは鈴木が上手なんです」と、温もりを感じる素材のタッチを確認していた。
 
Photo:TAKU FUJII

*価格はすべて、税込です。

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